派生開発では、お客様の要件をマザーの仕様範囲内でいかに満たすかを考えます。DOORSを使うと、マザーと派生品の要件を見比べながら検討を進められるため、『この部品をここで流用しよう』といった設計のアイデアが浮かびやすくなります。

ジヤトコ株式会社, 開発部門 プロジェクト推進室, 主担, 宮城 岳司 氏

ビジネス上の課題

ジヤトコは、日本や韓国、中国に開発拠点を構え、国内外の自動車メーカーを顧客にトランスミッションの開発を行ってきました。各社の要件に合わせて開発するためには精緻な要件管理が求められますが、近年は自動運転技術などの進展によりトランスミッション開発に対する要件の複雑性が増し、また開発のグローバル化が進んだことから、これまでのように技術者の経験と工夫だけに頼って要件を抜け漏れなく管理し、仕様や実験結果など成果物との間でトレーサビリティを確保するのが難しくなっていました。要件の漏れが生じた場合は開発で手戻りが発生し、開発期間やコストの増加を招きます。同社はこの課題を解決すべく、要件管理と、開発フェーズを先に進めるために必要な成果物一式(例えば、数十個の計画図や実験報告書など)を担保するベースライン管理のソリューション導入についての検討を開始します。

概要と経緯

ジヤトコは主要なシステムズ・エンジニアリング支援ソリューションについてPoC(概念実証)を実施しながら自社に最適なソリューションの検討を進めた結果、要件管理に「IBM Engineering Requirements Management DOORS」、ベースライン管理に「IBM Engineering Workflow Management」の採用を決めます。採用理由の1つはIBM Engineeringの「扱いやすさ」です。また、世界中の自動車メーカーや大手サプライヤーで導入実績のあるグローバルスタンダードなツールであり、多くのメーカーやサプライヤーが企業間の要求交換での利用を進めているほか、IBMのグローバルな業界知識や深い製品知識に基づくコンサルティング・サービスの支援が受けられることも大きな選定理由となりました。同社は2017年よりパイロットプロジェクトで要件管理への導入を開始。2019年より他のプロジェクトにも展開します。ベースライン管理についても、2017年よりパイロットプロジェクトを実施し、2020年から他のプロジェクトへの展開を進めています。

効果と今後の展望

国内拠点の約3割のプロジェクトにIBM Engineeringソリューションの導入を終えたジヤトコは、用意したテンプレートに要件を入力していくだけで仕様書が作られ、それによって要件の抜け漏れを一目で確認できるDOORSの活用効果を強く実感しています。また、Workflow Managementに格納した成果物や資料はDOORS内の要件とひも付けて管理されるため、仕様の根拠となった実験結果などをすぐに参照できます。新型コロナウイルスの流行下におけるテレワークによる開発業務でも高い生産性を確保しています。ジヤトコは、IBM Engineeringソリューションを活用したシステムズ・エンジニアリングの実践により、開発の初期段階で高品質な設計を行い、これまで後工程で発見されていた課題に事前に対処できようになることで約50%の手戻率の改善を見込むとともに、開発期間の短縮とコスト削減を目指します。同社は2020年より中国拠点のプロジェクトへの展開を始めたほか、今後は試作や量産製造など開発以外の部門への展開、サプライヤーとの要件管理での活用を検討する予定です。

 

[製品・サービス・技術 情報]

当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。

  • IBM Engineering Requirements Management DOORS
  • IBM Engineering Workflow Management
  • IBM Expert Lab開発支援ツール導入支援サービス

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