Business Challenge story

従来の課題を解決するシステム機能とIT体制の実現を目指す

2009年3月のANA資本参加後、OCSはANAグループの物流事業の一翼を担う企業として、「アジアのリージョナルインテグレーター」を目指すという経営ビジョンを掲げ、中長期で安定したシステム運用を実現し、ビジネス推進の基盤となる新しい基幹物流システム構築に向けた準備に着手しました。プロジェクトを担当したシステム推進部 マネージャーの清水拓氏によると、新システムの検討は (1)多様な顧客ニーズ、グローバル化に対応できる柔軟性・拡張性を持ったシステム、(2)他社インテグレーターに対して競争力のあるシステム機能の強化、(3)事業拡大・貨物量増大に対応する高品質化・効率化を実現するシステム、(4)24時間365日稼働を前提に安定性・安全性の高いシステム運用・保守の実現、(5)事業方針に沿ったIT運用・保守・開発体制の構築、という5つの基本方針の下で始まりました。

「新システム開発に向けて最初に取り組んだのが、事業の重点項目とその内容を実現するために必要なシステム機能とIT体制を見直すことです。従来の問題点を課題としてまとめ、それを解決するために、どんなシステム機能とIT体制が必要になるのか、要件を整理しました」(清水氏)。

Transformation

個別対応の多さからカスタム開発を採用

新システムの要件定義策定作業は、OCSシステム推進部が中心となり、約半年間をかけて進められました。要件定義を終え、複数の開発ベンダー候補の中からOCSが選んだのが、日本IBMでした。

「IBMを選択した理由は、提案の内容、プロジェクトの推進体制や進め方が、当社の要求に合致していたためです。また、ANAの貨物基幹システムの構築にIBMが関わっていたという実績面も評価し、総合的に判断しました」(清水氏)

2010年5月、実際に新システムの構築プロジェクトがスタート。すでに策定した要件定義をベースに、詳細な要件定義を詰めて仕様書にまとめる作業から始まりました。

「プロジェクトマネジメントは、IBMがPMO(Project Management Office)として参加し、OCSを支援しました。当社のIT部門は人員が限られていますので、プロジェクト全体の管理、進捗、推進は、IBMのサポートを受け、進めました」(清水氏)。

仕様書をまとめる過程で検討したのが、新システムをパッケージ・ソフトウェアを使って開発するか、カスタムでスクラッチから開発するかという点です。

「フォワーダー(貨物運輸事業者)が利用している基幹システム向けのパッケージ・ソフトウェアはいくつか存在し、当社でもいろいろ調べました。しかし、その多くはもともと製造業の物流部門向けのパッケージがベースになっているため、国際エクスプレス事業で利用するには、個別に作り込まなければならない部分がたくさんあります。特に当社の場合、新聞を輸送する購読事業などもあるので、カスタマイズするボリュームが非常に多くなります。スクラッチから構築する方が費用的にも安くなることが分かり、最終的にカスタム開発で構築するという判断をしました」(清水氏)。

ここでIBMが提案したのが、運輸事業者向けのアセットツール、AFDMでした。これは、IBMがグローバルで運輸事業者向けに提供してきたシステム導入のノウハウをテンプレート化したもので、物流業務の標準的な作業プロセスやシステム連携を定義しています。これを適用することにより、開発期間の短縮やシステムの品質向上が可能になります。

「基本的にカスタム開発を行うことになったので、IBMがアセットツールを適用してプロトタイプを作成し、その試作画面を基にしながら詳細要件を決めていきました。当社側では、業務部門もプロジェクトに参加していましたから、目で見て分かるものが用意されたのは、非常に役立ちました」(清水氏)。

Benefits

業務の効率化・高品質化などの導入効果が得られる

2012年4月に稼働開始した新システムでは、トラッキングポイントを増やしたことによる貨物追跡機能の強化、通信機能があるモバイル端末の導入によるリアルタイム性の強化が図られました。さらに、システム上での業務連携を実現したことで、顧客情報管理などの営業管理、集荷から配達までの物流管理、輸出入通関システムとの連携、問合せ対応などのカスタマー・サービス管理を、統合された情報に基づいて行えるようになり、よりきめ細かな顧客サービスが実現できるようになりました。また、新システムは耐災害性を考慮して日本IBMのデータセンター内のクラウド環境に構築されており、システムの監視・保守はIBMにアウトソーシングしています。

「今回のプロジェクトで当社が最も評価しているのは、スケジュール通りに稼働できたという点です。それについては、要件定義の進め方をはじめ、プロジェクトマネジメントにおけるIBMの貢献が大きかったと考えています。また、稼働後は、業務の効率化・高品質化、リードタイムの短縮、収益と顧客満足度の向上など、さまざまな効果を想定しています」(清水氏)。

 

将来の展望

次フェーズでは営業系機能を強化

OCSでは、今回の基幹物流システムを、システム刷新の第1フェーズとして位置づけており、次フェーズでは、営業系機能の新システム構築を予定しています。

成長著しいアジアの貨物需要をとらえ、顧客ニーズに高いレベルで応えていくためには、ビジネス推進の基盤となる事業インフラとしてのシステムが必要です。「具体的にはこれからの話になりますが、今回と同様にベンダーと一緒に考えていく形が望ましいと思っています」(清水氏)。

 

お客様情報

海外で暮らす在留邦人に日本の新聞を届けるサービスを行うことを目的に、1957年に設立された国際物流会社。国際宅配便事業にも取り組み、現在では国内外合わせて約200カ所の拠点を持つ。2009年3月には全日本空輸株式会社(ANA)が資本参加。2009年9月に海外新聞普及株式会社から株式会社 OCSに社名変更し、ANAグループ貨物事業の成長戦略を担う中核企業として、ANAと一体化した事業展開を図り、さらなる成長を目指している。

 

テクノロジープラットフォーム

ソリューション

  • Air F&F Delivery Model(AFDM),Ocean F&F Delivery Model(OFDM)

Solution Category

  • Other
    • T&T: Operations Planning and Optimization