Business Challenge story

既存システムを生かしながら全体を統制するためにESBによるシステム連携基盤を検討。システムの可用性要件の違いを吸収する方式とは

IIJはM&Aや統合による事業規模や事業領域の拡大に、それぞれの業務に関係するシステムを個別に増強・最適化して対応してきました。IIJグループの再編時には、決められた期間の中で必要最低限のシステム連携にとどめた経緯もあり、システム構成はより複雑になっていました。その結果、新たなサービスリリースへの対応時間が長くなる、運用コストが高くなる、といった課題を抱えていました。課題解決に向け、複数システムの大規模再構築案も検討しましたが、過去の経験から全社システムを最適なものに保ちながら統制していくためには、個々のシステムの運用を柔軟に調整しながらシステム間の連携を強化するシステム連携基盤であるESBの導入が適切だと判断しました。さらに、業務によってシステムの可用性に対する要件は異なっていましたが、システム同士を直接連携させる方式では、要件の高いシステムに合わせた構築や運用が必要となり、それらのコストも大きな負担となっていました。

IIJ 事業基盤システム部 部長 橘浩志氏は、ESB導入の経緯を次のように話します。「過去の経験から、1つの大きなシステムに刷新して問題を解決する方法は容易ではないと実感しました。事業規模が大きくなり、事業領域もさまざまな形態のものへと変化する中でシステムを統制していくには、ESBによるシステム連携基盤を導入し、個別のシステムを活用しながら、それらをうまく連携させるアプローチのほうがコストダウンもでき信頼性も上がると考えました」。また、IIJ 事業基盤システム部 業務システム課長 佐藤純也氏は、ESB導入でインターフェースの標準化を行うことで、システム全体の効率化も図れると話します。「さまざまな目的を持つ複数のシステムを連携するには、標準化したインターフェースで統一された疎結合のほうが全体の効率化や信頼性の向上につながると考えています。個々のシステムを直接連携させると、メンテナンス時のコストが高くなったり連携の維持自体が破綻したりする恐れがあるため、中央で集中管理できる基盤を用意する必要があると思いました」。

Transformation

充実した手厚いサポートの提供と信頼性・パフォーマンスからIBM Integration Busを採用

IIJは同社のシステム構築を支えてきたTISの協力を得ながら、40以上の比較項目をもとにESBによるシステム連携基盤を構築するための製品選定をスタートしました。IIJは最終的に、IBMが豊富なソリューション群と実績を有していること、パフォーマンス、そして充実した手厚いサポートが期待できることから、IBM Integration Busの採用を決定しました。IIJ 事業基盤システム部 業務システム課 課長代行 谷山秀之氏は「比較した製品は、機能にそれぞれ特徴がありましたが、私たちが行いたいことに関してどの製品も実現可能で、機能面で大きな差はありませんでした。しかし、IBM Integration Busには数多くのオプションが用意されていることに加えて、サポート内容が最も充実していました。これが最終的な決め手になりました。他のベンダーは、サポートが英語によるものであったり、就業時間外にサポートが受けられなかったりといった、さまざまな制約がありました。今回はESBの導入自体が初めての試みでしたので、サポート内容は重要視しました」と採用の理由を話します。

橘氏もサポートが製品選定の重要なポイントであると話します。「これまでにもさまざまなベンダーの製品を使ってきていますが、実際にサポートを十分に受けられずに困っているシステムもあります。社内の重要な基幹システムを支える基盤として使用するため、サポートは製品選定の重要なポイントでした」。

また、製品の選定項目の1つであったパフォーマンスに関しても、IBM Integration Busが最も優れた結果となり、少ないマシン・リソースで要件を満たすことができ、将来の拡張も含めた投資を最小限に抑えることができることが評価されました。それに加え国内・海外のミッション・クリティカルなシステムの連携基盤で多数採用されている実績が、信頼性が高い製品であることの裏付けとなり、IBM Integration Busの採用に至りました。

Benefits

システムやサービスを適切に分離することで可用性やコストに関する要求を満たす

IIJはIBM Integration BusをESBとして利用した連携基盤を構築し、同時期にリプレースした販売管理システムとともに2013年6月から運用を開始しました。従来、販売管理システムは顧客向けサービスと連携して顧客との契約を処理していたため、このシステムがいったん停止してしまうと終日運用が要求される顧客向けサービスにまでその影響が及んでいました。今回構築した連携基盤によりシステム同士の疎結合が実現し、可用性の違いを吸収できるようになりました。「このソリューションにより販売管理システムがダウンしても、お客様からのオンライン・サインアップやサービス構成変更依頼をキューイングしておき、販売管理システム復旧後に処理できるようになりました。その結果バックエンドの障害がフロントの顧客向けサービスに影響が及ぶことがなくなり、システムの疎結合化が実現しています」(谷山氏)。

しかし、疎結合を実現する連携基盤が障害等で停止してしまうと連携しているシステム全体に影響が及ぶため、連携基盤自身に高い可用性が求められます。そこで、IIJは連携基盤の可用性を担保するためのアーキテクチャーをTIS、IBMとともに検討し、慎重に策定しました。

「今回、IBM Integration Busが提供するマルチ・インスタンス機能を活用したテークオーバー構成を実装しました。これは国内では初めての試みでしたので、何度も検討を繰り返しました。その結果、構成要素のどの部分が異常停止しても1、2分で回復できる、可用性の高いものになりました」(谷山氏)。

さらに、IIJは今回の連携基盤でテークオーバー中のサービス停止を防ぎながら、今後の基盤拡張に対応可能なスケーラビリティーを確保するため、マルチ・インスタンス構成を複数配置したアクティブ/アクティブ構成を採用するとともに、一般的にアクティブ/アクティブと両立が困難な非同期処理での順序保証の要件にも対応しました。アクティブ/アクティブの構成と順序性の保証の両立には高度な連携アプリケーション設計スキルが必要です。TIS 産業事業本部 東日本産業事業部 ネットコミュニケーション第4部主任 安東克真氏は次のように話します。

「将来の拡張を考えて適切なスケーラビリティーを保ちながら、非同期処理での順序性を担保する仕組みの実現が最も苦労した部分でした。慎重に検討を行い、IBMのレビューも受けながら最終的な設計に落とし込みました」。

可用性の高い連携基盤によってシステム間の連携が疎結合化された結果、高可用性が求められるシステムとそれ以外のシステムを適切に分離することが可能となり、システムへの投資コストや運用コストを抑えることに成功していました。「システム連携基盤を構築したことで、顧客向けサービスと連携して処理を進めるシステムの可用性に関する要求を、通常社内で使用するシステムのレベルにまで下げることができました。それまでは、バックエンド・システムの停止がフロントの顧客向けサービスに影響を与えてしまうため、該当システムの停止リスク評価を高く設定し、テストにかなりの工数をかけていました。システム連携基盤導入による疎結合化により各システムの運用を適切に分離できたことで、今後はシステムの運用・テストの工数を減らしていけると考えています」(谷山氏)。

システム間の関係が疎結合・非同期処理になることのメリットについて佐藤氏も次のように話します。「オンライン・サインアップなどの顧客向けサービスは終日稼働していて容易に停止できません。このため、顧客向けサービスと連携して処理を進めるシステムのメンテナンスもあらかじめ決められた日に短時間で行うしかなく、保守コストや運用コストが高額になっていました。このような関係を完全に分離できたため、保守や運用のコストを下げることができます。また要求される可用性が下がるため設備にかける投資も抑えることができるようになりました」。

 

将来の展望

汎用性を高め標準化することで全社の既存システムを生かす

IIJはIBM Integration Busを使い、それまでのシステム連携をESBによるものに置き換えました。これは40近くある業務関係のシステムで行われている連携のうちの一部になります。今後、残りの他システムでもESB連携基盤に移行していきたいと考えているため、将来のさまざまなシステムとの連携拡張に備え、アプリケーション固有の機能をESB基盤に持たさないようにし、汎用性を高くするように心がけました。「今回実装したものは、全社システムのうち限られたものでしかありません。ただし、既存システムの再利用性を重視して標準化しています。また今回は顧客との契約を処理するシステムも含まれていたため、対応するサービスが多数ありテストがとても大変でした。ESBを使って標準化していくことで、このような対応サービスを含めたテスト全体も容易に行えるようにしていきたいと思っています。システム連携の基盤としてESBを広げていくことで、コストを低く抑えた高可用性のあるものが作れると考えています」(佐藤氏)。

IIJは今後IBM Integration Busを使って構築したシステム連携基盤が、全社のシステム構成の中核になると考えています。「ESBによるシステム連携基盤を導入したことで、システム間は疎結合にしながら、緊密な連携ができるようになりました。個別に最適化されているシステムを全体で最適なものにできるよう、社内システムのアーキテクチャーを見直していこうという動きもあります。今回IBM Integration Busを使って構築したシステム連携基盤は、その中心の1つになります」(橘氏)。IIJは複数の既存システムを生かし、それぞれの連携をさらに強化していこうと考えています。

 

お客様情報

株式会社インターネットイニシアティブは、1992年、日本で初めてインターネットの商用化を目的として設立されました。現在、同社はインターネット接続事業で培った技術をベースに、メール、セキュリティーなどのアウトソーシングサービス、ネットワーク構築からシステム・インテグレーション、運用に至るまであらゆるニーズに応えるサービスを総合的に提供しています。

 

パートナー情報

ITホールディングスグループの TIS は、SI・受託開発に加え、データセンターやクラウドなどサービス型の IT ソリューションを多数用意しています。同時に、中国・ASEAN 地域を中心としたグローバルサポート体制も整え、金融、製造、流通・サービス、公共、通信など、さまざまな業界で 3,000 社以上のビジネスパートナーとして、お客さまの事業の成長に貢献しています。

 

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