Business Challenge story

共同化によってコスト低減を目指す

全国の市町村は、住民記録、税、保険などの住民サービスを提供するために、どこも似通ったシステムを使用しています。また、これらの自治体システムは、制度改正ごとに同じような修正が施されます。室蘭市、登別市、伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町の6市町によって構成されている西いぶり広域連合は、関係する各市町での住民サービスの電算処理をまとめることで、住民サービスの提供にかかる電算コストを低減し、制度改正への対応を容易なものにしようと考えました。

当初、西いぶり広域連合は、この共同電算処理を行うために民間のデータセンターを活用しようと計画しました。しかし、そこには解決が難しい法規上の問題がありました。西いぶり広域連合の共同電算室で主査を務める佐久間樹氏は、次のように説明します。「戸籍法では、庁舎内に台帳を置く必要があります。民間のデータセンターを利用すると、庁舎内に台帳データをもう一つ作らなければなりません。これは無駄です」

また、データセンターの賃貸借料や設置面積などほかにいくつかの問題もあり、西いぶり広域連合は共同電算センターを自前で開設することにしました。

Transformation

ハードウェアを共通にした横割りマルチベンダーシステムを採用

西いぶり広域連合は、共同電算センターを開設するに当たって、製品や仕様は指定せずに運用基盤も含め共同電算システム(ハードウェア・ソフトウェア)を募集し、数社からの提案内容を評価した結果、IBM BladeCenterを採用しました。佐久間氏は、採用理由を次のように話します。「1Uや2Uのサーバーでは導入台数が増えると設置面積の問題が生じると考えました」

そして、西いぶり広域連合は、共同電算センターの運用基盤を支えるハードウェアをIBM BladeCenterに統一しました。その理由を佐久間氏は次のように説明します。「一番の理由は、管理のしやすさです。IBM BladeCenterに統一することで、ストレージもすべて共通で利用できます。バックアップも全部共通で使えます。つまり、すべてが一つのしくみの中で動くということです」

西いぶり広域連合の共同電算センターでは、IBM BladeCenter上で動作することがすべてのソフトウェアに要求されることになりました。「ハードウェアが異なってしまうと、管理工数が大幅に増えてしまいます。システムを縦割りにしてマルチベンダー環境を実現するという方法もありますが、ここではシステムを横割りにしてマルチベンダー環境を実現しました。具体的には、ハードウェアをすべてIBM製品で統一し、その上で動作するソフトウェアをマルチベンダーにするという方法を採用しています」(佐久間氏)

Benefits

導入効果

4市町で97千万円、住民一人当たり5千円の削減効果

現在、共同電算センターでは、室蘭市、登別市、伊達市、壮瞥町の4市町における住民サービスの電算処理が一括して行われています。4市町での効果は、平成19年度から6年間でシステム関係経費と人件費を合わせて9億7千3百万円の削減と試算しています。これは、住民一人当たり約5千円の削減効果です。「当初に見積もっていたものの2倍以上の効果であり、とても満足しています」(佐久間氏)

また、共同化によるメリットは、制度改正への対応にも表れています。それまで4市町が個別に行っていた修正作業は、共同電算センターで行えばよくなりました。佐久間氏は、共同電算センターでの作業内容を次のように話します。「現在、仕様の決定、メーカーの選定、契約締結などすべての作業を共同電算センターで行っています。このため、各市町での修正は基本的に必要ありません」

さらに、納付書などの印刷や封入といった大量で定型的な作業も、共同電算センターで一括して行い4市町の事務作業の負担軽減が図られています。「納付書の発行では、それまで各市町で印刷し、製本し、封筒に入れて投函していました。何万通もあるため、その作業は大変に時間のかかるものでした。現在は、共同電算センターのサービスとして提供しているため、各市町の担当課は封入されて納品されたものをカウントすればよくなっています。この負担軽減の効果も大きいです」(佐久間氏)

共同電算センターの開設によってシステムの利便性も向上しています。それまでの汎用機では夜間バッチなどの後処理のためにオフラインになる時間帯があり、システムの利用時間が制限されていました。現在は、昼夜を問わずに常に利用可能です。しかし、このように複数の市町の電算処理を一括して行うことは、共同電算センターでのシステム停止によって4市町での住民サービスが停止することも意味しています。システム障害に対して佐久間氏は次のように話します。「システムを止めることはできません。また、汎用機と同レベルのコストをかけることもできません。このため、障害が発生したときのリカバリーをいかに短い時間で行うかが重要です。ブレードサーバーは、簡単に予備と切り替えられ、すぐにシステムを復旧できます。また、ディスク自体を内蔵しているものに比べて、Storage Area Network(SAN)で外部にディスクシステムを備えていることも、障害対応に対する大きなメリットだと思います」

 

将来の展望

バランスを取りながら、より一層のコストダウンを目指す

共同電算センターを開設した効果は、すでにいくつも見えています。また、佐久間氏は、ハードウェア部分をシングルベンダー、アプリケーション部分をマルチベンダーとした横割りマルチベンダーシステムが、今後のシステム更新で効果を表すことにも期待しています。「元々ベンダーロックを局所化してコントロールできるようにするために、ハードウェアとアプリケーションを完全に分けました。今後のシステム更新は、理論的には仕様を決めるだけでよくなるはずです」(佐久間氏)

さらに、佐久間氏は、このようなコスト削減の方法に加えて、各市町での電算担当の存在も再検討できるのではないかとも考えています。「現在、財政的に余裕のある市町村は、ほとんどありません。コストを下げられる要素があるなら、それをやらない理由を考える方が難しい状況です。ただし、そのために役所内に混乱を生じさせることもできません。住民へのサービス提供を考えた上で、そこにかかっている電算コストをどのように下げるかを、バランスを取りながら考えることが必要です」

このように、現在行っている住民サービスを保ちつつ、どのようにコストを下げるかという視点で、西いぶり広域連合は、より一層のコストダウンを目指しています。

 

お客様情報

西いぶり広域連合は、一般廃棄物処理を行うために、室蘭市、伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町の5市町によって2000年に設立されました。その後、2006年の規約改定で共同電算処理の事務も行えるようになり、現在、室蘭市、登別市、伊達市、壮瞥町の4市町の基幹系システムでの事務処理も一括して行っています。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

  • IBM BladeCenter

Solution Category

  • Other