リーン手法の採用
業務プロセスと臨床プロセスの変革
女性医師

カリフォルニア州に本拠を置くInland Empire Health Plan(IEHP)は、急激な成長により会員や医療提供者へのサービス基準を満たすことが困難になったため、効率とサービスの改善を図るために組織全体で多くのプロセスに取り組む必要性を認識しました。

同機関は国内最大級のMedicareおよびMedicaidプランに関する非営利機関です。会員数は合計130万人で、地元市場シェアの89%を占めています。当初の会員数の急増に対応するため、同組織では会員の需要を満たすために追加スタッフを雇用しました。しかし、それだけでは十分ではありませんでした。IEHPは、ケアの利用に対する会員の不満から、サービスの遅延に対する医療提供者による不満まで、さまざまな問題に直面していました。また、急激な成長により、一貫性がなく、標準化、文書化に欠ける、無駄の多い非効率なプロセスが数多く行われていました。

「正しい行いに重点的に取り組むことが、私たちの基準です」と、IEHPの最高経営責任者であるJarrod McNaughton氏は言います。「私たちは、必要なときに、質が高く利用しやすいウェルネスベースの医療を会員に提供できるよう目指しています。」

「しかし、急激に規模が拡大したため、私たちが快適に感じる方法では当機関の使命と基準を達成することが難しくなったのです」と彼は付け加えます。

単にスタッフを増やし続けるだけでは、これらすべての課題に適切に対処できない、と認識していたIEHPの経営陣は、いくつかの根本的なプロセスの問題に取り組むことで大きな進歩を遂げました。同組織のリーダーは、リーンベースのトレーニングですでに成功を収めていたため、このリーン手法を組織全体に適用することを決め、リーン企業になることを目標に、提案依頼書(RFP)プロセスを通じてリーンマネジメント組織に提携を呼びかけました。

IEHPは、複数の事業部門が相互に関連する2,000人以上の組織全体の人事およびプロセス変更を行い、制度化するという課題に直面していました。拡大する会員にサービスを提供して医療提供者を効果的かつ効率的にサポートするために、事業全体のチームをよりよく動員し、権限を与えることができる、実績あるリーン管理システムが必要だったのです。

豊富な会員数

 

IEHPがサービスを提供している会員は130万人以上

IEHPが実現した削減金額

 

年間4,100万米ドル

プロセス変革につながるリーン・トランスフォーメーション

そこで、2015年にIEHPの経営陣は組織のリーン・トランスフォーメーションに全力で取り組み、全社的な変革を実行する手段としてSimpler® Consulting(現在はIBM傘下のSimpler®)を選択しました。当初、SimplerとIEHPは、医療提供者サービスと会員サービスという2つの重要な分野に注力していました。

医療提供経験が医療プランを通じてどのように交差するかを熟考するプロセスを経て、初めてリーン・トランスフォーメーションを開始するグループとして選ばれたのは、医療提供者サービスチームでした。Simplerのコーチ陣は、IEHPチームが障害を乗り越えて問題を解決できるようサポートに取り組みました。

SimplerおよびIEHPのチームは、医療提供者とIEHPの間の重要な接点であり、問題が起きた場合に医療従事者から電話で問い合わせがある医療提供者向けコールセンターからリーン化プロセスを開始しました。典型的なリーン・バリュー・ストリーム・マッピングと分析に取り組んだ後、医療サービス部門、クレーム部門、医療提供者研修部門など、機関内の他の分野でもこの作業を行いました。

さらに、IEHPが医療提供者研修プロセスを紙ベースから電子ベースに移行した結果、大幅なバックログや遅延など、予期せぬ効率を下げる事態が起こりました。IEHPは新しいシステムに従うための指標を組み込んでいなかったため、バックログは増え続けていました。そこでSimplerチームは、組織的なツールとして医療提供者の認証情報の追跡に役立つ視覚的な管理システムを導入しました。

「たとえ小さな変更であっても、効率や各部門のワークフローの管理方法に大きな違いをもたらす可能性があります」と、IEHPの最高医療責任者であるKaren Hansberger医学博士は言います。

IEHPは基幹システムもグレードアップしました。導入に課題があることを予測して、医療提供者向けのコールセンターチームにはシンプルなフラグ・システムを導入しました。このシステムでは、ワークフローに支障をきたし、提供者への迅速なサービスを危険にさらす可能性のある問題に対して、従業員が上司の支援や介入が必要であることを示すことができるため、即座にサポートを受けることができます。

同機関では、会員サービスにおいてもいくつかの取り組みを実施しました。その1つとして、SimplerとIEHPは、会員が医療提供者を変更した場合、一部の会員の資格情報が正しく表示されないことで、会員と医療提供者の両方から不満が出ていることに着目しました。IEHPが医療提供者のWebポータルを更新している間、会員が医療提供者による診察を受けるまでに3~4時間かかるということが頻繁に起きていたのです。場合によっては、会員が医療提供者から診察を拒否されることさえありました。

組織内の適切な人材がこの問題を解決できるようにすることで、会員は数分以内に医師の診察を受けることができるようになりました。その他に、改善が指摘されたのは通訳サービスです。同機関では多言語の通訳者を配置していましたが、通訳者を特定して会員につなぐまでに膨大な時間がかかっていました。IEHPは、プロセスにリーン・プリンシプルを導入したことで、必要に応じた通訳者の特定、割り当て、提供するまでの時間を短縮しました。

医療提供者サービス分野における従業員のエンゲージメントの向上に関して、IEHPのリーダー達はIEHPの変革に取り組んだSimplerのコーチ陣と先生(コンサルタント)の取り組みを高く評価しています。

「Simplerのコーチ陣には感謝しています」とHansberger博士。「彼らのツールやコンセプトを適用することで、適切な質問ができるようになり、また、自分の決断について真剣に考えられるようになりました。」

Simplerには、これらの手法を自社のリーダーとして活用してきたコンサルタントとの包括的なシステムがあります。 Jarrod McNaughton 最高経営責任者 Inland Empire Health Plan
Lean 2.0

リーン・トランスフォーメーションで成功を収めたIEHPの経営陣は、リーン・ジャーニーをさらに拡大することを決めました。Simplerとの協業から4年後、IEHPは、リーン・プロセスの拡大を目指し、Simpler Consultingチームにさらなる支援を求め、次はビジネスの臨床面に着手しました。IEHPのリーダーたちは、この拡張を「Lean 2.0」と呼んでいます。

「私たちは、どのように変化し、成長し続けることができるかを常に考えています」とHansberger博士は言います。「部門内で起こっていることだけに焦点を当てるのではなく、すべてのプロセスに目を向け、私たちが行っていることがケアの一連の流れにおいて会員や医療提供者にどのような影響を与えているか自問することが重要です。」

IEHPにおけるリーン・ジャーニーの初期の導入では、プロセスの修正とサイロの打破に重点を置いていましたが、2.0バージョンでは、リーン化に本格的に取り組み、真に全社的なリーン企業を作る方法を学ぶことに重点を置くと同時に、再入院や投薬管理などの臨床業務にもさらに重点を置きました。

IEHPは、インランド・エンパイア地域にある40の病院および6,000名を超える医療提供者と契約しています。同機関の規模は大きく、独特な地域であるため、明らかな問題が生じています。しかし、会員と医療提供者のニーズに応えるため、IEHPの経営陣は内部的にはIEHP内、外部的には病院の敷地内で違いを生み出すためにできることに焦点を当てました。

「提供者の苦労を見て、どうすれば彼らを助けられるか学びました」とMcNaughton氏は言います。「そこで、入院している会員とリアルタイムでつながれるよう一部の病院にCase Managerを配置することにしたのです。」

この小さな変化が医療提供者コミュニティーに大きな影響をもたらし、IEHPは「コミュニティーおよび患者のより良いパートナー」になった、と同氏。

「私たちの臨床チームが、プロセスを修正し続ける方法について既成概念にとらわれずに考え始めていることは素晴らしいです」とHansberger博士は言います。「彼らは別の視点で、つながり、コミュニケーションを取り、状況を評価することを学んでいます。」

「それが、私にとって、このトランスフォーメーションの最も重要な部分です」と同氏は付け加えます。「これはプロセス・トランスフォーメーションではなく、人に関わるトランスフォーメーションなのです。」

当社のSimplerコンサルタントは立ち上げを手伝ってくれましたが、本当の魔法が始まったのは、組織内のリーダー達がリーン・プロセスを自分のものにしたときでした。 Karen Hansberger 医学博士および最高経営責任者 Inland Empire Health Plan
プロセストランスフォーメーションにより、システム全体における成果を実現

Simplerの医療管理対象専門家(SME)が主導したIEHPのリーン・トランスフォーメーションは、医療提供者サービス、会員サービス、臨床サービス、組織全体の従業員エンゲージメントなど、広範囲にわたり影響を及ぼしました。

IEHPのリーダーやチームメンバーは、会員や医療提供者にとってより良いものを目指して、常に変化し続けるという考えを受け入れてきました。従業員は、より権限を与えられたと感じ、今では個々のリーン・プロセスを持っています。

IEHPは、うまく機能しない非効率的なプロセスを修正するという当初の目標を達成しただけでなく、それ以上のことを成し遂げています。

「リーン経営はプロセスの改善に役立っており、その結果、会員と医療提供者の満足度が向上しています」とMcNaughton氏は言います。「私たちのコミュニティーの大部分は会員で構成されているため、これは私たちにとって非常に重要なことです。会員に良い影響を与えることで、最終的には、より大きなコミュニティーに何らかの形で貢献することになるからです。」

以下は、組織全体にわたる新たなリーン管理の実践で生じた、特に重要な改善例の一部です。

• 現在、医療提供者の満足度スコアは国内で99パーセントを達成。
• 認可の承認にかかる時間が数週間から数時間に短縮(一部のケース)。
• 再入院率が16%から15%に低下。
• IEHPでは、わずか2年間で医療提供者資格認定部門における従業員のエンゲージメントが50%以上向上。
• 以前まで194日(6ヶ月以上)かかっていた医療提供者サービスにおいて重要な医療提供者資格認定プロセスが、今では20日(3週間未満)で完了できるようになったことで、所要時間を90%短縮。
• 会員サービスエリアにおける最初の問い合わせ電話での解決率が65%から81%に大幅に向上。これは会員満足度の高さにも反映されており、2017年の満足度は97%になりました。

そして最後に、組織全体のコスト削減が実現します。例として、IEHPは現在、年間4,100万米ドルを節約しています。

IEHPにとって素晴らしい結果が得られた一方、経営陣は今後の展開に一番の期待を寄せています。

「素晴らしい結果です」とMcNaughton氏は言います。「しかし、Simplerチームが気づかせてくれた本当に重要なパズルのピースは、変化を起こし、持続させるためには、必ずしも数字だけでなく、文化が重要だということです。」

彼は、こう続けます。「リーン・ジャーニーは意図的に行う必要があります。これは単なる取り組みではなく、単なる計画の一部でもありません。新たな文化を根付かせ、文化をすべての行動の構成要素、文字通りの礎石とすることなのです。Simplerのチームがサポートしてくれたのは、まさにこの点です。そのように、実践し、自分がやっていることを心から信じなければなりません。」

IEHPは、Simplerによって導入されたリーン・システムを、改善結果を維持できるような形で引き続き構築していきます。しかし、IEHPは今後もその使命に忠実に、コミュニティーでの無駄のない取り組みを活用して医療提供者や病院を支援し、コミュニティーパートナーにとって無駄のないリソースとなるよう取り組んでいきます。

新たな文化を根付かせ、文化をすべての行動の構成要素、文字通りの礎石とすることなのです。Simplerのチームがサポートしてくれたのは、まさにこの点です。 Jarrod McNaughton 最高経営責任者、 Inland Empire Health Plan
HSL HRTのロゴ
Inland Empire Health Planについて

IEHPはMedicaid医療プランとしては上位10位に入る規模の機関であり、非営利のMedicare-Medicaidプランとしては国内最大級の機関です。6,000以上の医療提供者と2,000名以上の従業員のネットワークを持つIEHPは、リバーサイド郡およびサンバーナーディーノ郡でMedicaidまたはCal MediConnect Plan(メディケア・メディケイド・プラン)に加入している130万人以上の住民にサービスを提供しています。

IBM 傘下の Simpler Consulting について

Simplerは、IBM® Watson Healthの一部です。30年近くにわたり、Simplerチームはクライアントと協力し、財務および非財務パフォーマンス指標全体で急速な改善を達成できるように協力し、指導してきました。Simplerの価値は、クライアントと協力してビジネスシステムを開発し、長期的なパフォーマンスと持続可能な成長を促進する体系的な改善を実行できることにあります。

Watson Healthについて

Watson Healthは、医療業界のデータ、分析、テクノロジーのパートナーです。IBMのイノベーションとIBM Watsonのインテリジェンスに支えられて、私たちはよりスマートな医療エコシステムの構築支援に全力で取り組んでいます。Watson Healthは、健康、データ、分析に関する深い専門性、実用的なインサイト、セキュリティと信頼に関する評判を組み合わせて、クライアントやパートナーと協力して、世界中の人々のプロセスの簡素化、より良いケア・インサイト、より迅速なブレークスルー、エクスペリエンスの向上を実現できるよう支援しています。詳細については、ibm.com/watson-healthをご覧ください。

詳細情報はこちら
新型コロナウイルス感染症の流行下で迅速にコミュニティー支援のための迅速に行動した、ある医療システムの方法 成長に伴う痛みを癒すリーン管理アプローチ
脚注

© Copyright IBM Corporation 2020. IBM Corporation, Simpler, New Orchard Road, Armonk, NY 10504

2021年1月

IBM、IBMロゴ、ibm.com、IBM Watson、Simpler、およびWatson Healthは、世界の多くの国で法的に登録されているInternational Business Machines Corporationの商標です。その他の製品名・サービス名はIBMまたは他社の商標である可能性があります。IBM商標の最新リストは、Web上の「著作権および商標情報」 https://www.ibm.com/jp-ja/legal/copytradeをご覧ください。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。