Business Challenge story

業容拡大に対応できる拡張性とメンテナンスも無停止でできる可用性を要求

JENIUSのシステムを構築するにあたり大きく2つの要件があったと岡本氏は振り返ります。「第一の要件としてビジネスの成長に対応できる拡張性が挙げられました。おかげさまで当社のサービスをご利用のクレジットカード会員様は年々増加を続けています。インターネット・ショッピングの決済などお客様のご利用用途も拡大し、これに伴う処理件数も増加しているため、将来の成長に柔軟に対応できるシステムが求められました。第二の要件はサービスの停止の最小化です。クレジットカードのサービスは社会インフラであり、これが止まってしまうと決済が滞り、大きな影響を与えてしまいます。また私どものカードは世界中のお客様にご利用いただいているため、24時間のサービスをご提供する必要があり、夜間の計画停止も許されません。以前のシステムでは、やむをえず週末や深夜にシステムの保守を行うことがありましたが、新しいシステムではより高い連続稼働が要求されました」。

Transformation

連続稼働実現のためのシステム基盤にIBM System zを採用。Javaによる大規模基幹系システムを構築

システム基盤の設計にあたり、同社の業務とシステムを熟知したTIS株式会社(以下、TIS)と検討が行なわれ、金融機関の基幹系システムにおいて多数の導入実績があり、かつ新しいIT技術を搭載したIBM System zを選定されました。System zは従来のメインフレームの特長を踏襲した高度な技術と信頼を軸に、Javaなどのオープン系システムを融合したIBMの最上位サーバー製品です。特に先に挙げられた連続稼働の要件を実現する上で、複数台のSystem zサーバーを専用の結合機構を用いてクラスタリングを行い、単一のシステムとして稼働させる技術である並列シスプレックスが高く評価されました。

現在のJENIUSシステムは、5台のSystem zサーバーで構成されています。業務処理を行うサーバーとして最上位機種であるIBM zEnterprise 196(以下、z196)が3台稼働しています。これらのz196を2台の結合機構(System z10サーバー)により接続し、シスプレックス構成を採っています。信頼性向上のためこれらの結合機構は専用機を2台冗長化構成としています。ストレージはIBM System Storage DS8100を採用、遠隔地にストレージとSystem z9を設置し、災害対策を行っています。

アプリケーションは、オンラインはJava、バッチはCOBOLで開発されています。オンライン・サービスはIBM WebSphere Application Serverが使用されており、その処理にはJava専用プロセッサーであるzAAP(System z Application Assist Processor)が活用されています。データベースはIBM DB2が利用されています。

「Javaで作成されたプログラムは、Java専用プロセッサーとしてzEnterprise 196に搭載されたzAAPに処理をオフロードすることができます。zAAPを活用すると、汎用プロセッサーをバッチ処理に割り当てることができ、システムを効率的に稼働させることができます」とシステム本部インフラ開発部副主事の中津禎希氏は説明します。

「System zを採用した最大の理由は、極めて高い拡張性にあります。通常のサーバーでは搭載できるプロセッサーの数に限界がありますが、並列シスプレックスを使用することにより、大規模な処理能力を追加できます」(岡本氏)。

これに加え岡本氏は「ローリング・メンテナンスが可能になることも高く評価しました」と語ります。これはメンテナンス時に対象のサーバーを一斉に停止するのではなく、1台ずつ止めてメンテナンスし、残りのサーバーでサービスを継続するという手法です。「このアプローチならメンテナンス時もサービス継続が可能になると考えました」(岡本氏)。

Benefits

大規模なメンテナンスもサービスを停止せずに完了。Javaアプリケーションの安定稼働も実現

2008年のサービス提供開始から約3年が経過しますが、処理能力を大きく強化するために、数多くの取り組みが進められてきました。現在の構成になるまでに、大規模なメンテナンスが数回行われています。その中にはz/OS 1.6から1.10へのバージョンアップ、System z9からSystem z10への結合機構のアップグレード、System z9からz196への業務処理サーバーのアップグレードが含まれます。

「いずれもローリング・メンテナンスによって、サービスを停止することなく完了しました。大規模な基幹系オンラインでシステムを停止することなく機器の更改を実現できました」と岡本氏は語ります。この仕組みの実現にはシステム構築・運用を担当するTISも重要な役割を果たしています。「綿密な計画を立てることによって、利用者への影響を最小限にして、システムのメンテナンスや新しい技術への移行を実現しています」とTISの増永亨介氏は説明します。

このようにSystem zと並列シスプレックスの採用は、可用性向上に大きな貢献を果たしています。しかしそれだけではなく、スケーラビリティーを飛躍的に高めています。「必要に応じてサーバーのアップグレードや追加を行うことで、ほぼ無限の拡張性を確保できます」と岡本氏。またシステム本部インフラ開発部 主任の一井亮平氏は、「結合機構のアップグレードもバッチ処理の高速化に大きく寄与しています」と説明します。「z196間を接続する結合機構をSystem z10 ECに変えることにより、バッチ処理の高速化に大きく貢献しています。大量の更新処理で特に大きな効果を発揮しており、処理時間を2~3割短縮したバッチもあります」(一井氏)。

オンライン処理の安定性も、z/OSのバージョンアップによってさらに強化されています。「z/OS 1.10ではより多くの処理をJava専用プロセッサーにオフロードできます。これにより解放された汎用プロセッサーの資源をバッチ処理に割り当てるなど処理能力の最適化ができました」と中津氏は新機能の効果について語ります。

Javaアプリケーションの安定稼働を実現していることも、重要なメリットの1つです。

「大量のデータをバッチで処理している時もオンラインのレスポンス・タイムを維持可能なので、システムの安定稼働に貢献しています。これはメインフレームならではの特長だと考えています」と中津氏。その結果、Javaによるオンライン処理とCOBOLによるバッチ処理を、より最適な形で統合・運用できるようになったと説明します。「業務ピークなどにより、突発的にCPU使用率が100%になった場合でも、オンライン・レスポンスにはほとんど影響が表れません。CPU負荷の高い状況で安定したレスポンスを実現することは、他のサーバーでは困難です。やはりIBMメインフレームには一日の長があると感じています」(中津氏)

 

将来の展望

決済システムの共同化をはじめとした新しいサービスの展開へ

JENIUSは拡張性や信頼に優れたシステム基盤の上に、JCBがこれまでのビジネス経験で培ったノウハウが凝縮されています。これらの仕組みやノウハウを共同化しサービスとして提供する取り組みが進められています。

このような「決済システムの共同化」は、JCBにとって新たな収益基盤になるとともに、利用企業にとってもシステムへの初期投資を抑制できる効果的なソリューションになると期待されています。

「お客様の利便性を高めるためのよりよいサービスと安定性を、今後も継続的にご提供をしていきたいですね。JCBのブランドスローガン『うれしいを、しっかり。』をITの面から実現していきたいと考えています」(岡本氏)

 

お客様の声

株式会社ジェーシービー システム本部 インフラ開発部 主幹 岡本 圭介氏

「海外におけるサービスの提供や、携帯端末やインターネットからの決済、コンビニエンス・ストアでの公共料金の取り扱いなど、利用形態は多様化し、その量は飛躍的に拡大をしています。これらのお客様にご満足いただくためには、新しいサービスのご提案もさることながら、お客様の決済をお取り扱いするITシステムが、安全に快適に、かつ便利にご利用をいただけることが重要だと考えています」

株式会社ジェーシービー システム本部 インフラ開発部 副主事 中津 禎希氏

「CPU使用率が100%になった場合でも、オンライン・レスポンスにはほとんど影響が表れません。CPU負荷の高い状況で安定したレスポンスを実現することは、他のサーバーでは困難です。やはりIBMメインフレームには一日の長があると感じています」

株式会社ジェーシービー システム本部 インフラ開発部 主任 一井 亮平氏

「z196間を接続する結合機構をSystem z10 ECに変えることにより、バッチ処理の高速化に大きく貢献しています。大量の更新処理で特に大きな効果を発揮しており、処理時間を2~3割短縮したバッチもあります」

TIS株式会社 カード事業本部 クレジットプラットフォーム事業部 クレジット基盤ソリューション部 主査 増永 亨介氏

「綿密な計画を立てることによって、利用者への影響を最小限にして、システムのメンテナンスや新しい技術への移行を実現しています」

 

お客様情報

1961年に創立、日本の消費社会へクレジットカード決済を導入した、金融サービス業界のリーディング・カンパニーです。2011年に創立50周年を迎えました。1981年に日本のクレジットカード会社では唯一となる独自の海外展開を開始、以来、「JCB」は日本発の国際クレジットカードブランドとして世界で広く認知されています。190の国と地域でサービスを展開しており、取扱店契約数は1838万件、会員数は6926万人(2011年3月現在)。「うれしいを、しっかり。」のブランドスローガンのもと、新しい視点と優れた企画力によって、お客様志向の高品質なサービスを提供し続けています。

 

パートナー情報

2011年4月、ITホールディングスグループのTIS株式会社、ソラン株式会社、株式会社ユーフィットが合併し「新生TIS」として発足。金融、製造、流通/サービス、公共 /公益など幅広いお客様向けに、多彩なソリューションと国内トップ・クラスの総面積約10万㎡のデータセンターをフル活用し、SI受託開発からアウトソーシング・サービス、クラウド・サービスまで、全方位のITサービスを提供しています。金融業界向けには、約40年にわたって銀行、保険、証券、クレジットカード、ノンバンク/リースなどのお客様へ大手・中堅クレジット会社向けのクレジットカード基幹業務システムをはじめ、勘定系、融資・ローンといったソリューションを提供しています。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

  • IBM zEnterprise 196
  • IBM System z10 Enterprise Class
  • IBM System Storage DS8100

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Cloud