Business Challenge story

実績あるシステムをそのまま生かしXML処理に対応する

第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行統合により誕生したみずほ銀行は、それぞれの銀行で使用されていた3つの勘定系システムを1つに統合する必要がありました。このときみずほ銀行は、「ハブ・アンド・スポーク・アーキテクチャー」と呼ばれる概念を採用しました。ハブ・アンド・スポーク・アーキテクチャーでは、アプリケーション連携に必要なやりとりがハブと呼ばれるサブシステム経由ですべて行われます。これにより、アプリケーションに変更が生じてもその影響範囲を最小限に抑えることができます。

みずほ銀行 IT・システム統括第一部 業務共通システム推進チーム 次長 桑谷浩氏は次のように話します。「みずほ銀行は、3行統合後の勘定系システムを段階的かつ安全に統合していくために、当時最先端の概念であったハブ・アンド・スポーク・アーキテクチャーを採用することにしました。新たな勘定系システムの目的は、チャネルの増減を含めた柔軟な接続性の確保と、勘定系システム間やその他のシステムとの連携を取りやすくすることでした」。

みずほ銀行では、さまざまなアプリケーションの連携を担うハブシステムを「メインHUB」と呼び、新たな勘定系システムを大きく3つのステップに分けて構築していくことにしました。第1ステップは、根幹となるメインHUB自体の構築。第2ステップは、口座振替システムなどのフロントエンド関係のシステム構築と勘定の集計処理。そして、預金、為替などの残りの勘定処理を第3ステップで対応することにしました。

みずほ銀行のシステム開発を担いメインHUBシステムの構築初期から現在まで開発プロジェクトのリーダーを務める、みずほ情報総研株式会社 銀行システムグループ 共通インフラ事業部第1部 上席課長 益田智之氏は次のように話します。「第3ステップのシステムを検討した2007~2008年には、XML、SOAP、Javaといった最先端技術を採用することがあらかじめ決まっていました。また、各ベンダーの良いところを取り入れてシステムを構築するというマルチベンダーの考え方も生かすため、業界においてオープンで標準化されているものを採用しようということも決定していました」。

一方で、当時のメインHUBは、固定長データを処理する勘定系システムへのゲートウェイとしての役割も担っていました。「当時の銀行での処理は、性能などを考慮して固定長の電文を使っていました。ただし、今後のシステムは、人間が見てもわかる電文のほうが良いのではないかといった問題提起もあったと聞いています。固定長データでは、単にデータが並んでいるだけで、それぞれが何を表しているかが分かりません。タグ付きの文字データにすることで、ある程度は人間にも分かるようになります。そして、タグ付きにするということは、必然的に可変長データを処理できるXMLが必要になります。このような検討が第3ステップの初期に行われました」(桑谷氏)。

このように、みずほ銀行は、固定長データを処理するクローズドな勘定系システムと、可変長データを扱うことになるオープンなシステムをどのように連携させるかを考える必要がありました。このときの選択肢は2つありました。1つは、ソフトウェアも含めてメインHUBシステム全体を入れ替えてオープンなものに作り替えてしまう方法です。そして、もう1つは、すでに実績あるメインHUB自体はそのまま生かし、他の方法でXMLに対応する方法です。この2つの選択肢から、みずほ銀行は、現行のメインHUBシステムを生かし、第3ステップで必要とされる可変長データの扱いをメインHUBの外側で実現する、2番目の方法を採用することにしました。

    Transformation

    自ら検証作業を実施してIBM DataPower Gatewayの採用を判断

    第3ステップで必要とされるXML処理を実現するため、みずほ銀行は、アプリケーションに変更を加えることなく高いパフォーマンスと強固なセキュリティー機能を提供するアプライアンス製品DataPowerの導入検討を開始しました。「DataPowerの採用に関する検討は、かなり慎重に行いました。当時、DataPowerは、IBMの製品ラインアップに上がって間もない製品でしたし、国内金融機関での採用実績がありませんでした。このため、実際に機器を導入して、テスト環境を構築し、みずほ銀行が必要とする機能を満たせるかどうかを約2カ月間にわたって検証しました。また、IDやパスワード変更といったセキュリティーなどの非機能部分に関してもどこまで実現できるのか、実際のパフォーマンスがどの程度のものなのかも含めて、一通りテストし採用に値すると判断しました」(益田氏)。

    それでもDataPower導入のために事前に検証した理由にはコストパフォーマンスの高さがあったと、みずほ銀行 IT・システム統括第一部 業務共通システム推進チーム 調査役 千崎直人氏は話します。「このように事前に導入して実際にテストしてみたくなるほど、DataPowerのコスト・パフォーマンスが良かったと聞いています。もちろん、コスト・パフォーマンスが良いからといってすぐに導入するわけにはいきません。従来のように他行の実績などを確認する代わりに、IBMと連携しながら自前でテストしました。メインHUB自体に新たな製品を導入して対応することに比べると、メインHUBに外付けする変換機能を設けたほうが非常に安価でしたので、このようなトライアルをやってみました」。

      Benefits

      優れたXML処理と生産性の高さを実感

      みずほ銀行は、2009年夏にDataPowerの導入を決定しました。「DataPowerは、XMLの取り扱いに関して極めて優れています。これまでの経験では、他のベンダーのシステムを含めた環境でテストする際には、さまざまな設定作業や相互の言語解釈の違いなどから、接続できるまでに3日間、正常系の電文を受け渡せるまでに1週間程度かかることが多いです。しかし、DataPowerでは、1日目で正常系の電文を受け渡すことができました。業界標準に準拠するメリットはこういうことなんだ、すごいなという感想を持ちました」(益田氏)。

      このようにDataPowerを経由して電文を受け渡す点に関しては大きな苦労は生じませんでした。ただし、日本語文字の取り扱いに関しては、DataPowerの機能改善が必要であったり、アプライアンス製品を既存のシステムと同様に管理するためにみずほ銀行自体が独自にソフトウェアを作り込んで対処しなければならなかったりと、運用面ではいくつか解決すべき課題がありました。それでも、短時間で処理可能となったDataPowerの実績とコストメリットをみずほ銀行は高く評価しています。 

      「現在、DataPowerを使って、平文の電文とタグ付きの電文を変換しています。従来は、入出力電文をそれぞれ見比べて、変換のためのプログラムをC言語で記述していました。これに対してDataPowerでは、GUIによるドラッグアンドドロップの操作だけで平文とタグ付きの電文の内容を紐付けることができます。これによって、プログラム開発の生産性はかなり向上し、部分的には60パーセント以上改善されたものもあります」(益田氏)。実際にテストを進めていく段階で、電文の内容が何度か変更になり、都度変換のためのプログラムの修正が必要な状況となりましたが、その際にもDataPowerを使うことで、短時間にプログラムを修正し環境を反映を行うことができましたので、ハブが開発のネックになるということは一度もありませんでした。また、システム開発の終盤で作業リソースに余裕がなくなりPCを扱える程度の知識しかないSEの手を借りなければならないような状況になったときにも、DataPowerを使うことで目的の作業を無事に終え、品質を保つことができました。このようにDataPowerの導入は、コストを含めた生産性に大きな効果がありました。 

       

      将来の展望

      新モデルへの置き換えとともに新たな処理のためにIBM DataPower Gateway を増設

      現在みずほ銀行は、既存のDataPowerを新たなモデルに置き換えることを計画しています。「2009年に導入したモデルは、そろそろ5~6年使ってきたことになりますので、新しいモデルに入れ替えることを計画しています。また、第3ステップの次のフェーズとして預金や為替の処理を手がけていきます。その中でも引き続きDataPowerを使っていく計画です」(千崎氏)。

      今後、みずほ銀行は、第3ステップの開発を2016年12月までに終え、その後段階的に移行を行う予定です。すべての移行が完了すると、みずほのさまざまな業務、さまざまなチャネルがDataPower を介して連携されることになるので、今後もDataPowerの重要性は増していくと、みずほ銀行は考えています。

       

      お客様情報

      株式会社みずほ銀行は、国内最大級の顧客基盤を有するリーディングバンクとして、すべての個人・法人のお客さまに対して多面的・有機的な総合金融サービスを提供するため、常に利便性の向上に努めています

       

      テクノロジープラットフォーム

      ソフトウェア

      Solution Category

    • Other
      • FSS: Banking - Back Office - Core Systems Transformation
      • SOA for PLM