Business Challenge story

「エネルギーソリューションおよび総合生活サポートプロバイダー」を目指して

株式会社サーラコーポレーション、中部ガス、サーラ住宅株式会社の3社およびその傘下の企業から構成されるサーラグループは、1909年に都市ガス事業を開始したことからその歴史を積み重ねてきました。現在では、「生活にファインクオリティ。SALA」というブランド・メッセージの下、「エネルギーサプライ&ソリューション」「エンジニアリング&メンテナンス」「カーライフサポート」「アニマルヘルスケア」「ロジスティクス」「ホスピタリティ」「その他事業」の7つの領域で、40社以上のグループ会社が人々の生活をサポートする事業を展開しています。

創業以来、事業領域を拡大してきたサーラグループですが、それまで個別に展開してきた各事業を、組織の壁を越えて連携させ、「エネルギーソリューションおよび総合生活サポートプロバイダー」としてビジネスを展開することを目指す方針を打ち出しました。この方針について株式会社サーラビジネスソリューションズ(以下、サーラビジネスソリューションズ) 代表取締役社長 土屋 進司氏は以下のように述べます。

「生活サポート事業を展開するサーラグループの中心となるお客様は、個人の方々が中心となります。そのお客様の立場から、最も付加価値の高い商品・サービスを提供することを考えると、グループ各社が個別に事業を展開するのではなく、お互いが連携して、サーラグループの商品としてパッケージ化し、提供していくことが大切となるでしょう。その具体的な展開手段として、サーラプラザ店舗の活用、営業担当者による訪問、専用Webサイトの構築などを進め、お客様との接点を増やしていきたいと考えています」

個別組織の連携の第一歩として、中部ガスとガステックサービスの共同化の計画が2007年から進められました。両社は共にガス事業を展開している性質上、同じような業務をしていることから、同一エリアでの両社の共同体制を構築し、業務を効率化するとともに、お客様へのサービス向上を図るという計画です。

「その第一弾として、静岡県の磐田地区での統合が始まっていますが、両社の社員が1つ屋根の下で、1つの組織として業務を推進していくことによって、お客様へのサービス強化につなげるという取り組みが進められています。組織を統合するということは、システムも統合することになりますので、まずはお客様情報を一元化するという方針が決まりました。都市ガスとLPガスのお客様を合わせれば、ガス事業を基盤とした生活サポート事業を展開するためにも非常に有効なデータベースができあがることになります」(土屋氏)。

両社の扱うお客様情報はガス事業だけではありません。例えばガステックサービスの事業は、LPガス、家庭用の水の販売、リフォーム、保険など多岐にわたります。既存システムでは、これらのお客様情報が事業別のシステムで管理されていましたので、今回の顧客データベースの統合は、こうした個別の情報を一元化できるという効果も見越しています。

Transformation

ゴールを見据えて業務プロセスの変更を計画的に実行

サーラグループでは、中部ガスとガステックサービスの業務統合の計画作りを基本計画と実行計画に段階を分けて実施。そして基本計画を立案するためのパートナーとして、日本IBM(当時、IBM ビジネスコンサルティング サービス株式会社)を選択しました。

「6社によるコンペを実施したのですが、IBM以外の会社は、どのようなシステムにするのかということを中心とした提案だったのに対して、IBMの提案にはシステムの話は一切盛り込まれていませんでした。統合後に業務がどのように変わっていくのかというゴールをしっかりと見据え、そこに至るまでのステップが明確に示されている内容だったのです」とサーラビジネスソリューションズ SIグループ 壁谷 宜哲氏は、IBMを選択した理由について説明します。

その後、基本計画の策定に当たって、最初に行ったことが、コンポーネント・ビジネス・モデリング(以下、CBM)です。CBMは組織の壁に囚われずに、事業の「全体像」と「コンポーネント」を分析するために、新たな視点から事業の本質をとらえていくIBM独自のアプローチです。事業を求められる活動や能力によって、独立して機能する単位(コンポーネント)として切り出し、それらの関係性を把握するために、人材、プロセス、テクノロジーを調査します。

こうして基本計画を策定した後、実行計画作りの最終段階で具体的なシステム統合計画を検討。システム統合の第一段階として顧客情報の一元化を進め、その次の段階でERPを導入し、基幹業務の統合を図ることになりました。そして顧客情報の統合では、その後の各種システム統合にも対応できる拡張性を備える必要があり、そこで選択した方法がIBMのアセット(ソフトウェア資産)であるmulti channel transformation/channel integration server (以下、MCT/CISと略す)を活用したシステムのSOA化です。MCT/CISは、IBM WebSphere Application Serverで稼働するアプリケーション・ハブで、企業内の既存システムを統合し、コンポーネント化・サービス化を行います。中部ガスおよびガステックサービスの既存システムをMCT/CISに接続することにより、既存システムをほとんど改修することなく、統合顧客データベースを構築することが可能になります。また、開発中のWEBシステムとの接続を進めている他、将来的にERPシステムにも拡張を実現していくことでSOAの効果を発揮していきます。

「MCT/CISを活用したおかげで、既存の業務システムにほとんど手を入れる必要がなかったということは非常によかったと思います。ただ、中部ガス、ガステックサービス両社の既存システムは、それぞれ異なったテクノロジーで構成されていたため、それらをMCT/CISに接続する作業は我々にとって未知数でした。たとえばガステックサービスの基幹業務はPower Systems (IBM i)上にRPG言語で構築しており業務連携はバッチ形式で開発されることが通例で、RPG-WebService連携がサポートされているとはいえ、リアルタイムで連携は未経験の部分でした。しかし、その部分を苦労したおかげで、理想的な形でシステムを連携することができたと思っています」(壁谷氏)。

Benefits

一元化された顧客情報をマーケティング活動に有効活用

新しく統合された顧客情報システムは、2010年5月より稼働を開始しました。

「以前は、ガスのお客様、水のお客様というように個別にお客様情報を見ていましたが、すべてのお客様情報が統合されたおかげで、例えばあるお客様には、ガスと水の両方をご利用いただいている状況が、1つの画面ですぐに確認できるようになりました。将来的にはこのように統合された情報を分析して、マーケティングに活用していきたいと考えており、実際サーラコーポレーションでは、そのためにマーケティング部門を2009年12月に立ち上げました」(土屋氏)。

現時点での統合顧客システムは、システム全体を統合化していく計画の中においては過渡期といえる状態にあり、活用という観点では、今後が大切になってきます。

「新しいシステムはまだ稼働し始めたばかりです。システムというものは、構築したからといってすぐに効果が現われるものではありません。開発は完了しましたが、活用という意味ではまだスタートしたばかりです。当面の課題としては、名寄せを進めていき、より正確な情報を抽出することができることが求められます」(土屋氏)。

名寄せの作業が完了し、より正確な情報を取り出すことができるようになれば、ビジネス・インテリジェンスのテクノロジーを活用して、さらにマーケティングや新商品開発に役立つ有効な情報活用が実現すると考えています。

 

将来の展望

MCT/CISで構築した連携基盤をベースにさらなるシステム統合を推進

中部ガスとガステックサービスの業務統合は、今後もさらに進められ、保安系のシステムや料金系のシステムなどを統合していくという将来像も描いています。

「今回の開発でMCT/CISを活用したシステム連携の基盤ができたことは、将来のさまざまなシステム統合を見据えても非常に有効だったと思います。」(土屋氏)。

電化住宅の普及など、エネルギーの在り方、人々の生活スタイルなどは日々変化しています。サーラグループでもこうした変化に合わせて事業を進化させていく必要があります。

「お客様の価値観の変化や技術の進歩などに合わせて、わたしたちとしてもそれに応じたサービスや商品の展開を考えていきたいと思っています。ガスのいい部分、電気のいい部分を認識して、ベストの組み合わせをお勧めしていくことが大切になるでしょう。そしてお客様にとって一番価値が高いものは何かということを常に見極めながら、最適な商品やサービスの提供を続けていきたいと思っています」(土屋氏)。

サーラグループは、今後もさらにビジネスを発展させ、より豊かな人々の生活を力強くサポートし続けることをめざしていきます。

 

お客様情報

40社以上のサーラグループ各社のシステムの開発・運用・保守を請け負い、ITシステムの側面から総合生活サポート事業をバックアップ。高度な技術力と長年の経験の蓄積により、的確なシステム構築、安定した稼働を実現し、グループ全体の効率化、競争力強化に貢献しています。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Cloud
  • Systems Hardware
  • Systems Software