Business Challenge story

先進の医療情報システムで、最先端の医療を地域密着で提供

1981年に開院(当時、高知医科大学)された高知大学病院は、「敬天愛人」「真理探究」を理念として、高度な医療の提供、優秀な医療人の輩出、最先端の研究成果の医療への応用といった大学病院としての活動を継続しています。2003年10月には高知大学との統合、2004年4月には国立大学法人化といった組織改変を重ね、現在でもクオリティーの高い医療を提供する一方、医療の質と安全の確保、病院内のエネルギー節減、大規模災害に対する危機管理体制の構築など、組織の充実も図っています。

国立大学法人高知大学 医学部附属 医学情報センター 医学情報センター長 教授理学博士 奥原 義保氏は、高知大学病院の目指す医療について、以下のように語っています。

「高知大学病院は開院以来、約30年にわたり地域に密着した医療を提供してきました。近年は医療の質の高さと同時に安全・安心の医療を求める声が高まっていますので、当病院でも医療スタッフがそれぞれの専門性を生かして業務を分担しつつ、情報共有による連携を促進し、良質で安全・安心の医療を提供することを推進しています。高知県は高齢者の比率が高いこともあり、『日本一の健康長寿県』を目指す取り組みを推進していますが、当病院はそれに貢献していきたいと考えています」

高知大学病院では、医療業務の効率化、医療情報の有効活用などを実現するため、IT化を推進してきました。2002年にIBM Clinical Information System(以下、CIS)を導入し、各種医療業務をIT化。その後2007年の電子化宣言を機に、同年に電子カルテ・システムを、2008年に内視鏡部門システム、病理診断システム、窓口精算機を、2009年に生体画像ファイリング・システム、画像保存のPicture Archiving and Communication Systems(以下、PACS)を導入するなど、率先してIT化を推し進めてきました。

「電子カルテ導入などのIT化は、チーム医療の推進に大いに役立っています。例えば、1日当たり1人の患者の電子カルテにアクセスした医療チーム内のスタッフ数の推移を見ると、10人以上がアクセスする割合が高くなってきています。こうした情報共有は紙のカルテでは不可能なので、電子カルテが大きな役割を果たしています。また、ITは新しい技術だからというだけの理由で採用するものではなく、どのような医療を実現するのかという目標を見据え、ITで実現していくことが大切だと考えています」(奥原氏)。

Transformation

IBMデスクトップ・クラウドの導入で、端末のパフォーマンス向上、セキュリティー強化、運用保守の負荷軽減を実現

IT化を推進してきた高知大学病院ですが、IT環境に関して幾つかの課題を抱えていました。その1つが端末のパフォーマンスの問題です。従来は、クライアント・サーバー型のシステムで、端末のログイン時間に5分以上の時間を要していました。

2つ目の課題は、PC端末の老朽化に伴う運用負荷の増大です。高知大学病院では2007年に750台のPCを6年リースで導入を始め、その後の追加を含め、2012年11月の時点で850台のPCが稼働しています。しかし、当初6年リースで調達したものの、リース期間満了前にPCの老朽化が進み、修理などの保守コスト、対応負荷が増大してきました。

もう1つの課題はセキュリティーに関するものです。USBを媒介としたウイルス感染が懸念される一方で、モバイル端末の普及により、手軽に端末間のデータ共有が可能になってきました。

国立大学法人高知大学 医学部附属 医学情報センター 助教 博士(理学) 中島 典昭氏は、セキュリティー面での課題について、以下のように語っています。

「高知大学病院では、ユーザーの利便性を重視して、診療用PCから外部アクセスを可能にしてきました。従ってインターネットやUSBを介してファイルを共有することが可能になっています。ネットワーク的な制限やウイルス対策ソフトウェアなどで最大限セキュリティーに配慮しているのですが、対策を運用上のルールとして人手に委ねる部分もあり、システム的に完全にガードできているわけではありません」

高知大学病院ではこれらの課題の解決手段を検討した結果、デスクトップ・クラウドの導入を決定しました。課題解決の手段としてデスクトップ・クラウドを選択した理由について奥原氏は、次のように語っています。

「デスクトップ・クラウドであれば、アプリケーション処理はサーバー側で実行され、端末には画面のみが送られてくるので、セキュリティーの観点で安心です。また、パフォーマンスの観点でも端末のスペックに依存しないので、大幅な改善が期待できますし、新規導入するシンクライアント端末についても構造がシンプルなので従来のPCに比べて故障頻度が少なく、運用保守のコストや負荷軽減も期待できます。こうしたメリットを考慮した結果、デスクトップ・クラウドの導入を決定しました」

導入ベンダーについては、複数企業を対象に入札を行った結果、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)に依頼することになりました。

「日本IBMは、医療機関へのデスクトップ・クラウド導入実績が豊富なので、安心してお願いできると感じました。医療機関では、一般企業などへの導入とは異なった専門的な知識が必要ですので、このポイントは非常に大きいと思っています」(中島氏)。

日本IBMが提供するIBM SmarterCloud Desktop - デスクトップ・クラウド構築支援サービスは、お客様のクラウド環境にアプリケーションとデータを統合し、端末側には仮想デスクトップを提供するシステムを構築支援するサービスです。アプリケーションはクラウド上で稼働し、端末には画面のみを転送することで、パフォーマンス、データの管理、セキュリティーやバックアップ、保守業務などの課題を解決します。

 

iPod touchで専用端末を一新、看護師1人1台を実現、IBM Mobile Enterprise Servicesでモバイル端末管理

高知大学病院では、デスクトップ・クラウドの採用に伴い、リース期限が迫っている端末を刷新することになりました。まず、新規にシンクライアント端末 600台とWindows PC 360台を、さらに回診などの際に活用するiPad 50台を導入することが決定しました。

高知大学病院では、看護師が病床でバーコード・リーダー付の専用PHS端末を2007年より活用してきました。

「2012年の時点で180台の専用PHS端末で、患者認証などを行っていました。端末の機能には満足していたのですが、高価なため共用で使用していました。製造中止を機に、汎用で低価格のiPod touchが使えないかと検討しました。現場の看護師に試しに使ってみてもらったところ、機能面でも問題なく、高い評価が得られたことから採用を決定しました。導入コストが低いので、現場の看護師全員に配布でき、モバイル・アプリケーションを追加することで、活用用途が広がる点も採用を決定したポイントです」(中島氏)。

iPod touchの活用は日本IBMからの提案をきっかけに採用されました。

「日本IBMからiPod touchを使うことを提案していただきましたが、他社の製品であってもよいものを積極的にソリューションに組み込み、提案する姿勢は非常にありがたいと感じています。お客様視点でサービスを提供するという考え方が根底にあるからこそ実現したのだと思いますが、こうした点も日本IBMの魅力です」(奥原氏)。

iPod touchを600台導入するに当たって、例えば、iPod touchをどこかに置き忘れてしまった場合など、万が一の対応を含め、どのようにモバイル機器を安全に管理するのかが重要な考慮点でした。そして、その手段を探した結果、IBM Mobile Enterprise Services - モバイル端末管理サービスを採用することにしました。「遠隔ロック機能」「遠隔パスワード・リセット機能」「遠隔データ消去機能」「ダウンロード制限機能」など豊富な機能があり、お客様は特定の通信業者に依存せず、オンプレミスでモバイル端末を集中管理することが可能になります。医療機関では、高知大学病院が日本で初めての採用になりますが、他の分野では、海外も含め、すでに多くの実績があります。また、iPod touchに加えて、スマートフォン、PCなどにも対応しているため、将来的に適用範囲を広げて活用することも可能です。

Benefits

テスト環境で、事前に大幅なパフォーマンス改善を確認

高知大学病院と日本IBMは、デスクトップ・クラウドで50台のサーバーを仮想化し、そのクラウド環境への病院内アプリケーションの移行検証を、大阪の日本IBMの協力会社など、各拠点と連携して実施しました。各アプリケーション・ベンダーの協力を得て、当初の目標ではすべてのアプリケーションをデスクトップ・クラウド上に移行する予定でしたが、検証の結果、PACSや特殊な部門システムなど、一部の技術的に難しいものは見送ることになりました。また、稼働検証を進める中で、課題となっていたパフォーマンスについては、大幅な効果が見込めることが分かりました。

「これまでシステムの立ち上げに5分以上要していたのですが、テスト環境で検証した結果、40秒から45秒程度にまで短縮することが確認できました。またユーザー切り替えについては、従来2分から3分程度要していましたが、15秒程度にまで短縮可能でした。さらに端末の運用保守やセキュリティーの観点からもデスクトップ・クラウドに大きな成果を期待しています」(中島氏)。

 

将来の展望

さらに高品質な医療の提供を目指して

高知大学病院の新医療情報システムの本番環境の稼働に向けて、奥原氏は今後の展望について、以下のように語っています。

「今後、ITに期待する役割としては、業務の効率化よりも安全・安心で質の高い医療の実現への貢献ということの比重が高まっていくでしょう。デスクトップ・クラウドはその基盤として期待しています。また高知大学病院では、開院以来のすべてのデータを蓄積しており、医学研究の貴重な資産となっています。この蓄積された膨大なデータを有効活用し、医療品質の向上に役立つシステム実現についての検討を進めていきたいと考えています。高知大学病院は2014年に新病棟が完成予定となっていて、ヘリポートや手術室など救急用の設備も充実する見通しです。こうした設備なども活用して人材育成も含めた先端医療実現の取り組みを推進しながら、今後もさらにクオリティー高い医療の提供を継続しつつ、地域医療連携についてもさまざまな問題をクリアしながら推進していくために尽力していきたいと考えています」

今後も地域医療への貢献を続ける高知大学病院に、日本IBMはIT面から信頼されるパートナーとして、さらなるサポートを継続していきます。

 

お客様情報

1981年に開設された高知大学病院は、「敬天愛人」「真理探究」を理念として、高度な医療の提供、優秀な医療人の輩出、最先端の研究成果の医療への応用といった大学病院としての活動を継続。クオリティーの高い医療を提供する一方、医療の質と安全の確保、病院内のエネルギー節減、大規模災害に対する危機管理体制の構築など、組織の充実も図っています。

 

テクノロジープラットフォーム

サービス

ソリューション

  •  デスクトップ・クラウド CIS ソリューション 

 

Solution Category

  • IBM Cloud
    • HC: Collaborative Care and Health Information Exchange
    • IBM Smart Business Desktop on the IBM Cloud