Business Challenge story

ERPパッケージと周辺システムとの連携が開発のネック

イシダは中期計画の下で生産管理システムや販売管理システムのオープン化を進めています。また、グローバル化への対応を迫られる中、業務の流れ自体も変える仕組みの導入が必要と考え、さまざまな課題を抽出して、どのようなシステムが最もふさわしいか検討を始めました。イシダ 滋賀事業所 業務改革推進部 部長 今津和広氏は次のように話します。

「これまでは、販売管理、生産管理、会計の各システムが縦割りの状態でばらばらでした。それぞれでマスターを持ち、重複してデータを入力していました。このため、経営層に提示するデータの整合がとりづらかったり、経営判断がスピーディーに行えなかったりといった状況でした。このような課題を解決するため、ERPパッケージによる統合的なシステムを導入することにしました」

しかしERPパッケージによる基幹システムの刷新だけで課題が解決するわけではありませんでした。イシダでは基幹システムの周辺に代理店からの受注を管理するシステムや、サービス・修理を管理するシステムなど目的に合わせた個別システムを配置していました。このため、ERPパッケージによって基幹システムの機能を集約しても、既存の周辺システムとERPパッケージがスムーズにつながらなければイシダの業務自体が成り立ちませんでした。

既存の周辺システムを生かしながら、ERPパッケージとデータをやりとりするには、これらのシステム間を連携させる機能を開発し、既存のシステムにも修正を入れる必要がありました。しかし、社内開発した既存の周辺システムでは、それぞれのインターフェース部分をシステムの担当者が独自に決め、要求に応じて手を加えてきたことや、仕様書の記述が不足していることから、連携の仕方が課題となっていました。また、ERPパッケージ側にも内部でのデータ処理に関して不明な部分もあり、システム間連携の進め方を模索していました。イシダ 滋賀事業所 業務改革推進部 情報システム課に所属し、今回プロジェクト・リーダーを務めた小山浩氏は次のように話します。

「既存の周辺システムで使われているインターフェースを洗い出し、やりとりしているデータや入出力のタイミングなどを一覧表にまとめたところ、その数は388本もありました。また、ERPパッケージの導入チームは、新規のシステム導入で手いっぱいな状態で周辺システムとのインターフェース部分までは担えませんでした。しかし、ERPパッケージだけでは業務を進められず、周辺システムとの連携は絶対に必要でした。これまでと同じやり方では予定した工期に間に合わないため、どのような方法を採れば早く仕上がるのかと悩んでいたとき、YDCからSOAの考え方を採り入れたデータ連携基盤導入の提案を受けました」

Transformation

SOAの導入方法論を採用し方針策定。高ポイントのIBM Integration Busを選択

イシダはSOAの導入方法論に基づく開発手法を採用することによって、予定した期間で開発を終えられると考えました。

「ERPパッケージとのインターフェース部分を調べながら周辺システム自体に手を加えていくのはあまりにも時間がかかるため、それぞれを分業にしようと考えました。周辺システムの開発担当者はその作業だけに専念し、データの受け渡し方法やフォーマットといったインターフェース部分は別のチームに任せました。分業制にすれば作業が早く進みますし、本番稼働を迎えるまでインターフェース部分を構築し続けることもできます。分業で作業を進めるためには、方針の策定と連携フォーマットの標準化が必要となります。今回、周辺システムのインターフェース部分は、すべて仕様を見直し、方針を決めて作り直しました。将来のシステム見直し時に同様の作業をもう一度行うことなく、素早くメンテナンスできるようにするためにも、有効な方法だと考えました」(小山氏)

イシダはYDCの協力を得ながら、周辺システムに対するインターフェース部分の検討を進めました。YDC SOAソリューション事業本部 SOAソリューション部 BPMアーキテクトグループ グループ長 井元勇氏は次のように話します。

「開発のための方式を策定する上で、ERPパッケージ側と周辺システム側の両方でインターフェースに関する方針を合意しておくことが大事です。合意せずにシステムを作り始めてしまうと、担当者ごとに仕様がばらばらになり手戻りがとても多くなります。また、運用開始後も各システムでやり方がまったく違うものになってしまいます。今回の開発では、最初の2カ月間は方針策定に注力しました。ERPパッケージ側と周辺システム側の間に入り、意見を聞きながら両者の合意を得てインターフェース部分をまとめる点でご支援できたと思っています」

イシダはSOAの考え方を実装するために必要となるエンタープライズ・サービス・バス(以下、ESB)製品選定に当たっては、複数の製品の比較・検討を行いました。

「文字コードの変換やHTTPへの対応など、必要と思われる約30項目を挙げ、重み付けによってそれぞれのESB製品を比較しました。その中で最もポイントが高かったESB製品がIBM Integration Busでした」(小山氏)

IBM Integration Busは、他のESB製品も対応しているデータ・フォーマットに加えて、固定長や可変長のテキスト・データ、バイナリ・データなども扱え、データ・フォーマット変換のコーディングなしに効率よく開発を進められます。また、基幹業務との連携に多数の実績があり、稼働時のCPUやメモリーの利用率が他のESB製品に比べて少なく大量データ処理にも問題なく対応できることや、将来のBusiness Process Management(BPM)への展開のたやすさ、Webサービスを使った連携のやりやすさなどの技術的な面での優位性も、イシダがIBM Integration Busを採用した理由でした。

Benefits

周辺システムとのインターフェースを388本から90本まで削減

イシダは388本あった周辺システムのインターフェースを2012年7月から9カ月間をかけて、90本にまで減らしました。このインターフェース数の削減に効果的であったものの1つが「共通フォーマット」でした。共通フォーマットを作ってERPパッケージとのインターフェース部分につなぐことで、周辺の各システムは必要なインターフェース部分とデータを受け渡すだけで連携でき、個別にインターフェースを作る必要がなくなります。これによって、開発や保守の時間が短縮できます。また、イシダにとって初めてだったIBM Integration Busでの実装作業も、1週間ほどのトレーニングを受けただけで順調に進みました。

「類似した処理は、ひな型を基に容易に横展開することができました。実装作業という面では、このようなIBM Integration Busの機能を有効に活用できました」(小山氏)

そして、2013年5月27日、当初の予定どおりシステムが稼働し始めました。小山氏は、予定どおりに稼働できた理由の1つは連携基盤にあると話します。

「ESB製品を導入しただけでは予想以上に時間がかかってしまい、本番稼働に間に合わなかったかもしれません。経験豊富なYDCからの提案を受け、データ連携方針として導入方針、作業方針、実装方針、運用方針を決め、それらを基にIBM Integration Busを使い、共通フォーマットを作ってERPパッケージと周辺システムでのデータ連携を行ったことで、当初の目標を達成できました」

 

将来の展望

海外も含めたグループ会社間でのデータ連携に展開 イシダはERPパッケージとその周辺システムのデータ連携基盤を構築したことで、次のステップを目指しています。「今回のシステム連携基盤の構築によって標準化の1つが整いました。今後は周辺システムを統廃合していくとともに共通フォーマット化を進めていきます。また、今回と同様のシステムが海外にも存在するため、それらにも展開していくことを計画しています。さらに、グループ会社間でのシステム連携も推し進めていきたいと思っています」(今津氏)。イシダは、今後もIBM製品を信頼し、業務改革や意識改革を進めていく方針です。

 

お客様情報

株式会社イシダは、1893(明治26)年の創業以来、民間初のはかりメーカーとして先進の計量技術で社会に貢献しています。近年は、計量に加えて包装、検査、表示などの分野に事業領域を広げ、世界80カ国以上で事業を展開しています。

 

パートナー情報

株式会社ワイ・ディ・シーは、横河電機グループのシステム・インテグレーターとして、製造業のお客様にさまざまな製品、サービス、ソリューションを提供しています

 

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