香港応用科学技術研究院有限公司(ASTRI)

システムズ・エンジニアリングへのアジャイル・アプローチでインダストリー4.0を先導する

ASTRIは、顧客がスマート製造装置を迅速に作成し、デジタル・トランスフォーメーションを加速できるよう支援することに取り組んでいます。ASTRIは、IBM Engineering Systems Design Rhapsodyソフトウェアで、Model-Based Systems Engineering(MBSE)プロセスを使用して、作業中の機器のデジタル「ツイン」を作成します。これにより、エンジニアはソフトウェアの開発およびテストをより早期に行い、欠陥をより早く特定できるようになります。

ビジネス上の課題

スマート製造テクノロジーの開発を支援するために、香港応用科学技術研究院有限公司(ASTRI)は、顧客によりアジャイルな開発アプローチを導入したいと考えていました。

概要と経緯

ASTRIは、 Engineering Systems Design Rhapsody ソフトウェアを使用した要件駆動型分析とモデルベース設計を採用し、統合時間の短縮とコストの削減を実現しました。

成果 人的労力を40%削減し、
ソフトウェア・システムを物理的機器に統合するために必要な時間
30%減少
デジタル/フィジカル・ツイン・アプローチを使用した開発コスト
Hong Kong Awards for Industriesにて
2018年設備・機械設計賞受賞
ビジネス上の課題の詳細
新たな産業革命

私たちは産業革命の真っ只中にいます。第4次産業革命という意味合いを持つインダストリー4.0は、製造業の次なるステップです。これは従来型製造業のデジタル・トランスフォーメーションであり、オートメーション、スマート・テクノロジー、モノのインターネット(IoT)を製造装置に追加することで、共同作業や問題の自己診断および自己修復が可能なスマート・マシンを実現します。

ASTRIは、応用研究を通じて技術ベースの産業における香港の競争力を促進することを目的として、2000年に設立されました。ASTRIのサイバー物理システム部門は、MBSEを使用して、インダストリー4.0時代のスマート・ファクトリー向けのミッションクリティカルなシステムを設計、合成、検証することに専念しています。同部門は、製造業の顧客がエンジニアリング・ライフサイクル全体を最適化し、商品化までの時間を短縮し、開発コストを削減し、品質基準を向上させるために役立つソリューションを作成しています。

「デジタル化はインダストリー4.0を実現するためのキーワードだと思います」と、ASTRIのサイバー物理システム担当ディレクターのT. John Koo博士は述べています。「デジタルの世界は、情報技術分野で多くの素晴らしいクリエーションを可能にしてきましたが、製造業のデジタル化は、物理的な世界とデジタルの世界を実際に結び付ける時期が到来したことを意味します」

しかし、製造装置にデジタル技術を導入すると多くのメリットがもたらされる一方で、新たな課題も生じます。メーカーには、機器のソフトウェアのバグを修正したり、ネットワーク障害のトラブルシューティングを行ったりするために、組立ラインを停止する余裕はありません。ASTRIは、製造業の顧客が業務を最適化し、品質と生産性を向上させ、製造コストの上昇に対処するために必要なスマート機器の開発を、より効果的に繰り返す方法を見つけたいと考えていました。

デジタル化はインダストリー4.0を可能にするキーワードだと思います。 Dr. T. John Koo サイバーフィジカルシステム担当ディレクター 香港応用科学技術研究院有限公司(ASTRI)
概要と経緯の詳細
デジタル・ツインが開発を加速する

ASTRI は、よりスマートな製造装置をより俊敏に開発できる、要件駆動型の分析と設計へのアプローチを採用しました。同社は、開発中の機器の「ツイン」バージョン(1つはフィジカル・バージョン、もう1つはデジタル・バージョン)を作成します。

ASTRIは、Engineering Systems Design Rhapsodyソフトウェアを使用して、システム・モデルでデジタル・ツインを作成しています。IBMソフトウェアは、モデリング、シミュレーション、テスト、コードの生成のためのSystems Modeling Language(SysML)とUnified Modeling Language(UML)をサポートしおり、MBSEの使用が可能になります。設計エンジニアは、システム・モデルを使用して、デジタル・ツイン上でシミュレーションとテストを実行できます。エンジニアが設計上の欠陥を確認した場合、Engineering Systems Design Rhapsodyソフトウェアを使用して、分析・解決することができます。デジタル・ツインがうまく機能すると、アプリケーション・コードがコンパイルされ、フィジカル・ツインにロードされます。

デジタル・ツインをテストすることで、ASTRIは開発サイクルのかなり早い段階で設計上の欠陥を発見することができます。「従来のアプローチでは、ソフトウェアとハードウェアが完全に整うまでテストを行うことができませんでした」と、Koo氏は述べています。「つまり、完成した物理システムしかテストできなかったため、欠陥が見つかるのは開発サイクルのかなり後期になってしまうのです」さらに、モデルベースのシステム開発により、チームはライフサイクルの早い段階で顧客要件を募集・検証することができ、将来の設計変更をより俊敏に処理できるようになります。

デジタル・ツインにより、プロジェクトの開発における共同作業も容易になります。これまでテキストベースのドキュメンテーションに依存していたエンジニアリング・チームは、デジタル・ツインのデジタル資産をコラボレーションの基盤として使用できるようになりました。

成果の詳細
受賞歴のあるスマート機器の作成

デジタル・ツインを使用することで、ASTRIのエンジニアはフィジカル・ツインでのソフトウェア・パフォーマンスの検証に必要な時間を大幅に短縮しました。さらに、MBSEを使用すると、チームは開発ライフサイクルのより早い段階で顧客要件を募集・検証することができ、将来の設計変更をより俊敏に処理できるようになります。ASTRIは、ツイン・アプローチにより統合時間が40%短縮され、総開発コストが30%削減されたと推定しています。

この新しい方法論を使用して、ASTRIは顧客の1社とコラボレーティブ・モバイル・マニピュレーター(CMM)と呼ばれるロボット機器を共同開発しました。CMMは、人間の介入なしにクリーンルーム環境で自律的に動作するように設計されています。CMMには、深度センサー、ビジョン・システム、環境内でのナビゲーションの実行やピックアンドプレース・タスクの実行を可能にするマニピュレーターが装備されています。

開発が成功して以来、CMMは24時間365日稼動しており、以前は各作業シフトに5人のオペレーターが必要だった作業を行っています。ASTRIとその顧客は、2018年にCMMに対して、権威あるHong Kong Awards for Industries(HKAI)の装置・機械設計賞を共同で受賞しました。

ASTRIは、CMMなどのスマート産業機器の需要が今後も増加すると予測しています。「以前も需要は高かったのですが、新型コロナウイルス感染症以降は非常に高くなっています」と、Koo氏は述べています。「新型コロナウイルス感染症はあらゆる種類の混乱を引き起こしました。また、医療機器など、あらゆる種類の製品に対する需要も高まっています。製造施設を24時間稼働させる必要がある理由は数多くあるため、オートメーションとロボット工学の需要はますます高まるでしょう」

IBMからEngineering Systems Design Rhapsodyソフトウェアのトレーニングを受けた後、ASTRIのエンジニアは、ASTRIの顧客が開発しているシステムの品質と信頼性を確保しながら、開発期間を短縮するための支援を継続することができています。

香港応用科学技術研究院有限公司のロゴ
香港応用科学技術研究院有限公司(ASTRI)

ASTRI(IBM.com外部へのリンク)は、応用研究を通じて技術ベースの産業における香港の競争力を強化することを目的として、香港特別行政区政府によって、2000年に設立されました。ASTRIの研究開発活動は、スマートシティ、金融テクノロジー、インテリジェント製造、医療技術、特定用途向け集積回路に重点を置いています。ASTRIは、知的財産権の豊富なポートフォリオを構築し、さまざまな業種やセクターで多くの有能な研究者を育成してきました。ASTRIは、沙田の香港サイエンスパークにある施設で約670人の従業員を擁しています。

次のステップ

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法務

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米国で製作、2021年2月

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