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本田技研工業株式会社
自動車業界は、電動化とインテリジェント化によって製品価値を高めるという重大な課題に直面しており、従来の自動車の標準的な価値を超えたさらなる取り組みが求められています。リソースの効率的な活用は、製品価値とビジネスの持続可能性に直接影響します。ペースの速い今日の世界では、進化する顧客ニーズを理解することが、タイムリーな製品提供に不可欠です。ある取り組みでは、熟練技術者の知識を若手技術者に伝えるため、衝突安全車両開発の検討プロセスからAdvanced Expert System(A-ES)を導入しました。このプロセスで重要な衝突シミュレーション作業は、1回のシミュレーションに1日以上かかることが多く、エラーが発生すると大きな手戻りが発生していました。A-ESは単純作業を効率化し、価値創造のための時間を確保しました。しかし、A-ESのモデリング・ノウハウは時間がかかり、2万点を超える自動車部品のうち、わずか2~3点のコンポーネントの知識モデルを作成するのに400時間を要し、より広範なビジネス展開への課題となっていました。
IBMは、知識のモデル化の効率化を図るため、社内に分散しているノウハウが記載されたPowerPoint資料から、生成AIを用いて知識を抽出し、データベース化することを提案しました。Honda社の熟練技術者は、貴重な知識をPowerPoint資料に残しています。PowerPoint資料は図やグラフが豊富だが、テキストはまばらで、AIによる再利用を困難にしています。IBMは、大規模なマルチモーダル・モデル(LMM)を活用してグラフや図のコンテンツをテキストに変換し、AIが豊富なPowerPoint資料の知識の再利用を改善することを提案しました。テキストの知識をデータベースに保存することで、RAG検索のような知識活用が可能になります。2023年11月から12月にかけて実施されたIBM watsonx.aiの試験運用では、このアプローチの実現可能性が検証されました。
従来のA-ESでは、熟練技術者の経験を手引書にするために3年、手引書からモデルを作成するために1年かかり、A-ESによって得られた工数削減効果は、開発業務では30%、企画/管理業務では50%でした。生成AIを活用することで、Honda社の技術文書を文章としてモデル化できるようになり、モデル化期間が3年から1年に短縮されました。このアプローチにより、ドキュメントの活用領域が拡大し、業務効率が向上しました。IBMは、watsonxのインフラ・モデル・コンセプトとともに、価値検証からデリバリー、運用までをフルカバーするデモンストレーションを実施しました。LMMとLLMを適用することで、プロジェクトの実現可能性を確保し、PoCプロジェクトと将来の本番開発活動につなげました。
本田技研工業株式会社(ibm.com外部へのリンク)は、日本の東京都港区に本社を置く、四輪車、二輪車、バッテリー駆動機器を製造する世界的な輸送機器メーカーです。1959年以来、二輪車メーカーとしてはトップで、2019年までに4億台を生産しています。また、年間1400万台以上のエンジンを生産する最大のエンジン・メーカーでもあります。Honda社は2001年に日本第2位の自動車メーカーとなり、2015年には世界第8位となりました。
© Copyright IBM Corporation 2024.IBM、IBMのロゴ、および watsonx.aiは、米国およびその他の国または地域におけるIBMコーポレーションの商標または登録商標です。本資料は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国または地域であっても、特定の製品を利用できない場合があります。
引用または説明されているすべての事例は、一部のクライアントがIBMの製品を使用し、達成した結果の例として提示されています。他の運用環境における実際のパフォーマンス、コスト、節約、またはその他の成果は異なる場合があります。