Business Challenge story

部分最適された非効率なシステムをSOA、BPMで効率的なシステムへ

カシオ計算機では、システムの部分最適化が進んだことにより情報や業務が分断しているという問題が発生していました。そこでその課題を解決するための戦略として、同社のIT部門で三つの基本枠組を策定し活動していくこととなりました。

一つ目は、徹底した統合化・標準化をすることによりガバナンスを強化すること。二つ目は、統合化・標準化の土台の上に新技術を加え、他社より半歩先を行く差別化を図っていくこと。そして三つ目は、IT部門の役割として単なるインフラやシステムの導入にとどまらず、IT部門が業務改革を主導的に仕掛ける役回りを担うことです。それらの根底にある考え方は、絶えず全体最適を意識して行動することでした。 

この基本枠組みを実現するためにまず着手したことは、サーバーの統合と仮想化です。拠点ごとに分散され、20台以上も設置されていたIBM AS/400を1台のIBM System iに集約することで、EAIによる統合を果たしました。さらに、ERPを導入し営業拠点ごとに存在していた基幹システムも統合したことで、ハードウェアの基盤整備と基幹システムの業務標準化が実現しました。そこで次のステップとして、SOAやBPMによる各システムの連携とモジュール化基盤の構築を目指すことになりました。

「各システムのデータが連携することで、生産から販売へとつながるSCM全体のプロセスがシームレスにつながると考え、2007年ごろからSOAやBPMの研究をしていました。ただ、新技術を導入して早く効果を上げるためには、机上の研究だけでなくとにかく体験してみることです。そうすれば早期に有効性を見極めることができます」と、カシオ計算機株式会社 業務開発部 情報技術グループ グループリーダー 大泉 博昭氏は話します。

同社のこの試みに対応するパートナーとして、SOAやBPMについての経験やノウハウが豊富な日本IBMが選ばれることとなり、SOA、BPMの導入に向けたプロジェクトがスタートしました。

Transformation

人手に頼っていた販促物受注システムをBPMにより自動化

カシオ計算機では、カタログや展示台など、家電量販店や小売店に発送する販促物が数多くあります。しかし従来の販促物受注処理のワークフローでは、電話やFAXなど人手に頼る処理をしていたため、非効率的でありミスも多く発生していました。そこでIBMと協議した結果、この業務をSOA基盤のワークフローへと改革することを決定。BPMを検証するパイロット・プロジェクトとして開発していくことが決まったのです。

「BPMツールとして選んだのはIBM WebSphere Process Serverです。他社製ツールも比較検討したのですが、IBM製ツールはビジネス・プロセスの設計自由度が高くカスタマイズしやすいということが決め手となりました。また、弊社ではシステムを自社開発することが前提ですので、開発ツールは『自社要件に対して柔軟で融通が利き自由度が高い』ことが求められますが、SOAに基づいたビジネス・プロセスを構築できる追加コンポーネントであるIBM WebSphere Integration Developerは最適だと考えたのです」(大泉氏)。

SOAやBPMはミッション・クリティカルな部分であるため、高い信頼性が求められますが、その点でも「IBM製品なら安心して導入することができました」と大泉氏は話します。

こうして決まった「販促物受注BPM」を開発・構築していくには開発パートナーの協力も必要となりますが、それにはSOAやBPMの導入経験が豊富なユーフィットが当たることになりました。 「『販促物受注BPM』を実装する前のプロトタイプからかかわったのですが、パイロット・プロジェクトがスタートしてからは、IBMのSmart SOA™アプローチである『SOAオペレーティング・シナリオ』を導入しました。このシナリオを活用することで、短期間でSOAやBPMを効率よく検証することができました」と、ユーフィット ソリューションビジネス事業部 ソリューションコンサルティング部 シニアコンサルタント 入山 秀樹氏は話します。

Benefits

「SOAオペレーティング・シナリオ」により3カ月間でプロジェクトを完成

「販促物受注BPM」は、通常のシステム開発では約1年間の構築期間を要するような内容でしたが、「SOAオペレーティング・シナリオ」を活用することにより、わずか3カ月間でパイロット・プロジェクトを完成することができ、その半年後にはシステムの本番稼働に至りました。また、海外拠点においてもIT基盤を標準化、システム構築の期間を3分の1に短縮。ビジネスのニーズに迅速に対応できるようになりました。

「SOAやBPMを導入せずにシステムを構築しても、見かけ上では同じことができます。しかし、SOAやBPMのアーキテクチャーを活用することで開発スケジュールを大幅に短縮することができ、ユーザーへも迅速にサービスを提供することができます。これがSOAやBPMの大きなメリットだと思っています」と、ユーフィット ソリューションビジネス事業部 副事業部長 兼 ソリューション企画部 部長 川口 均氏は話します。

また「販促物受注BPM」が稼働したことにより、受注受付から出荷までのプロセスの自動化、可視化を実現。受注ミスや発送ミスがなくなるといった具体的な導入効果も表れました。

 

将来の展望

現場のプロセス改革を合わせて進めることにより、開発生産性10倍も視野に

「販促物受注BPM」が稼働した後には、部品情報を登録し資材を手配するシステムもIBMのBPMツールで開発しました。さらに今後の予定として得意先別損益管理システムも控えています。このように一部の業務システムにBPMを導入したことで、すでに一定の効果は見えてきています。そこで、「スモール・スタートで導入でき、あるべき姿へと徐々に近づけていけるのがSOA、BPMのメリット」と話す川口氏と入山氏。しかし、全社的な導入効果をもたらすためには、上流から下流までのすべてにBPMが導入されることが要求されます。そのためには現場のプロセス改革も必要になりますが、大目標である開発生産性10倍も夢ではありません。

「弊社のコアプロセスは『CPM』『PLM』『CRM』『SCM』の四つが挙げられますが、これらを、BPMにより顧客視点を持った形に再構築し整流化することが今後の目標です。コアプロセスを整流化することで見える化が実現し、経営と現場の双方を強化することができ、そこで初めて大きなビジネス・メリットが生まれてくると考えています」(大泉氏)。 競争優位を保持していくために、日夜チャレンジし続けているカシオ計算機。同社が目指す全体最適がBPMにより実現することで、その競争優位性も揺るぎないものとなるでしょう。

 

お客様情報

1957年、世界初の小型純電気式計算機「カシオ14-A」を商品化するとともにカシオ計算機株式会社を設立。1972年には世界初のパーソナル電卓「カシオミニ」がベストセラーに。1995年には液晶モニター付きデジタルカメラ「QV-10」を他社に先駆けて発売するほか、耐衝撃ウォッチの「G-SHOCK」シリーズや、薄型デジタルカメラ「EXILIM」シリーズをヒットさせるなど、「CASIO]ブランドのもと、「世界初」「独創的」「最先端技術」を実現したモノづくりを追求しています。

 

パートナー情報

1970年、銀行系情報処理会社として設立。以降、金融業界にとどまらず、公共部門から、流通・製造業界まで幅広く、システムサポート活動の実績を積み重ねながら、コンサルティングからシステム設計、開発、運用、保守まで、上流から下流まで幅広い総合ITサービスを提供しています。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

IBM WebSphere Process Server

IBM WebSphere Integration Developer

ソリューション

SOA

BPM

 

Solution Category

  • Systems Software