Business Challenge story

情報の“量”と“鮮度”を高め企業構造改革と企業風土改革に貢献する

1914年の創業以来、ガラスびん製造を事業の柱として歩みを続けてきた日本山村硝子は、日本の容器産業をリードする企業として確固たる地位を築いています。しかし、国内ガラスびん需要は1990年をピークに減少を続けており、厳しい状況にあります。日本山村硝子は目前に控えた創業100周年を実りある通過点とし、次の100年の新しいステージに進むため、「世界のYAMAMURAへ—心と技術を伝えたい—」をビジョンとして策定。経済成長著しいアジア地域をはじめとする海外展開を進めるとともに、さらなる高付加価値製品の研究・開発を実現すべく、グループ各社の総力を挙げて事業構造改革と企業風土改革に取り組んでいます。

そこでの重要な鍵を握るのが、ITによるイノベーションです。日本山村硝子グループ全体の情報システム部門としての役割を担っている山村倉庫株式会社(以下、山村倉庫)は、「グループ内の豊富な情報に効率よくアクセスできて発信できるよう、情報の“量”と“鮮度”を高める」ことを自らのミッションととらえて取り組みを進めています。

山村倉庫 管理本部 情報システム部長の佐藤修氏は、背景にある課題をこのように話します。

「これまでどおりの縦割り型の組織からは、新しい発想はなかなか生まれてきません。グループ内のさまざまな事業がそれぞれの強みを生かしつつ、シナジー効果を発揮していくこと。そして、営業や商品企画、研究・開発、生産など、立場の異なる幅広いエンドユーザーの声を吸い上げ、お互いに知恵を出し合いながら総合力でお客様のニーズに応えていく。そうしたインフラを構築したいと考えています」。

山村倉庫 管理本部 情報システム部で課長を務める高松浩氏も次のように説明します。

「日本山村硝子における海外市場開拓は、M&Aを中心に進められており、経営陣が迅速な判断を下すための情報提供が求められています。もちろん、情報を求めているのは業務部門の管理職や一般社員も同様です。国内のグループ会社や事業所、海外拠点とも、場所や時間の制約を払拭してリアルタイムにコミュニケーション、コラボレーションができる環境を整え、ビジネスのスピードアップを図らなければなりません」。

そこで日本山村硝子は、次のような基本方針に沿って新たなITインフラの整備に臨んでいます。

  • サーバー統合の推進

これまでグループ各社が業務単位にサーバーを導入してきた結果、データセンター内には部分最適された約100台の物理サーバーが乱立。さらに台数は増え続ける傾向にあり、運用管理の負荷は限界に達していました。これらの物理サーバーを仮想統合することでリソースの有効利用を進めるとともに、運用管理の一元化による効率化を図ります。また、グローバルにITサービスを提供していく共通基盤として、将来的にはプライベート・クラウド環境の構築も検討しています。

  • コミュニケーション基盤の刷新

日本山村硝子は、グループ各社で個別に運用していたコミュニケーション基盤を統一するという目的から、2007年にNotes/Domino 7.0.1を導入し、情報共有・連携の非効率を解消しました。その後、7.0.2から8.0.1へとバージョンアップを重ね、約6年間にわたってNotes/Dominoを利用。現在のユーザー数はグループ全体で約1,450名、データベース数は各自のメールボックスも含めて約1,700に及びます。ただ、その利用のほとんどが、メールと掲示板にとどまっているのが実情です。

「ワークフローを活用したビジネス・プロセスのスピード化、組織の垣根を越えたリアルタイムの情報共有などを実現し、企業風土改革を推進していくため、コミュニケーション基盤の強化が急がれます」と高松氏は強調します。

  • モバイルの利便性向上

従来、ユーザーがNotes/Dominoサーバーにリモート・アクセスするためには、BlackBerry専用のアクセスと、その他のモバイル端末を対象としたsMobileを利用したアクセスとが用意されていました。

「この二分化していた方法を統一して利用環境と運用管理をシンプルにするとともに、モバイル端末からもメールの添付ファイルを開けるようにするなど、ユーザーの利便性向上を図っていく考えです。また、コミュニケーション基盤強化の一環として導入を計画しているワークフロー機能と連携させ、モバイル端末からも申請や承認を行えるようにすることを目指しています」(高松氏)。

Transformation

Flex Systemの拡張性を生かしNote/Domino 9.0環境を統合

  • 高い信頼性と効率的なシステム運用を目指してFlex Systemを採用

グループ各社に乱立するサーバーをいかなる手段で統合するか——。この答えを探る中で、日本山村硝子が選択したのがIBM Flex Systemです。

「これまでも主要な業務システムにIBMのサーバーを利用してきた実績があり、安定稼働に対する信頼性から、IBMの提案を採用することにしました」と佐藤氏。高松氏も、採用の決め手をこう話します。

「Flex Systemの一番の魅力は同一シャーシ内にサーバーからストレージ、ネットワークまですべてのコンポーネントを最適に統合することができ、短期間でシステムの稼働を実現できることでした。また、同時にFlex Systemの将来性も評価ポイントでした。Flex Systemは、高速ネットワーク技術を搭載した次世代基盤であり、今後10年のクラウド時代に求められる高集約統合を可能とするため、長く安心して使い続けられると考え、採用しました。結果として、システムの安定稼働を維持したまま、サーバーの台数を減らすという私たちの命題を満たせた上、将来に対するビジョンも描くことができたのです」。

こうして2012年12月に導入されたFlex Systemをベースに、同社は第1ステップとしてファイル・サーバーの統合から着手。2013年5月に運用を開始しました。

  • Notes/Domino 9.0へのバージョンアップを選択

さらに、間を置くことなく第2ステップとして着手したのが、コミュニケーション基盤の統合です。Flex Systemにシャーシとコンピュート・ノード(サーバー)を追加し、リソースが拡張された仮想化環境に、新たなコミュニケーション基盤としてIBM Notes/Domino 9.0を導入することになりました。もともとNotes/Dominoユーザーである同社にとって、今回はその最新バージョンへの移行となります。

他社のコミュニケーション基盤に乗り換えるという選択肢もある中、今回もNotes/Domino 9.0を選択した理由を、山村倉庫 管理本部 情報システム部の堀田咲氏は、次のように説明します。

「Notes/Dominoであれば、私たちがコミュニケーション基盤の強化において目標としているモバイル連携やワークフローの機能を容易に取り込むことができます。既存資産を継承しながらNotes/Domino 9.0にバージョンアップすることが、日本山村硝子グループにとって最善だと判断しました」。

具体的に同社が着目したNotes/Domino 9.0の機能は、次のようなものです。

Notes Traveler

Notes/Dominoサーバー上に保存された個人のメール、カレンダー、ローカルアドレス帳、To Doリストなどの情報を、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に同期させることができます。 「BlackBerryとそれ以外のモバイル端末で2分化していたリモート・アクセスの仕組みをNotes Travelerに統一し、グループ全体で一貫したセキュリティー・ポリシーのもとでガバナンスを効かせた運用を実現します」(高松氏)。

XPages

Web2.0の技術を取り込んだアプリケーション開発環境で、Ajaxを利用した柔軟性に富んだユーザー・インターフェースを比較的簡単に作成することができます。 「過去のワークフロー資産が少ないことは、足かせがないという意味では好都合でもあり、XPagesの柔軟性を最大限に活用しながら、自由な発想のもとでワークフロー機能を構築していきたいと考えています」(高松氏)。

Benefits

物理サーバー台数を大幅削減し、最適化されたITインフラを実現

日本山村硝子では、先行導入していたFlex SystemをベースにNotes/Domino 9.0の導入を行いました。導入の結果、以下のような効果が上がっています。

  • 物理サーバー数と電力使用量を大幅に削減

まず特筆すべきは、多様なワークロードに柔軟に対応できる高度な仮想化技術を実装したFlex Systemならではのサーバー統合の効果です。日本山村硝子では今回、ファイル・サーバー台数を9台から1台に、Notes/Dominoサーバーを18台から9台に削減することができました。 これに伴い、「電力使用量は従来の約3分の1に低減しました」(高松氏)という画期的な省エネひいてはコスト削減のメリットをもたらしています。

  • パフォーマンス向上とともに全体最適化が容易に

日本山村硝子では、Flex SystemとNotes/Domino 9.0の組み合わせにより、以前よりもパフォーマンスが向上したと評価しています。

また、今回のプロジェクトは、今後全社システムの全体最適化を進める上でも重要な位置づけになったと高松氏は見ています。

「個別にサーバーを立てている場合、リソースの配分はいかに事前に計画を立てても、想定どおりにはなかなかいきません。しかし、統合化して定期的に見直していけば、全体最適が実現できると考えています。具体的には、ファイル・サーバーの使用率は、日本山村硝子は80数%で、山村倉庫は50数%でした。それをFlex Systemに統合することで、リソースの効率的な使用と使用率向上につなげられます」。

  • 煩雑だった運用管理を省力化

統合されたリソースの管理がIBM Flex System Managerに一元化され、煩雑だった運用監視を少数のオペレーターでまかなえるようになったのも大きな成果です。現在、山村倉庫の情報システム部では、わずか12名のスタッフでグループ全社のシステムの運用管理を担っており、日常のメンテナンス作業やトラブル対応で手いっぱいになることも少なからずありました。Flex Systemをベースとした統合によって、こうした煩雑な運用管理から脱却。「統合化により、サービス・レベルを維持・向上しつつ、システム運用体制の省力化を図ることができました。結果として、今後は新たなシステムの企画にワークロードを振り向けられるようになります。グループ全体のITを担当する我々にとって、より経営に貢献できる仕組みの企画・提案を積極的に行う必要があるのです」と佐藤氏は話します。

  • 直感的に操作できるコミュニケーション基盤へ

Notes/Domino 9.0について堀田氏が評価するのが、旧バージョンに比べて大幅に改善されたユーザー・インターフェースです。

「以前のバージョンとの違いを最も感じたのはデザインです。細かい部分が良くできており、例えばNotes/Domino 9.0では、アイコンをクリックするだけで必要な機能を同時に表示しておくことができ、使い勝手がとても良くなりました。画面デザインも非常に分かりやすく洗練化されていて、標準的なITリテラシーを持ったユーザーであれば、マニュアルを参照せずとも直感的に操作できるのではないでしょうか」。

また高松氏は、将来的に期待する効果についても言い添えます。

「新バージョンである9.0から、製品の名称がLotusからIBMへと変わりました。“本当のIBM製品”になったことで、今後バージョンアップがあった際にも下位互換が保証されるなど、長い目でツールとして成熟させていけるのではないかと期待しています」。

 

将来の展望

グループ全体のワークスタイル改革やビジネスのスピード化を支えるITを目指す

「情報の“量”と“鮮度”を高める」という目標に向けて、日本山村硝子は社内ポータルの整備に向けた取り組みをさらに加速させていきます。

まずはモバイルと連携したワークフロー機能の構築ですが、グループに先行して山村倉庫社内での実践および検証を進める計画です。

「組織の垣根を越えたコラボレーションを支えるという観点からは、グループ全体の一貫したワークフローを構築することが理想です。しかし、現状のビジネス・プロセスをそのままシステムに置き換えるだけでは全く意味がありません。業務改革と一体となって実践することで、はじめてワークフローの真価が発揮されます。そこでまずは目の届く社内から始めてノウハウを蓄積し、グループ全体として最適な方法を探っていこうと考えています」と佐藤氏。

次に目指すのが、強化されたコミュニケーション基盤をより使いやすいものにしていく社内ポータルの整備です。1つの画面からメールのほか、掲示板やカレンダー、Web会議などのグループウェア機能に一元的にアクセスできる環境を整備する計画です。コミュニケーション基盤を進化させていくことについて、高松氏はこう話します。

「ITがビジネスに浸透してきた結果、『よりハイレベルなシステムを提供しても、エンドユーザーがついてきてくれる』ようになりました。逆に言うと、それを使いこなせないと会社で生き残れない時代に入りつつある。それほど情報を自分で取得することが重要になっています」。

その目線の先には、同じポータル上にソーシャルの仕組みも取り入れていきたいという構想を描いています。

プライベートでFacebookやTwitterなどのSNSを利用する社員が増える中で、「なぜ社内には同じようなコミュニケーションの仕組みがないのか?」という声も聞かれ始めています。日常で困っていること、悩んでいることを投げかけると、誰かが答えてくれるのがソーシャルの良いところです。ビジネスも同じで、すでに誰かが解決した問題については、二人目は悩まなくてすむという環境を整えていかないと、今以上に生産性を高めることはできないと考えます。

Flex SystemとNotes/Domino 9.0を刷新することで、経営基盤を支えるシステムの強化を行った日本山村硝子。トップシェアを握る技術力を強みに「世界のYAMAMURA」への躍進を目指す同社の挑戦は今後も続きます。

 

お客様の声

“統合化により、サービス・レベルを維持・向上しつつ、システム運用体制の省力化を図ることができました。結果として、今後は新たなシステムの企画にワークロードを振り向けられるようになります。グループ全体のITを担当する我々にとって、より経営に貢献できる仕組みの企画・提案を積極的に行う必要があるのです”

山村倉庫 管理本部 情報システム部長 佐藤 修氏

“Flex Systemの一番の魅力は統合化されているところです。サーバーからストレージ、ネットワークまですべてのコンポーネントが最初からインテグレーションされており、短期間でシステムの稼働を実現することができます。システムの安全性を維持したまま、サーバーの台数を減らすという私たちの命題を満たす選択でした”

山村倉庫 管理本部 情報システム部 課長 高松 浩氏

“Notes/Domino 9.0では、アイコンをクリックするだけで必要な機能を同時に表示しておくことができ、使い勝手がとても良くなりました。画面デザインも非常に分かりやすく洗練化されていて、標準的なITリテラシーを持ったユーザーであれば、マニュアルを参照せずとも直感的に操作できるのではないでしょうか”

山村倉庫 管理本部 情報システム部 堀田 咲氏

 

お客様情報

「事業は人なり」「商いの基は品質にあり」「革新なくして未来なし」の3つを基本理念に掲げ、1914年の創業以来、着実に成長を遂げてきた。ガラスびん製造において国内市場でトップメーカーの地位を維持する一方、粉末ガラスを主力製品とするニューガラス事業やPETボトル事業など、多岐にわたる事業を展開。国内外を拠点にさらに事業領域を拡大し、グループ全体が一体となり総合力を発揮することで、お客様からのあらゆるニーズに応える技術とサービスを提供していくことを目指している。

 

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