Business Challenge story

部門ごとに設置されたファイル・サーバーを統合し、セキュリティーをより強化

日本写真印刷は、「活字印刷であれば誰でもできる、他社の手掛けない高級印刷をやろう」というメッセージを掲げ、1929年に創業しました。以来、印刷技術を核としてさまざまな製品・サービスを通して社会に文化的・経済的な価値を提供し続けています。

日本写真印刷 上席執行役員 最高情報責任者(CIO) 管理企画室長 コーポレートSCM部門担当 青山 美民氏は、日本写真印刷のビジネス推進をバックアップするIT活用の重要性について以下のように説明します。

「第4次中期経営計画の中で作成したIT中計の計画通りの達成は当社の経営計画を達成する上での必須要件であると考えています。クラウド、モバイル端末、ソーシャル・メディアなど多くの選択肢が増える中、企業のIT部門にとって、どれを採用・集中投資し、ユーザーにサービスとして提供していくかは、企業の業績に直結する非常に重要な意思決定となります。特に当社のIT部門は、国内外のすべての関係会社に対し、ほとんどすべてのアプリケーションとインフラストラクチャー・サービスを提供していますので、その選択はより重要になります」。

多彩なビジネスを展開する日本写真印刷では、Office系データ、設計データ、印刷データなどさまざまなデータを扱っています。こうしたデータの保管については、部門ごとに設置されたファイル・サーバーを活用していました。しかし、この部門ファイル・サーバーの運用状況には幾つかの課題がありました。最も大きな課題はセキュリティー上の懸念です。ファイル・サーバーはそれぞれの部門が独自に運用しており、管理が全社で標準化されていなかったことから、セキュリティー上のリスクを払拭しきれませんでした。このリスクについて、日本写真印刷 IT部 インフラストラクチャーグループ 乾 芳久氏は次のように説明します。

「2010年11月から2011年1月末にかけて日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)に『IT計画セッション』を実施していただきましたが、その中で日本写真印刷のIT環境について検証したところ、部門ファイル・サーバーの運用にセキュリティー上のリスクがあると診断されました。これを受けてファイル・サーバーの統合に向けた検討を開始しました」

それまでファイル・サーバーの運用には部門の非ITスタッフが当たっており、その運用業務の負荷とコストも大きな課題となっていました。またファイル・サーバーは合計すると120TBに上る容量がありましたが、これは分散して活用していたために空き容量も多く、無駄なリソースを抱えているという状況にありました。

こうした課題を解決するため、日本写真印刷では統合ファイル・サーバー導入の検討を開始。まず、ファイル・サーバーの活用状況について調査を行った結果、実際にはストレージ容量としては、42TB程度が必要だということが分かりました。この活用状況を踏まえ、日本IBMから統合ファイル・サーバー導入について提案され、最小容量(6TB)のファイル・サーバーを初期導入し、その後必要に応じて増設していく方法が採用されました。この方法であれば初期コストを抑えられ、必要容量の増設も容易に行うことができます。

Transformation

リアルタイム圧縮を有効に活用し、ストレージ・リソースを大幅に節約

導入するファイル・サーバーとしてはIBM System Storage N6240(以下、System Storage N6240)が採用されました。System Storage N6240は、高水準のアプリケーション可用性を実現するIBMのミッドレンジ・ストレージ・システムです。高いパフォーマンスを発揮すると同時に、柔軟性と拡張性に優れているので、将来的な増設にも容易に対応可能です。

「System Storage N6240は管理面で優れていることを評価して採用を決定しました。特にバックアップ機能が充実しており、データの復元もユーザー側からの簡単な操作で実行できるという点は大きなメリットでした。以前の環境では、データ復元の要請があった場合、それを受けてIT部のスタッフがファイル・サーバーから復元していたので、運用負荷が大きく削減されることになりました」(乾氏)。

また、最小容量のファイル・サーバーを最大限に有効活用するため、保存データのリアルタイム圧縮機能を提供するReal-time Compression Appliance STN6500の導入も決定されました。Real-time Compression Appliance STN6500は、リアルタイム圧縮技術を駆使したアプライアンス製品で、ディスク・スペースの大幅な節約を実現します。リアルタイム圧縮はIBM独自の技術で、一般的な圧縮方法とは異なりデータは保存時にリアルタイムで圧縮されるので、余計な保存スペースを必要とせず、また、データを取り出す際にもリアルタイムに解凍されるので、最小限のパフォーマンス劣化でディスク・スペースの節減に貢献します。また圧縮されたデータの変更時には、一般的には圧縮後のデータは可変長となるため、部分的なデータ更新でも、データ全体を解凍する必要がありましたが、リアルタイム圧縮では圧縮後のデータを固定長とすることで必要な部分のみを更新することが可能となります。

「最初にリアルタイム圧縮の仕組みを聞いた際、本当にそのようなことが可能なのかと驚くと同時に、これは非常に有効な技術だと思いました。この圧縮方法ではユーザーが圧縮することを意識せずに使えるので、ユーザビリティーに優れていることも大きなメリットです。当初レスポンスが低下しないかという懸念がありましたが、実際にデモ環境でテストしてみた結果、まったく問題にならないことが分かりましたので採用を決定しました」(乾氏)。

統合ファイル・サーバーは京都本社内に設置され、ほかの事業所も含めた各部門のユーザーが扱うデータはここに一括で保存します。ファイル・サーバーにアクセスする際はReal-time Compression Appliance STN6500を経由し、保存時にはデータの圧縮が、そして取り出す際はデータの解凍が自動的に行われます。統合ファイル・サーバーはさまざまな部門が利用することから、高い可用性が求められるため、System Storage N6240およびReal-time Compression Appliance STN6500は冗長化構成を採用しています。

統合の対象となるデータは、WindowsのPCで扱うデータ全般となりました。

「当初はMacのPCで扱う印刷データなども統合したかったのですが、Windows系のデータと共存させることが難しかったため、Mac系のデータの統合は見送りました。そうは言ってもWindowsで扱うデータは、Office系のものをはじめとして、設計で使うCADデータなども含まれますので、相当な量のデータを統合することになりました」(乾氏)。

データの統合に当たっては、セキュリティー・ポリシーを追加し、幾つかの新たなルールが決められました。その1つは、部門で独自にファイル・サーバーやストレージ、外付けハード・ディスク・ドライブなどを設置することを禁止し、対象となるすべてのデータを統合ファイル・サーバーで一括管理するというものです。

「統合ファイル・サーバーに集約することは、管理面の利便性から賛同してもらえる部門があったと反面、アクセス面のユーザビリティー低下に対する懸念から難色を示す部門もありました。しかし、セキュリティーの必要性から説得した結果、一通りの賛同を得ることができ、統合ファイル・サーバーへの移行に踏み出すことができました」(乾氏)。

また、データの保存についても新しい方針が示されました。

「まずは特に必要性がなければ2年以上経過したデータは保持しないという方針を立てました。すべてのデータをむやみに保存したままにしていては、ストレージを増強し続けなければならなくなりますので、コスト面を配慮するとこの方針が必要になります。組織改編などのタイミングで部門ごとに新しいフォルダーを作成し、古いフォルダーから必要なデータを移してもらい、その作業が完了したら古いフォルダーをすべて消去します。このように古いデータを見直す機会を作ることで不必要なデータが延々と蓄積されていくことを防ぎます。また部門ごとのデータ容量や部門をまたぐデータの保存場所などについてのルールも定め、それに応じてファイル・サーバーの設計を進めました」(乾氏)。

Benefits

平均約56%の圧縮率を実現し、ディスク容量を大幅に節約

統合ファイル・サーバーは、2011年8月中旬までに機器の設置が完了し、構成設計やデータ移行の手順の計画作りなどの作業を経て、同年10月末から稼働を開始しました。データ移行は同年末までに完了しましたが、統合データは初期導入の6TBの容量で十分に収まりました。

「最終的な圧縮率は、ファイルの種類によって差はありますが、全体平均で約56%にもなりました。この圧縮効果と新ルールに基づくデータの整理を行った結果、すべてのデータはコンパクトに収まり、大幅な容量の節約が実現できました。今後も運用ルールを徹底していけば、しばらくはディスクの増設は必要ないという状況にあります」(乾氏)

統合ファイル・サーバーの稼働開始後は、それまで部門ごとに行っていたファイル・サーバー管理負荷が削減されました。

「以前は部門ごとにアクセス権の設定などの運用管理を行っていましたが、こうした作業をIT部が一括して行うようになったことの成果は大きいと思っています。部門のスタッフはIT専門の担当ではなく、通常の業務を行いながらファイル・サーバーの管理も行っていたので、その負荷がなくなり、本来の業務に集中できることは企業価値向上につながっているといえるでしょう。また運用コストも当初年間7,000万円ほど削減できると試算していたのですが、おおむね達成できているのではないかと思います」(乾氏)

 

将来の展望

統合ファイル・サーバーをコラボレーション環境として活用

統合ファイル・サーバーに関する今後の展望について、乾氏は以下のように述べます。

「これまで統合ファイル・サーバーは、単にデータを保管する機能を中心に使われてきましたが、今後はコラボレーション環境として活用していくことを計画しています。現状ではアクセスできるデバイスが限定されているなどの問題もあるので、いつでもどこでもどのデバイスからでもアクセスできるように改善する予定です」

最後に青山氏は、日本写真印刷の今後のビジネス展望とそれをサポートするIT戦略の推進計画について説明します。

「当社は今回のファイル・サーバー統合を皮切りに、IBM System x3950 X5を導入しビッグデータへの対応を行うなど戦略的な投資を続け、来たるべき業績の拡大に備えてきました。今後はクラウドやモバイルなど次々と出る新しいサービスを評価しつつ、戦略的に全社員向けのサービス・メニューを増やしていきたいと思っています。ITインフラの改善を進めるには信頼できるパートナーを活用することが必須条件です。IBMの技術力の高さと仕事に対するコミットメントには高い信頼感を持っていますので、今後のIBMと当社との戦略的パートナーシップに大いに期待しています」

日本写真印刷は、今後も増え続けるデータを有効に活用しながら、さらなるビジネスの飛躍を遂げることでしょう。

 

お客様の声

日本写真印刷株式会社 上席執行役員 最高情報責任者(CIO 管理企画室長 コーポレート SCM部門担当 青山 美民氏

「ITインフラの改善を進めるには信頼できるパートナーを活用することが必須条件です。IBMの技術力の高さと仕事に対するコミットメントには高い信頼感を持っていますので、今後のIBMと当社との戦略的パートナーシップに大いに期待しています 」

日本写真印刷株式会社 IT部 インフラストラクチャーグループ 乾 芳久氏

「リアルタイム圧縮は非常に有効な技術だと思いました。ユーザーが圧縮することを意識せずに使えるので、ユーザビリティーに優れていることも大きなメリットです。当初懸念したレスポンスについてもまったく問題ありません」

 

お客様情報

日本写真印刷は、「活字印刷なら誰でもできる、当社は他社ができない高級な写真印刷をやろう」というメッセージを掲げ、 1929年に創業を開始。以来、印刷技術を核としてさまざまな製品・サービスを通して社会に文化的・経済的な価値を提供し続けています。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

  • IBM System Storage N6240
  • IBM Real-time Compression Appliance STN6500

Solution Category

  • Systems Hardware