Business Challenge story

仮想化技術の導入によって、20台の物理サーバーを6台に集約

システム・ランドスケープ全体の最適化として、同社では仮想化による物理サーバーの削減と同時に、運用効率の改善、運用コストの削減を目指しました。既存のSAPシステムは、約20台の物理サーバーで運用されていましたが、IBM System x とWindows Server 2008 R2 の仮想化機能Hyper-V により、物理サーバーは6台に集約されました。 ラック数も3台からから1台に削減され、サーバーの導入・保守費用だけではなく、データセンターの利用費も大幅に削減することができました。この仮想化により、SAPシステムは64bit版カーネルへと移行していますが、ABAPプログラムを修正する必要はありませんでした。実際にハードウェアを更新したのは、以下の10システムです。

  • SAPシステム:本番機、品質保証機、開発機
  • SAP NetWeaver Business Warehouse(BIツール):本番機、品質保証機、開発機
  • JP1(運用管理):本番機、テスト機
  • Super Visual Formade(帳票開発):本番機、テスト機

「単純計算ですが、データセンターの月額費用とハードウェア、ソフトウェアの保守費の合計で30%程度のコスト削減が実現しました」(羽生氏)。

Transformation

ユニファイド・ストレージIBM Nシリーズの導入により運用効率が改善

新しいストレージには、高性能ユニファイド・ストレージであるIBM System Storage N3600(以下、N3600)を採用しました。N3600は、サーバーとストレージとの接続にコスト・パフォーマンスに優れたiSCSIを採用し、MCS(Multiple Connections per Session)による負荷分散でFC(ファイバーチャネル)と同等の帯域を確保すると同時に、高い冗長性を確保しています。

SAPシステムとSAP NetWeaver Business Warehouseの本番データの日次バックアップは、N3600の機能であるSnapshotにより数秒で完了し、約1カ月分(40世代)のバックアップをディスク上に保持することができます。D2D2T(Disk to Disk to Tape)によるバックアップであるため、これまで頻発していたテープ装置トラブルによるバックアップ・データの取りこぼしを排除することができました。また、複製機能であるSnapMirrorの活用により、日次バックアップごとに筐体内のコントローラ間で同期させ、データの完全二重化を実現しています。さらに、データの外部保管要件のため、月次でバックアップ・サーバーに接続されたLTO4のテープ装置IBM System Storage TS3100 テープ・ライブラリーにDBデータ・ファイルの形で取得しています。

テスト環境の充実により、複数プロジェクトを並行して進行可能に

また同社では、新たなSAPシステムでは、テスト環境をより拡充したいと考えていました。既存のSAPシステムでは、ストレージの容量の問題からテスト環境を1つしか用意できず、複数のプロジェクトを並行して進めることができませんでした。さらに本番機データをテスト環境にコピーさせるには、長い処理時間とストレージ容量を必要とするため、古いデータのままでテストを実施していました。そこで、新しいSAPシステムでは、従来の 品質保証機とは別にテスト機を設け、テスト環境として3つのSAPインスタンスを構築しています。それぞれ独立したデータ・ボリュームを使用していますが、N3600のFlexClone機能を活用しているため、必要なディスク容量は実データの数%に抑えられています。従来のように大量のストレージ領域をあらかじめ確保する必要がなく、常に最小限のディスク容量で運用が可能になりました。

「本番環境に限りなく近いデータで複数のテスト・シナリオを並列で実行できるので、効率的に開発作業が進めることができます。また、FlexCloneにより大幅なストレージ容量の削減ができました。現在4つのテスト用SAPインスタンスを並行して稼働させています。本来インスタンス1つあたり本番機と同じ150 GBのデータベース領域が必要なのですが、初期構築時で約50MB、現在でも5 GB程度しかストレージ領域を消費していません」 (羽生氏)。

また、既存のSAPシステムでは、クライアント・コピー方式で本番機のデータをテスト環境にコピーしていたため、コピー処理に約3日かかっていました。しかも、3日のうち1日は稼働クライアントの使用を停止しなければならないため、作業は週末など通常業務の行われていない日に実施する必要がありました。そのため、最新の本番機データを使用して、テストを行うことは容易ではありませんでした。こうした課題についても、N3600の高速コピー機能であるFlexCloneを使用し、ボリュームごとに本番のDBを複製することで解決できました。

しかし、コピー後にSAP社が提供するデータベース固有のシステム・コピー手順を実施する必要があるため、既存のクライアント・コピー方式に比べて手順が複雑になるという新たな問題が発生しました。そこで、同社ではこれらの手順を自動化して簡単に実行できるメカニズムを実装しました。このメカニズムにより最新の本番機データを反映させたテスト環境を3時間程度、しかも平日の業務中に用意できるようになりました。また必要に応じて、過去1カ月以内の任意のバックアップ取得時点でのテスト機を構築することも可能です。

Benefits

システム監視運用の改善により、運用担当者の負荷を軽減

システム監視ツールは、新たにSAP Solution Managerに置き換えられています。これまで利用していた監視ツールは、SAPシステムの内部情報を完全には監視できず、データの増加量を定期的に確認することもできませんでした。監視項目も適切ではなく、軽微なエラーでもアラートが発報されるため、1日何十ものアラートの中で重大なエラーが見落とされることもありました。そこで、監視運用設計をSAPシステム向けに最適化することで、不要なアラートを制御し、重要なエラーだけを受け取れるように変更しました。その結果、運用担当者の負荷を軽減することに成功しています。

「SAP Solution ManagerはSAPシステムのすべての内部情報を監視でき、豊富なレポーティング機能で簡単に『見える化』することができるため、システムのプランニングにも活用できると考えています。しかも、SAPシステムに標準添付されているツールということで、追加費用なしで利用できました。また、監視対象システムにトラブルが発生した場合、管理者にメールで通知されるしくみとなっていますが、既存のシステムでは通知内容をもとに、どのような初動対応をすべきなのか判断できないこともありました。そこで、メール通知を起点に初期対応手順をあらかじめ定義しておくことで、現場担当者が迷うことなく必要な初動対応ができるようになりました。TCOは現在試算中ですが、不要アラートやテープ障害に対する運用担当者の対応工数は確実に削減できていると思います」(羽生氏)。

 

将来の展望

クラウド環境への移行など、さらなるシステム最適化を目指す

今回のサーバー仮想化、および高性能ユニファイド・ストレージの導入で運用効率の改善とランニングコスト削減の両立を実現しましたが、同社ではすでにさらなる進化も視野に入れています。

「SAPシステムのような大規模かつ全社で利用している基幹システムは、新しいことに挑戦するよりも、安定的に稼働することが第一だと考えていますのが、例えば5年といった長いスパンで見れば、ハードウェアのリースアップや保守切れ、SAPシステムのバージョンアップ、さらにはクラウド環境への移行など、いろいろと取り組まなければならないことは出てくると思います」(羽生氏)。

社会の変化に対応し、常にお客様に満足される良い製品やサービスを提供することをメーカーの責任としている同社では、引き続きシステムの最適化を図り、事業革新・技術革新に取り組んでいます。

 

お客様の声

日本マタイ株式会社 経営企画部 IT企画担当 部長 羽生 浩幸氏

「データセンターの月額費用とハードウェア、ソフトウェアの保守費の合計で30%程度のコスト削減が実現しました」

 

お客様情報

1947年、麻袋の回収・販売を行っていた商店を前身として 日本麻袋株式会社が設立され、その後、経営の多角化に伴い日本マタイ株式会社と改称。医薬品や食糧品、化学製品などの袋、包装、容器などを製造する総合包装容器メーカーとして、2007年に創業60周年を迎えました。2009年には レンゴーグループの一員となり「モノづくりの技術で価値を創造するメーカー」として、新たな需要開拓と市場の創造に取り組んでいます。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

Solution Category

  • Systems Hardware