Business Challenge story

基幹システムについても前提に捉われない検討を開始

「『新統合計画』を実現するために、お客様へのサービスの全領域・全工程にわたる基幹システムについても、これまでの前提に捉われない検討を開始しましたが、システムインフラにおいて“新たに加えるべきもの”があるとは当初は考えていませんでした」と振り返るのは、日本生命で適用技術全般を担当する新統合推進部専門部長の長崎豊氏です。

「『お客様のリスクをお引受けし、何十年という長期にわたって保障をご提供し、ご安心いただく』という保険事業の本質を大切にしている当社では、システムインフラにおいて“守るべきもの”は契約管理システム基盤であると考えており、かねてより上位互換性に優れるIBM社のメインフレームを使用しています。一方、お客様接点チャネルのシステムを配置するオープンスタンダードに準拠した基盤は、お客様の利便性向上のため、常に“変えるべきもの”として位置付けてきました」

「DBサーバー基盤については、長期にわたってお客様情報やご契約内容を管理するデータベースはDB2 for z/OS、それ以外はDB2 for Linux, Unix, and Windows(以下、DB2 for LUW)を主に使用してきましたが、これまでは特に課題を感じてはおりませんでした」「しかしながら、お客様へのサービスの全領域・全工程にわたる基幹システムを抜本的に再構築する『新統合システム』においては、将来の業務量、プロセスの変化を予想しにくいアプリケーションも多く、DB2 for LUWでこれまで採用してきたHAによるクラスタリングでは、キャパシティ増大時にスケールアップする他ないため、サイジングにおいて不安を感じていました」

Transformation

新統合システム基盤に“最後に加わった”DB2 pureScale Feature

日本生命はかねてより将来の業務量、プロセスの変化によるキャパシティ変動への対応として、IBMのSystem z、Power Systemsの仮想化技術を積極的に採用してきましたが、「第二の創業」と位置付け、業務プロセスの全面的な見直しを伴う「新統合システム」においては、真のスケーラビリティと連続高可用性を兼ね備えたソリューションを必要としていました。

日本生命が「新統合システム」構築のメインパートナーとして選んだIBMは、計画半ばで発表されたIBM DB2 pureScale Feature for DB2 9.7 Enterprise Server Edition(以下、DB2 pureScale)の採用を提案しました。

「多くのメンバーで議論を尽くしてきた計画の最終フェーズで発表直後の製品を検討の俎上に載せるのは抵抗がありましたが、当社の基幹システム構築において高品質なサポートを提供頂いてきたIBMグローバル・ビジネス・サービスの皆さんの熱心なご提案を伺い、導入の可否はともかく、きちんとした評価を行おうと考えました」と語る長崎氏は、日本生命グループのIT戦略を担うニッセイ情報テクノロジー株式会社(以下、NISSAY IT)にDB2 pureScale開発拠点であるトロントに調査メンバーを派遣するよう依頼しました。

「事実上無制限のスケーラビリティ、アプリケーションの透過性、連続可用性の全てを特長とする発表直後の製品に懐疑的な面もありましたが、その特長を実現する数々の要素技術への理解が深まり、日本生命でも数多くの実績があるPower Systemsの高負荷環境での筺体障害も含めたデモを見るにつけ、導入に対する不安は徐々に解消していきました」と語るのは、IBMのトロント研究所を訪れたNISSAY ITの基盤ソリューション事業部 マネージャーの玉村 誠剛氏です。

「DB2 pureScaleは新奇な発想によるものではなく、System zのCoupling Facilityのデザインや、High Performance Computing分野で培われたInfiniBand、RDMA、GPFS等、実績あるテクノロジーの合流であることが、トロントで伺った説明で理解出来ました。」

玉村氏らIBMトロント研究所を訪れたメンバーの報告を受けた日本生命、NISSAY ITは、DB2 pureScaleを“新たに加えるべきもの”と考え、それまで練り上げてきた「新統合システム」基盤の最終構成の見直しを開始します。

Benefits

「真のスケーラビリティ」を目指して決定された最終構成

DB2 pureScaleは新統合システム基盤に“新たに加えるべきもの”となりましたが、導入決定後初期の構成に長崎氏は直ぐに首を縦には振りませんでした。

「IBMトロント研究所のデモで使用されていた構成は、所謂『スケールアウト』構成で、ローエンドからミッドレンジのサーバーを利用量の増大に合わせて追加していくのには適した構成でした。新興のECサイトがスモールスタートし、利用者の増加に合わせて順次サーバーを追加していくのにはまさに最適な構成でしょうが、“守るべきもの”、“変えるべきもの”、“新たに加えるべきもの”を今後も常に考え抜いていく我々にとって『真のスケーラビリティ』とは、業務プロセスの変化によりキャパシティが低下した時にも投資が無駄にならない構成である必要がありました。また、当時のバージョンでは複数のInfiniBandスイッチをサポートしていなかったためスイッチ障害により失われるユーティライゼーションも大きく、連続高可用性を謳うDB2 pure Scaleとしては納得できない面もありました」と長崎氏は語ります。

IBMは、日本生命、NISSAY ITの指摘と要望を受け、Power Systemsのマイクロ・パーティショニング、共用プロセッサー・プール、NPIV等の仮想化技術とDB2 pureScaleを組み合わせた、キャパシティの増減に柔軟に対応した構成を提示するとともに、高可用性を中心としたFix Pack適用スケジュールを提供し、最終構成案が決定されます。

「スケジュールに追われる中、『このあたりで構成を落ち着かせたい』という気持ちも正直ありましたが、とことん議論をし尽くした結果、日本生命では最初の導入となるDB2 pureScaleですが、その構成は今後の横展開に耐えうるものになったと自負しています」と、玉村氏は語ります。

将来の展望

DB2 pureScale Featureによるアプリケーション影響は皆無

DB2 pureScaleの導入決定後、 DB2 for z/OSやDB2 for LUWでの開発を前提としてきた日本生命、NISSAY ITのアプリケーション開発者からは、長崎氏、玉村氏にその影響について多くの問い合わせがありました。

「結果的に、 DB2 pureScale導入によるアプリケーション影響は皆無でした。分散トランザクション等懸念していた点においても、アプリケーション透過性において問題はなく、拍子抜けするくらいでした」と笑うのは、DB設計をサポートする、NISSAY IT基盤ソリューション事業部の三浦 友里氏です。

「HA構成のDB2 for LUWに比べてノード数は多くなるため、障害時等、運用面で複雑さが増すのではないかと懸念していましたが、製品自体の自己修復機能により、むしろ考慮点は少ないのではないでしょうか。」

お客様の声

考え抜かれ、議論し尽くされたものだけが“守るべきもの”となる

日本生命、NISSAY ITでは、平成24年4月の「新統合システム」サービスインに向けた最終的な準備段階に入っています。

「現在、まだプロジェクトを振り返る時期ではありませんが、私の中では25年前に本番を迎えた、当社初の全国オンライン・システム展開である『システム100』と重ね合わさる部分を多く感じます」と矢部氏は語ります。

「今回、システムインフラについて『前提に捉われない』検討を指示した手前、検討過程では極力口を出さず、将来を担うメンバーの主体性に任せていました。その間、『システム100』に向けて30年前に私が開発を任されたIMSの制御プログラム群、ACP (Application Control Program) が“守るべきもの”となるのか、“変えるべきもの”となるのか楽しみに見守っていましたが、結果的には当時の設計を変えることなく、『新統合システム』でも稼働し続けることになりました。」

「『システム100』でIMSの制御プログラムの開発を当時若手職員であった自分に任せてくれた上司や先輩は、機会と裁量を与えてくれましたが、その設計や実装内容には常に『なぜ』を突き付けました。それに応えるのには正直大変苦労しましたが、その結果が今日まで“守るべきもの”で有り続けた原因だと思います。」

「DB2 pureScaleを成り立たせている、メインフレームや、High Performance Computingに由来のテクノロジーも、IBM社内で時代を越えて考え抜き、議論し尽くされた結果、“守るべきもの”となったのではないでしょうか。」

お客様情報

2009年に創業120周年を迎えた日本生命は、契約者数、総資産など、世界各国の生命保険会社のなかでもトップクラスの水準を誇り、各格付会社からも高く評価される生命保険業界のリーディングカンパニー。日本国内はもちろん、全世界に向けて金融・保険に関するさまざまな情報を発信し、「世界一の安心を提供する企業」を目指して、常に戦略的な挑戦を続けている。

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