Business Challenge story

家電製品ビジネスを成長戦略に乗せるため、グローバルでのデジタル・マーケティングの見直しを遂行

パナソニックは、1918年の創業以来、世界中の人々の「くらし」の向上と社会の発展に貢献することを基本理念とし、ビジネス活動を展開しています。2014年4月より事業部制を強化し、AVCネットワークス社、アプライアンス社、エコソリューションズ社、オートモーティブ6インダストリアルシステムズ社の4つの社内カンパニーにより事業進化を推進。法人向けのB to B分野をはじめとした成長分野により力を注ぐ体制を整えています。しかしB to Bに注力するからといって、B to Cの価値が変わるわけではないとパナソニックアプライアンス社 デジタルマーケティングイノベーショングループ グループマネージャー 山本 雅通氏は言います。

「パナソニックはもともとコンシューマー向けの分野でブランドを築いてきました。このB to Cの土台があるからこそB to Bの分野でもお客様に価値を提供できると考えていて、これを『Cross-Value Innovation』と表現しています。つまりB to B分野のビジネスを成長させるためにも、B to C分野のビジネス強化を図る必要があるのです。2020年には東京オリンピックが開催されることになりましたので、そこに向けて会社全体で大きく変わっていくことを目指しています」。

パナソニックでは、B to C分野の家電製品ビジネスを年間売上2兆円規模の事業に成長させることを目標として掲げています。家電製品は冷蔵庫や炊飯器などの生活家電である白物家電とオーディオやテレビなどの娯楽家電である黒物家電に大きく分類されますが、パナソニックではこれまで白物家電と黒物家電をアプライアンス社とAVCネットワークス社の2カンパニーがそれぞれ担っていました。しかし年間売上2兆円を目指すため、2014年4月から白物家電と黒物家電のビジネスを統合し、アプライアンス社においてより強化を図る体制を整えています。この方針についてパナソニック アプライアンス社 デジタルマーケティングイノベーショングループ グローバルWEBチーム チームリーダー 山口 耕平氏は以下のように説明します。

「家電ビジネスを2兆円規模に成長させるためには、国内市場だけを伸ばそうとしても難しく、グローバル市場でのビジネスを成長させていく必要があります。そこで家電ビジネスをグローバルで成長させるために、わたしたちは当社復活のキーワード『反転攻勢』を、この取り組みにおいても掲げました。例えばテレビなどは近年ではコモディティー化が進み、収益が伸びにくくなってきているなど、厳しい環境にある面もありますが、家電製品はお客様の生活に密着した欠かすことのできないものです。再度、家電ビジネスを成長戦略に乗せ、大きく流れを変えていきたい。この思いを『反転攻勢』に込めています」。

「反転攻勢」を具体化するためにパナソニックが取り組んだ施策の1つとしてグローバルWeb集中化プロジェクトが挙げられます。グローバルWeb集中化プロジェクトは、従来国や地域別に構築されていたWebサイトを統合することで、サイト・クオリティーの高位平準化を図り、商品訴求力を強化するとともに、業務効率の向上を目指したプロジェクトです。このプロジェクト発足のきっかけは、以前山本氏が責任者として「CLUB Panasonic」というCRM(Customer Relationship Management)サイトを構築したことにありました。

「『CLUB Panasonic』は社内で評価され、これをグローバルに展開できないかという声が上がりました。そこで2010年に海外の拠点を回って調査を行ったのですが、国や地域によって運用体制や規模、予算などが異なるため『CLUB Panasonic』を展開することは難しいことが分かりました。そこでCRMサイトという高度な取り組みの前に、基本機能である商品情報サイトの見直しを行うことになりました」(山本氏)。

Transformation

グローバルのWebデザインを統一化し、インフラや運用も1カ所に集約

商品情報サイトの見直しに着手するに当たり、山本氏は日本IBMに相談したところ、他社事例としてグローバルでWebサイトのデザインを統一化し1カ所に構築する取り組みを紹介されました。

「複数のグローバル企業のWebサイトを調べたところほとんどがグローバルで統一されたWebサイトを構築していることが分かりました。パナソニックでは国や地域が個別にWebサイトを作成しているため、デザインも統一されておらず、方針も異なっていたため、まずはここから着手することが重要だと認識しました。この話を一旦社内に持ち帰り検討した結果、本格的に提案をまとめることになり、日本IBMにコンサルティングを依頼し、グローバルWeb集中化のノウハウを基に提案書をまとめたところ、2012年3月に正式に社内で承認され、プロジェクトが発足しました」。

従来のパナソニックのWebサイトの課題について、パナソニック アプライアンス社 デジタルマーケティングイノベーショングループ グローバル企画チーム 参事 秋元 伸浩氏は次のように説明します。

「パナソニックでは国や地域によって商品情報Webサイトの取り組みが個別に行われていたため、全体として効果的なWebマーケティング戦略を展開することができませんでした。コンテンツについても、商品写真や商品説明文などが国、地域によって異なっていました。これは国や地域に根差したアピールを展開できるという意味ではメリットとなっていましたが、高品位なコンテンツをグローバルで展開するという取り組みはできていませんでした。さらにはスマートフォンへの未対応、サイト訪問者数の伸び悩み、コンテンツ量の差といった課題も抱えていました。この課題を解決することが当時のグローバル・マーケティングの大きな取り組みとなったのです」。

プロジェクト計画では、最初の1年で米国のWebサイトを構築し、次の1年でそれをほかの国や地域に展開するという短期間でのスケジュールが組まれました。米国サイトの構築には、当初2年を費やすスケジュールが検討されましたが、スピーディーに変化を遂げるグローバル市場の動向を勘案した1年で立ち上げるスケジュールが決定しました。

対象となるWebサイトは、B to Cの商品情報にとどまらず、一部のB to Bや企業情報のサイトも対象として集中化を図ることになりました。

組織体制としては、山本氏がプロジェクト・リーダーとして全体を統括し、日本IBMがそれをサポートするためにプロジェクト・マネジメントを担当。さらに米国、カナダ、中近東、アジア、インド、中国、台湾、欧州、日本、中南米といったグローバルの各地域から代表者を集め、重要な決定には必ず関与するという体制を整えました。また各国・地域への展開にも日本IBMのスタッフがサポート担当として配置されることになりました。

プロジェクトではWebサイトのインフラも統合することが計画されていましたが、そのシステム構築は日本IBMのアプリケーション開発(アプリケーション・イノベーション・サービス:AIS)と保守サービス(アプリケーション・マネージメント・サービス:AMS)を活用しました。 「これまでIBMが実績として積み重ねてきた数々のグローバルWeb集中化プロジェクトの成功事例を評価したことから、さまざまな側面でIBMにサポートをお願いすることになりました。コンサルティングの最初のフェーズにおいて見学したWebサイト構築におけるIBMのビジネス・モデルをそのまま利用すれば効率的にプロジェクトを遂行できると確信できました」。

ひな形となる米国のWebサイト構築は、1年後の2013 年3月21日に完了することを目標に進められました。米国のものは全体に展開することを見越して設計が施されました。

「パナソニックは商品数が膨大で、さまざまなコンテンツもそろえなければなりません。従って関連する事業所なども多岐にわたるため、その足並みをそろえることが大変でした。また業務効率を向上させるために、一部プロセスを自動化する仕組みを整えることにしました。立ち上げは人海戦術で乗り切れても、その後の継続運用は限られたスタッフを前提に考える必要があります。そこでプロセス自動化の要素を組み込み、その後のスムーズなオペレーションを実現できるようにしました」(山口氏)。

Benefits

魅力的なWebサイトが実現し、訪問者の滞在時間の増加などさまざまな成果が実現

米国のサイトは予定通りに完成し、その後ほかの国・地域への展開を進め、2013年末には70サイト30言語のWebサイトの集中化が完了しました。商品写真や訴求コピーなどは集中的に管理され、Webオペレーション・センターは各国・地域からの指示に基づきサイトの新規ページ作成や修正などの作業を行います。Webサイトを刷新した効果について、秋元氏は以下のように語ります。

「新しいWebサイトの運用を開始したところ、目に見える成果が上がっています。訪問者の滞在時間は38%増加しましたが、これはスマートフォン対応を実現したことが大きな要因になっていると思います。そのほかでは、個別商品の閲覧者数が20%増、検索サイトからの訪問者の離脱率が17%減といった成果も挙がっています。またサイトマップの利用者が大幅に減ったことはサイト構造が分かりやすくなったことの表れでしょう」。 デザインが魅力的になったことも大きな成果だと山本氏は言います。

「デザインが素晴らしくなったという評価は社内でも数多く寄せられています。これはお客様に対して商品をより魅力的に紹介できることになったので、今後の売上向上につながるはずです。今後ブランド・コミュニケーション・サイトの構築も計画していますので、新しいデザインでブランドの価値がどのように上がっていくのかについては非常に楽しみにしています」。 また各国・地域での業務負荷が軽減されたことも大きなメリットとなっています。

「これまで運用を担当していたスタッフがほかの業務に集中できるようになりました。この戦力をデジタル・マーケティング戦略にいかに生かしていくのかということが今後重要になるでしょう」(山本氏)。

山本氏は困難な取り組みをこのような短期間で成功させることができた要因について以下のように振り返ります。 「今回のプロジェクトは非常に短い期間で遂行することが求められていたのですが、それをやり遂げることができた要因としては、プロジェクトのメンバーが熱い思いを持っていたことに加え、実績豊富なIBMにサポートしてもらったこと、さらには時間の制約があったために逆に集中して取り組むことができたということが挙げられます。グローバルでさまざまな意見が出されるのですが、時間がないため本部サイドが強力にプロジェクトをけん引しつつ、要所では各国・地域のメンバーを集めて方針を決定することでこのスケジュールを乗り切りました。またIBMのサポートも大きかったと思います。IBMはコンサルティングにとどまらず、構築や業務の現場にも通じていて、必要であればすぐに海外に足を運ぶフットワークの軽さも素晴らしく、総合的にプロジェクトをサポートしてもらいました」。

さらに山口氏はIBMとの連携について以下のように続けます。

「チームワークがよかったことも成功要因の1つだと思います。IBM内でのコミュニケーション、パナソニック内でのコミュニケーション、そして双方のコミュニケーションを円滑に図ることによってチームワークが実現できるのですが、その部分が非常によかったと実感しています」。

 

将来の展望

今後は会員サイトやECサイトの構築を展望

グローバルWeb集中化プロジェクトを完了したパナソニックでは、今後CRMサイトをグローバルに展開し、さらにその後はECサイトを進化させることを展望しています。

「今回のプロジェクトで商品の良さを世界中のお客様にタイムリーに伝えることができるようになりました。次は商品を買っていただくための仕組みを整えることが大切だと考えています。つまりWebサイトをショールームから店舗に発展させるということになります」(山口氏)。

「家電2兆円という目標は、これまでと同じことを繰り返すだけでは達成できないでしょう。新しい取り組みが必要になるのですが、Webサイトやスマートフォンなどを活用したデジタル・マーケティングは非常に重要になると思います。これをいかに効率的に運用できるのかが目標達成に必要なファクターになるでしょう」(山本氏)。

 

お客様の声

パナソニック株式会社 アプライアンス社 デジタルマーケティング イノベーションG グループマネージャー 山本 雅通 氏

“IBMはコンサルティングにとどまらず、構築や業務の現場にも通じていて、必要であればすぐに海外に足を運ぶフットワークの軽さも素晴らしく、総合的にプロジェクトをサポートしてもらいました”

パナソニック株式会社 アプライアンス社 デジタルマーケティング イノベーションG グローバルWEB チーム チームリーダー 山口 耕平 氏

“立ち上げは人海戦術で乗り切れても、その後の継続運用は限られたスタッフを前提に考える必要があります。そこでプロセス自動化の要素を組み込み、その後のスムーズなオペレーションを実現できるようにしました”

パナソニック株式会社 アプライアンス社 デジタルマーケティング イノベーションG グローバル企画チーム 参事 秋元 伸浩 氏

“訪問者の滞在時間は38%増加しましたが、これはスマートフォン対応を実現したことが大きな要因になっていると思います。そのほかでは、個別商品の閲覧者数が20%増、検索サイトからの訪問者の離脱率が17%減といった成果も挙がっています”

 

お客様情報

パナソニック株式会社は、1918 年の創業以来、世界中の人々の「くらし」の向上と社会の発展に貢献することを基本理念とし、さまざまなビジネス活動を展開。お客様が活動するさまざまな空間においてトータル・ソリューションを提供し、お客様一人ひとりにとってのより良いくらし、より良い世界~「A Better Life, A Better World」を追求しています。

 

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