Business Challenge story

事業再編・統合によって煩雑化した膨大な会計データの集計作業

現在、TSUTAYAの店舗数は1,476店舗(2012年7月末現在)になっており、全国各地に広がっています。共通ポイントサービスである「Tポイント」の利用会員数は4,137万人(直近1年間にTカードを利用しているアクティブな会員数、かつTカードを複数枚所有している人を1人として重複を除いたユニーク会員数。2012年7月末現在)を突破しました。Tポイントを利用できるアライアンス企業は全国89社48,498店舗(2012年7月末現在)となっています。ネット事業でも、宅配レンタルの「TSUTAYA DISCAS」、映像配信サービスの「TSUTAYA TV」など、さまざまな新ビジネスを打ち出し、軌道に乗せてきました。

そうした成長の中でCCCが直面していたのが管理会計に関する問題です。「2009年4月に行われたグループの事業再編・統合によって、それはさらに切実な課題となって浮上してきました」と振り返るのは、CCC TSUTAYAカンパニー 事業支援部 FC事業管理のリーダーを務める神奈川 淳一氏です。

「当時、私たちはMicrosoft Excelを使って管理会計を行っていたのですが、旧グループ会社13社の会計を統合する必要が生じたことで、膨大なデータの集計作業に悩まされることになりました。もともと別会社として活動していた各事業が独自のフォーマットで作成したデータを、一つひとつ勘定科目を照合しながら積み上げていき、経営層に報告するためのレポートを作成していました。また、各科目の数字について詳しい説明を求められた場合には、この手順を逆にたどってデータを精査しなければなりませんでした」

CCC TSUTAYAカンパニー 事業支援部 商品事業管理の柴崎 孝之氏も、このように言葉を続けます。「例えばTSUTAYA直営店舗の各店長からは、さまざまな商品やサービスのジャンルごとの売上見込みや実績などのデータが送られてきます。しかし、管理会計を担当するスタッフは経営層向けの報告を並行的に進めていたため、手間暇をかけてデータを送ってくれた現場に対して、十分なフィードバックをできずにいたのが実情です」

こうした状況を打破し、経営環境の変化のスピードに即応できる管理会計体制を構築したいとCCCは考えました。「まずは経営層や本部の経営管理担当者に対して、状況把握や意思決定の迅速化に寄与するレポーティングを実現することを目指しました。また、各事業やその配下の業務部門、直営店舗に向けても、それぞれの責任単位に応じたPL/BS分析、ビジネス・フォーキャストなど、現場レベルのアナリティクスをサポートしていける存在になりたいと考えました」と神奈川氏は話します。

Transformation

管理会計チーム自身が主体性を持ち利活用をブラッシュアップできるツールを要望

目標とする管理会計体制を実現するため、CCCが描いたのが「財務会計システムや基幹システムに蓄積された経営データ、各店舗の店長が作成する売上見込みや実績など、会計に関するあらゆるデータを一カ所に集約。さまざまな立場のユーザーが、自由な切り口で簡単にデータを取り出せるシステムを用意する」(神奈川氏)という構想です。

この基本方針に沿って2009年4月、CCCはIBMのビジネス・パートナーである日本ラッド株式会社(以下、日本ラッド)を介してIBM Cognos TM1を導入しました。

「課題を抱えているのは管理会計を担当しているのは私たち自身であり、IT部門に頼ることなく、主体性を持って製品選定にあたり、利活用をブラッシュアップしていくことが望ましいと考えました。その観点からIBM Cognos TM1は、ビジネスをモデル化する際にも、他のBI製品で求められるようなデータベースに関する専門知識やプログラミングは不要で、操作もわかりやすく“手になじむ”感覚がありました。こうした敷居の低いツールであったからこそ、サーバーやネットワークなどのインフラのみをIT部門が担当し、ツールの運用に関しては管理会計チームで責任を持つという明確な役割分担のもと、スムーズな導入を図ることができました。ユーザーからの問い合わせ対応やトラブルへの対処など、日常のサポートを日本ラッドが全面的に引き受けてくれたことも心強いポイントでした」と神奈川氏は話します。

もっとも、本格的な全社展開にこぎ着けるまでには多くの苦労もありました。一番の難題だったのは、ベースとなる財務会計データの取り込みです。

事業の再編・統合にあわせ、旧グループ会社が個別に運用してきた財務会計システムも統合されることになりましたが、新システムが稼働を開始したのは2009年の10月。すなわち、それまでの期間については、システムから単純にデータを取り込むことはできず、事業ごとに分散した財務会計システムからデータを寄せ集めて整合性を取りながら、IBM Cognos TM1に投入していく必要があったのです。

「IBM Cognos TM1の外側にマッピング・テーブルを作成してデータ変換を行い、統合化途中の新システムの仕様を先取りした形でキューブ(多次元データベース)に投入していくという、かなり力技に近い方法をとりました」と柴崎氏は話します。

それでも、いったんデータを入れてしまえば、あとは思いどおりにデータを切り出せるのがIBM Cognos TM1のメリットです。

「市場環境の変化が激しい状況下においては、事業の再編・統合および組織変更が頻繁に発生します。また、経営層からは、ある事業の最新の売上実績に対して、旧体制でビジネスを運営していた前年同月の実績値との比較を知りたいといった要求が寄せられてきます。そうした中で必要となる複雑なデータの抽出やひもづけにも柔軟に対応することができ、IBM Cognos TM1の大きなメリットを実感しました」と柴崎氏は、高く評価しています。

Benefits

データ集計からレポート作成を効率化し管理系業務に付加価値を提供

CCCでは、TSUTAYA事業、Tポイント&アライアンス事業、ネット事業の各ビジネスにおいて業績管理を担当している責任者をプロジェクトメンバーとして呼び込み、IBM Cognos TM1のより有益な活用方法を探るべく、議論を重ねてきました。

また、全国各地のTSUTAYA直営店やフライチャイズを管轄する各ユニットに対して説明会を実施し、啓蒙を図ってきました。

こうした取り組みの結果、現在ではCCC全社におけるIBM Cognos TM1の総ユーザー数は約300名(2012年7月時点)に達しています。この2年以上にわたる利用実績から得られた成果として、神奈川氏がまず挙げるのが、管理会計チーム自身の生産性向上とミッ ションの質的な変革です。

「Excelを使って手作業でデータ集計や経営層向けのレポート作成を行っていた当時、管理会計チームには20名を超えるスタッフがいたのですが、IBM Cognos TM1を導入した現在は、半数以下にまで組織がスリム化されています。人材の活用面における効率性は、 飛躍的に高まったと言えるのではないでしょうか。さらに、管理会計チームに求められる役割そのものも、労働集約的な集計作業からKPI(重要業績評価指標)の分析やビジネス・フォーキャストの提示、新たなアクションの提案などへとシフトしています」

具体的には、勘定科目(PL/BS、原価率、利益率、費用)、時間(日次、月次、半期、年度)、組織(グループ、会社、事業部、店舗)、データ(業種/業態別実績、取引先別実績)、シナリオ(予算、実績、予測/見込み)といった多様な軸を組み合わせた迅速なOLAP分析を サポート。損益・資産状況のより詳細な把握ならびに予測/見込み精度の向上を図ることで、本部の経営管理担当者、事業部門のマネージャー、各店舗の店長など、さまざまなビジネス・レイヤーにおける管理系業務に高い付加価値を提供しています。

また、所属部門や役職の異なるあらゆるユーザーが同じ経営数値を見て判断する、“Single version of the truth”(唯一の真実=データの一元性、一貫性)を実現したことも好結果をもたらしています。

「財務会計と管理会計の間で双方向チェックを行うことが可能となり、『自店舗の成績は正しく業績評価に反映されているのか』といった疑心暗鬼を取り除くなど、経営~管理部門~営業部門間で発生しがちなストレスを低減しています」と柴崎氏は話します。

 

将来の展望

モバイル・デバイスからの利用を含め現場の目線に立った意思決定を支援

CCCは、2009年4月から2年以上にわたって運用してきたIBM Cognos TM1の利用形態を、今後に向けてさらに深化・拡大させていく考えです。

「現時点でIBM Cognos TM1に投入しているのは会計処理に直結する数値のみですが、将来的には人材や店舗のファシリティー、在庫に関する情報など、より広範なデータを取り込んでいきたいと考えています。これにより、各直営店の店長やバイヤー、フラン チャイズを管轄するスーパーバイザーなど、営業現場の意思決定にも大きく貢献することが可能となります」と柴崎氏は、具体的な検討に着手しているプランの1つを紹介します。

さらに、CCCではこうした新たな分析・レポーティング、フォーキャストのためのポータル環境を、従来からのPCだけでなく、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル・デバイスにも広げていきたいという構想を持っています。

「経営陣からは『手のひらで行える経営』という方針を受け取っており、モバイル・デバイスへの展開はそのコンセプトにマッチするものです。とはいえ、機械的に生み出された分析結果や予測を一方的に与えるだけでは、『手のひらで行える経営』の本質を実現することはできません。私たちが目指しているのは、さまざまな仮説を立てながら試行錯誤を重ねている、現場の目線に立った意思決定を支援していくための環境づくりであり、モバイル・デバイスを効果的に組み合わせたIBM Cognos TM1の活用のあり方を煮詰めていきたいと考えています」と神奈川氏は話します。積極的なユーザーの間からは、財務状況をデイリーで更新して見えるようにしてほしいという要望も寄せられています。常に高いスピード感と経営者感覚を持って、一人ひとりが現場でアナリティクスを実践していくことが重要なのです。そして、その“うねり”を全社的なシナジーに変え、企業競争力の強化に結び付けていくことを管理会計チームの新たな使命として、CCCの絶え間ないチャレンジが続いています。

 

お客様情報

1983年3月に大阪府枚方市にレコード・ビデオレンタルや書店を複合したTSUTAYA 1号店「蔦屋書店枚方駅前店」をオープンし、その後、フランチャイズ展開により、全国に店舗数を拡大してきた。TSUTAYA事業に加えて、Tポイント関連事業、コンテンツ・メディア関連事業など多岐にわたる事業を展開し、お客様に新しいライフスタイルを提案する企画会社。

 

パートナー情報

1971年の創業時からシステム受託開発事業を中心に事業展開しているシステム・インテグレーター。2010年末から商用開始した新型データセンターを活用したクラウド事業の拡大を図るとともに、プロダクト販売、組み込み系システム開発、ビジネス・ソリューション提供などの事業でも業績拡大を目指している。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud