Business Challenge story

市の35部門間でのコミュニケーションを能率化し、意思決定の効率を上げて紙によるプロセスへの依存度を低くしようとしていました。そのために必要だったのは、数々の行政部門全体で情報を統合するための、一元管理された拡張性のあるユーザー・フレンドリーなケース管理ソリューションでした。

透明性の確保

行政情報の公開は法的要件となっていたものの、ヘルシンキ市の35部門のすべてがそれぞれに固有のITシステムを使用していたため、市民が市の行政内容に関する洞察を得るのは難しい状況でした。

「以前は、地方自治体に何らかの提案をしたいと思った市民は、その提案書の提出先となる部門を正確に把握しておく必要がありました」と、ヘルシンキ市の事務総長Eila Ratasvuori氏は述べます。「提案書が誤った部門に提出された場合、その提案書は担当職員に届けられるまで、部門間でたらい回しにされるのが通常でした。統合も自動化もされていなかったことから、要求が正しい機関に渡されるまでにはある程度の時間を要しました」。

新しく選出されたヘルシンキ市長は、選挙公約の一環として「オープン・ヘルシンキ」と名付けたプロジェクトを発表し、一元管理されたケース管理システムを使用してヘルシンキの行政プロセスを設計し直す取り組みを開始しました。このプロジェクトには、ヘルシンキが依存していた非効率的な紙によるプロセスを減らすという狙いもありました。

「市議会で話し合う議案はそれまで、何キロメートルも離れた場所にある他部門や、非常勤職員の自宅まで、郵送するしかありませんでした」と、Eila Ratasvuori 氏は語ります。「それが、意思決定プロセスのスピードを落とし、大量の紙の文書を生み出す原因となっていました。さらに、これらの文書を登録するために80人の記録係を雇い、議案書のコピーを600人以上の政治家に届けるために数件のメッセンジャー・サービス会社と契約しなければなりませんでした」。

市が長年使っていたシステムでは、部門間のコミュニケーションにも支障がありました。「かつては、市議会議員やメディアが委員会業務の進捗状況を確認するには、当該部門に電話をかけて最新の情報を入手しなければなりませんでした」とEila Ratasvuori氏は語り、こう続けました。「情報をデジタル化して中央に集め、そこからオンラインで利用できるようにすれば、市が抱えている多くの問題を解決できることに気付きました」。

ヘルシンキ市が目標としたのは、透明性の向上、意思決定の能率化、そして紙によるプロセスの削減です。この目標を達成するためには、すべての記録機関を市庁舎に集め、数々の行政部門全体で情報を統合できるように、一元管理された拡張性のあるユーザー・フレンドリーなケース管理プラットフォームを実装する必要がありました。

Transformation

2年間の綿密な計画プロセスを経て、ヘルシンキ市はオープン・ヘルシンキ・プロジェクトを入札にかけました。ヘルシンキ市のプロジェクト・マネージャーを務める Juha Alasuvanto氏によると、「当市で検討したすべてのベンダーのうち、Tietoによる完全に IBM製品をベースとしたソリューションが最もコスト効率の高いソリューションとして浮上してきました。これは、5,600人を超える人々が使用する大規模なプロジェクトです。そのため、一緒に働くチームには信頼を置けることが条件でしたが、Tietoが持つ IBM 製品の専門知識に確信を得ました」。

「最大の課題は、IT 関連の課題ではありませんでした」と、IBMビジネス・パートナーTietoの製品マネージャー、Tom Helenius氏は説明します。「ヘルシンキ市の職員は、政策の提案から実施まで、地方自治体のプロセス全体を当社に説明する必要がありました。非常に大掛かりなタスクでした。この難問に対処するため、半日の研修会を何度も開催し、ヘルシンキ市のニーズを完全に満たすソリューションを確実に把握しようと努めました」。

拡張性のあるプラットフォームの構築

ヘルシンキ市はTietoに包括的ケース管理システムの実装を依頼しました。それが、IBM FileNetソフトウェアをベースとした Ahjo システムです。

IBM FileNet Content Managerを介してアップロードされた提議文書は、IBM FileNet Business Process ManagerおよびIBM FileNet Business Process Frameworkによって自動的に適切な部門、職員、政治家にルーティングされます。提議の草案が作成されて、会議の議題が計画された後は、TietoのeMeetingsアプリケーションを使用して、その結果が伝搬されます。さらに、IBM Enterprise Recordsソフトウェアにより、地域の要件に従った記録管理が促進されます。

このソリューションは、ダッシュボード・レポートの生成機能を提供します。そのため、市議会議員や一般市民は委員会業務の進捗状況を電話で何度も確認する代わりに、自動的に更新される進捗状況をオンラインで確認します。

市議会議員は、ノートパソコンからネットワーク接続 (ケーブル、WLAN、または 3G) によってTieto eMeetingsアプリケーションを使用します。この新しいシステムにより、すべての市議会議員はラップトップを持参して委員会や市議会に出席し、ラップトップを使用して票を投じるようになっています。会議中に行われたあらゆるイベントおよび変更はデジタルという形で転送されて、議事録に入力されます。議員たちが機密情報を討議することはよくありますが、例えば社会福祉委員会の会議中には、すべての議員にシステムにアクセスするためのPINカードが発行されます。

このソリューションでは、IBM Enterprise Recordsソフトウェアを使用して、すべての記録を総合的な市全体のファイル計画に従って管理します。地方自治体の要件に従い、作成から記録管理または破棄までの、ケースおよび文書のライフサイクル全体に適用されます。

「研修は内部で行いました。これは技術的能力の研修というだけでなく、プロセスを中心とした研修でもあったからです」と、Eila Ratasvuori氏は説明します。

Benefits

現在、意思決定プロセスは提案の草案作成からその実装まで、すべてがデジタル形式で管理されているおり、紙によるプロセスが削減されました。

紙の年間使用量が40%削減され、1年あたり 300,000ユーロのコスト削減を達成しました。また、行政文書の登録に必要な人員が75%削減されました。さらに業務の透明性も増しています。現在、市の35部門は同じ意思決定システムを使用し、意思決定に関係するすべての公開文書を閲覧できるようになりました。

現在、ヘルシンキ市の 35部門では共通して1つの一元管理された意思決定システムを使用しています。Eila Ratasvuori氏の説明によると、「Ahjoによって、仕事のやり方が明らかに改善されました。最大の改善点の1つは、行政文書の処理方法です。かつては、80人の記録係からなる大規模なチームで、該当するそれぞれの職員に文書を配布していましたが、Ahjoの自動化のおかげでチームは21人にまで縮小されています」

現在、文書の作成、閲覧、編集はすべてAhjoで行われています。

「テクニカル・アシスタントの仕事は一変しました。その仕事は、かつてのように各部門に書類を郵送することではなく、文書をシステムにデータで入力することです」と、Eila Ratasvuori 氏は述べています。「文書は紙のコピーではなくデータで伝搬されるので、印刷に使用する紙の量は40%削減されています。市にとって、これは少なくとも年間あたり 300,000ユーロの節約になります」

「何キロメートルも離れた部門間での書類の受け渡しがなくなったため、85人の議員からなる大きな市議会でさえも、文書を配布するのに要する時間は 24 時間も短縮されています。つまり、市議会議員が投票や議論に備えて準備するための時間が1日増えるということです」。

「合計すると、5,000人の市の行政官と600人の政治家がこのソリューションを使用しています」と、Juha Alasuvanto氏は述べています。「ユーザーのレベルによって、インターフェースは異なります。例えば、市長や副市長、そして部門長などの管理職レベルの行政官用にカスタマイズされたインターフェースがある一方、テクニカル・アシスタンス用にカスタマイズされたインターフェースもあります」。

「Ahjoは、部門長がその部門の職員が行っている業務を追跡するのに役立ちます。文書がオンラインで入力されると、誰もがその文書を閲覧できるようになります。これは、市民や市の職員にとって同様の完全な透明性を意味します」

 

将来の展望

「当市が大いに興味を持っているのは、PINセキュリティー・システムを文書の署名にまで拡大することです」と、Eila Ratasvuori氏は言います。「現在のところ、票の最終記録については、印刷して署名し、物理コピーとして記録保管所に保管することになっています。電子署名を実装すれば、票の記録をデータとして保管できるため、紙への依存度がさらに減ることになります」。

ヘルシンキ市が実現した透明性のあるITシステムは、すでに他の地方自治体の注目を集めています。Eila Ratasvuori氏の結論です。「当市のソリューションには、エストニアやスウェーデン、そしてももちろんフィンランドの他の地方自治体が大いに興味を示しています。IBMとTietoによるソリューションがもたらした効率性、透明性、そして環境に関するメリットに非常に満足しています。他の地方自治体にも、もちろんこのソリューションをすすめます」

 

お客様の声

ヘルシンキ市 事務総長、Eila Ratasvuori氏

「IBMとTietoによるソリューションがもたらした効率性、透明性、そして環境に関するメリットに、非常に満足しています。他の地方自治体にも、もちろんこのソリューションをすすめます。今ではあらゆることが電子形態で処理されています。これは以前と比べると大きな変化でしたが、最終的にはこの新しいシステムを全員が認めています」

 

お客様情報

ヘルシンキ市には、医療、教育、公共交通機関、インフラ、住宅供給、港湾、エネルギーなど、合計35の部門で、市としての義務を遂行しています。ヘルシンキの最高意思決定機関は市議会で、市議会は最も重要な財務決定、ならびに市の行政に関連する決定を行っています。委員会、役員会、そして個々の職員も、それぞれが専門とする分野での意思決定に責任を持ちます。

フィンランドでは、透明性のある政府という概念が長い歴史を持っています。この概念は、250年近く国の憲法に制定されています。この政府政策の一環として、ヘルシンキの市議会は約100年前から一般公開されており、4年前からはTVやインターネットでも中継されるようになっています。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud
    • Govt: Government, State/Provincial/Local Transformation