Business Challenge story

全体像を誰も把握できないデータ活用環境の改善

ゴルフを通じて人々が互いに理解しあえる世界の実現を目指す株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)。リテールビジネス、ゴルフ場ビジネス、メディアビジネスという3つの事業により、ゴルフのレベルや性別、年齢、地域、言語、世界観という枠を超えて“ゴルフで世界をつなぐ”取り組みを推進しています。2010年5月に創立10周年を迎えたGDOでは、次の10年に向け、さらに飛躍的に事業を拡大していくことを目的に経営基盤の強化に取り組んでいます。その一環として、「KPIマネージメント・フレームワークの構築」「データ入力環境の整備によるデータ蓄積精度の向上」「統合型情報プラットフォーム構築による情報活用環境の改善」の3つの重点テーマを推進しています。

マーケティング部 部長/経営企画部の中澤伸也氏は、「今後10年、さらに成長していくためには、事業、部門、組織が自律的に動いていくことが必要です。そのためには“データ”が唯一の共通言語になります。さらに指標となるKPIを設定することで、目標を明確にできます」と話します。

これまでGDOでは、リテールビジネス、ゴルフ場ビジネス、メディアビジネスの3つの部門が、それぞれ必要に応じてシステムを構築してきたために、システム構成やデータ定義などがサイロ化していました。そのため、データも分散してしまい、エンドユーザーが直接データを取り扱うことが困難でした。

中澤氏は、「営業担当者にゴルフ場から状況確認の問い合わせがあった場合に、タイムリーな情報提供を行うことができませんでした。また、データベースに基づいた提案営業の分野を確立できないという課題も抱えていました」と話します。

また、データマイニングを専門に行う分析担当者(データアナリスト)は、データを分析するために必要なデータをシステム部門に依頼して抽出してもらわなければなりませんでした。さらに抽出できるデータが限定的で、抽出されたデータもかなり加工しないと使える状態にならないという課題もありました。

中澤氏は、「GDOは2000年に設立された若い会社なので、手探りでシステム構築を進めてきたために、継ぎはぎのシステムになっていました。そのため、どのデータがどこにあるのか、全体像を誰も把握できず、全社の売り上げを分析しようと思っても、簡単にはデータを抽出できない状況でした」と話しています。

このような情報活用環境を改善することを目的に、GDOでは統合型情報プラットフォームを構築することを決定。そのためのSIパートナーとして株式会社ジール(以下、ジール)を選定し、データウェアハウス(DWH)/ビジネス・インテリジェンス(BI)プラットフォームを構築するためのETLソリューションとしてIBM InfoSphere DataStage(DataStage)を採用しました。

Transformation

スパイラルアップ開発でジールとDataStageを選定

GDOが情報活用環境の改善を目的に構築する統合型情報プラットフォームは、2008年末から3年計画のプロジェクトで、3つのフェーズで実現されます。まず第1フェーズでは、ログデータやトランザクションデータ、会員情報などを一元化してDWHに格納し、そのデータを営業、マーケティング、データ分析の現場で活用することを目指しています。

次に第2フェーズでは、SFAから販売情報の取り込みと、ワークフローとの予算情報の相互連携、第3フェーズでは、ERPから財務情報を取り込むことで、経営管理的なデータをDWHに統合していく計画です。

中澤氏は、「第3フェーズまでが完成することで、経営層や各マネージャーは、KPIマネージメントダッシュボードを使用することが可能になります。これにより、財務のKPIや顧客のKPI、営業のKPIなどを容易に分析することができ、迅速な意志決定を可能にします」と話します。

第1フェーズは2008年後半にプロジェクトを立ち上げ、2009年春から夏にかけてRFP(Request For Proposal)を作成し、いくつかのベンダーに提案を依頼しています。最終的にはジールの提案を採用し、2009年7月よりシステム構築を開始。約1年かけて第1フェーズを完成させました。

第1フェーズ構築のパートナーとしてジールが選ばれた理由を中澤氏は、「今回のプロジェクトの鍵となるのがスパイラルアップによるシステム構築でした。そこでスパイラルアップのシステム構築を長期的に支援してくれるSIパートナーが必要であり、対応できるのがジールだけでした」と話します。

スパイラルアップとは、PDCAサイクルを繰り返しながらシステムを開発していく手法。これにより、開発中にシステム要件が変更になっても、本番稼働後に仕様が変更になっても、現場の要望にあわせて容易に改修を行うことが可能になります。

中澤氏は、「変化の激しいウェブビジネスの世界では、ウォーターフォール開発やプロトタイプ開発では、変化に対する迅速な対応が困難です」と話している。

このスパイラルアップの手法は、製品選定にも当てはまります。まずはシステム管理者にとって使い勝手が良い製品でなければなりません。そしてできあがった仕組みを容易に改修でき、エンドユーザーが直感的に使えるものでなければなりません。こうした評価ポイントで選ばれたETLツールがDataStageでした。

SIパートナーであるジールのテクニカルエンジニアリング事業本部執行役員事業本部長の沼田善之氏も、「1カ月に数億単位のトランザクションが発生する膨大なウェブログデータを扱えるETLツールとなると、数限られています。コストも含めたパフォーマンスを評価すると、DataStageに 行きつきました」と話します。

Benefits

コストに見合ったシステム構成を実現

DWH/BIプラットフォームを構築したことで、マーケティング担当者は、アフィリエイト(*1)にいくらのコストをかけていて、それによりどれくらい顧客が来訪し、どれだけ成果を上げたのかという基本的な指標を来訪者ベースで把握できるようになりました。

中澤氏は、「月間520万人のユニークユーザーのうち、登録会員はどれだけいるのか、購買ユーザーはどれだけいるのかを容易に把握できるようになりました。これまでRFM分析(*2)は購買情報をベースに分析していましたが、来訪ベースで分析できる企業は少なく、大きなアドバンテージになると思っています」と話します。

またゴルフ場営業担当者は、現在ウェブサイト上から予約可能な約1800カ所の提携ゴルフ場に対し、自ら作成した分析レポートを活用することで、さまざまな提案営業を行うことが可能になりました。

情報活用推進部の瀧井伸一氏は、「当初は営業分析レポートを5種類程度提供していたのですが、リリースから3カ月で30帳票くらいにまで増えています。この効果は、狙い通りのシステム基盤を構築できたからだと思っています」と話します。

さらにデータアナリストは、予測分析/データマイニングツールとしてIBM SPSSを使用することで、これまでシステム部門に依頼しなければ抽出できなかった購買データや会員データ、ログデータなどの情報を、DWHから直接抽出し、容易に分析できるようになっています。

一方、DataStageを導入した効果としては、DWHに蓄積されたデータに変更があった場合でも、容易に必要なデータを抽出(Extract)し、加工(Transform)して、DWHを再構築(Load)できることが挙げられます。情報活用推進部 マネージャーの嘉松孝友氏は、「スパイラルアップによる開発を支援する機能が非常に優れていたことがDataStageを採用した最大の理由でした」と話します。

たとえば、DataStageのオブジェクト比較機能を使うことで、ジョブのどこを改修したのかを容易に把握できます。さらにテストデータ作成機能をはじめとした、テスト支援機能が充実しており、効率的なテストが実施できるのも評価されています。

また高い性能もDataStageを採用した理由のひとつでした。瀧井氏は、「他の製品では、集計結果をいったん別のファイルに書き出す必要がありますが、DataStageではメモリ空間で加工・集計したデータを次のプログラムに引き継ぐことができるのでディスクI/Oを削減することができ、高い性能を発揮できます」と話します。

さらにDataStageでは、プロセス単位でパラレル処理ができるので、ソート処理やファイルの結合処理などをパラレルで処理することで、CPUを効率的に使用することもできます。これにより、パラレル処理をしないときの半分程度の時間で処理を実行できます。

中澤氏は、「我々の企業規模で、ここまでのシステムを構築している企業は、あまりないと思います。コストに見合ったシステム構成が実現できたことも効果のひとつでした」と話しています。

(*1) アフィリエイト:インターネットを利用した広告手法のひとつで、成功報酬型の広告となる。

(*2) RFM分析:購買履歴から顧客分析を行う手法のひとつ。いつ(Recency)、どれくらいの頻度で(Frequency)、いくら購入しているか(Monetary)という3つのポイントで分析する。

 

将来の展望

2011年中に、第2・第3フェーズへ着手

今後、GDOでは、第2フェーズ、第3フェーズの開発を平行して進めていきます。また第1フェーズに関しても、引き続き現場の要望にあわせながら、情報化を横展開していく計画です。中澤氏は、「現在は、ゴルフ場に関する分析を行っていますが、次にリテール分野に拡大していくなど優先度に合わせて拡張していきます。2011年中には、第2・第3フェーズへ着手できると思っています」と話します。

今回のプロジェクトの総括を中澤氏は、次のように語ります。「ジールおよびIBMを選択して本当に良かったと思っています。特に両社ともに、サポートが非常に良かったです。DWH構築では、さまざまな問題も発生しましたが、IBMのサポートにより安定させることができました。またジールは、問題を解決するために、粘り強く製品ベンダーとやり取りをしてくれました。ほかのSIパートナーだと、ここまではできなかっただろうと思っています」

 

お客様情報

ゴルフ用品のインターネット販売を行う「リテールビジネス」、インターネット・電話・モバイルによるゴルフ場の予約サービス、ゴルフ場の営業サポートを行う「ゴルフ場ビジネス」、オンラインメディアの運営、インターネットを中心とした広告事業、モバイルサービスの提供・運営を行う「メディアビジネス」の3つの事業を展開。

 

パートナー情報

1991年、オープンシステム系の設計開発を事業ドメインとして設立。「高度情報利用アーキテクチャー」を提唱し、「横断的・統合的に」を基本設 計思想においた、CRM、CPM、BI、BPMなどのIT戦略のグランド・デザインを提案しています。データを的確・高速・柔軟に捉え情報の価値 を最大化するとともに、戦略・業務・オペレーションと連動させることにより、ビジネス環境の変化に対応できる柔軟なシステムを具現化しています。

 

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