Business Challenge story

業界全体の発展のために、受発注システムを共同運営

眼鏡レンズは、お客様一人一人の処方に合わせてメーカー側で製作する特注レンズが少なくありません。また最近ではメーカー側でレンズを削って小売店に納品することが増えています。 こうした状況の中で、レンズの納期や製作可否判定をいかに正確かつ迅速に回答できるかが、小売店へのサービス強化につながります。そのため、メーカー各社では以前から眼鏡レンズの受発注システムを独自に運用してきましたが、さらなるサービス強化やコスト削減が求められています。

その一方で、小売店がチェーン店化・大規模化して、複数メーカーのレンズを扱うことが増え、ネットワークの相互利用や、商品コード(JANコード:Japanese Article Number)、取引先コード(共通取引先コード)などの標準化が進んだこともあり、共同のレンズ受発注システムを構築・運用の必要性が業界全体で議論されるようになりました。

こうした背景の下、眼鏡レンズ・メーカー6社(理事会社4社、幹事会社2社)の依頼を受けて、B2Bサービスが共同システムを企画・開発することになりました。

共同システムは、メーカーが独自にシステムを構築・運用する場合に比べて、大幅なコスト削減を可能にします。とはいえ、お互いに厳しい競争にさらされているメーカー各社の思惑もあり、そう簡単に実現できるものではありません。

そこでB2Bサービスが、メーカー各社から中立・独立の立場で、共同システムの企画・開発に当たることになったのです。具体的には、共同プロジェクトの理事会社であるレンズ・メーカー4社からの委託を受けて、全体のプロジェクトマネジメントを担当することになりました。

Transformation

WebSphere® Application Serverの採用により、短期間でWebサービスの仕組みを構築

レンズ・メーカー各社とB2Bサービスは、2008年1~3月にかけて、MEGANET Proと名付けられた共同システムの方向性について徹底的に議論しました。その結果、小売店側がWebブラウザーを用いてレンズを発注できるように、Webサービスの仕組みを採用することで合意しました。合意内容を基に、約1カ月間で提案依頼書(RFP:Request for Proposal)を作成し、4月末には、入札に応じたベンダー各社の中から、日本IBMの提案を採用することになりました。

各レンズ・メーカーがそれまで運営してきた受発注システムは、長年にわたる運用や改修により、仕組みそのものが陳腐化・複雑化していたこともあり、最新の設計を取り入れたいというニーズがありました。その点で、ベンダーとしての信頼性の高さと、将来にわたり優れたハードウェア/ソフトウェアを提供できることが評価され、日本IBMの選定へとつながりました。

中でも、日本IBMが提案した共同システムは、24時間365日に近い運用ができ、最近の眼鏡レンズ業界のニーズに対応していることと、参加各メーカーの共通ニーズは共通部分として一本化してコスト・ミニマムを図り、その上で各メーカーの個々のニーズに応えていくという柔軟なシステム・アーキテクチャーが高く評価されました。

「今後10年間にわたって最新であり続けるシステムをつくりましょうという考え方が、選定の決め手になりましたね」(小谷氏)。

共同システムの開発に際して、大きな問題となったのが小売店側のシステム環境です。小売店によりPCやOperating System(OS:基本ソフトウェア)などの利用環境が異なるため、一部のOSやWebブラウザーに対応できないとなると、小売店側の業務に支障が生じかねません。そこで開発に際しては、基本的には現在小売店で利用中のすべてのOSやWebブラウザーに対応するようにテストを繰り返しました。

開発そのものは約1年間で完了し、2009年5月にシステムの運用がスタートしました。 「共同システムとしては短期間の開発となりましたが、参加各社の代表者会議や担当者の努力と、開発ベンダーである日本IBMの迅速な対応により、予定どおりにサービスインすることができました」(小谷氏)。

今回のシステムは、一から設計して作り上げたものですが、約1年間という短期間での開発が求められただけでなく、前述したようにシステムの拡張性・柔軟性も実現する必要があったことから、WACsという開発フレームワークを採用しました。標準化されたこのサービスを活用することで、生産性や拡張性、柔軟性に優れるだけでなく、Service Oriented Architecture(SOA)的なコンポーネント・アプローチを行うことができました。

Benefits

受発注システムの共同運営により、システムの運用コストがほぼ半減

MEGANET Proのサービスインに伴い、レンズ・メーカー各社は、2009年5~12月にかけて、既存の受発注システムからの移行を進めました。

新システムへの移行が完了すれば、各メーカーとも、大きなコスト・メリットを得ることが期待できます。MEGANET Proの運用コストの負担額はメーカーごとに異なるため、コストの削減効果は各社でそれぞれ異なりますが、参加メーカー全社の運用コストの合計と比較すると、ほぼ半減することが見込まれています。また、未参加のレンズ・メーカーにとっても、自前でシステムを運用する場合に比べれば、MEGANET Proに参加することで大幅なコスト削減が可能になります。

一方、小売店にとっては、複数のレンズ・メーカーと取引があっても、発注の窓口が1つになり、発注手順や操作方法も統一されるため、業務をスムーズに処理できるようになります。

 

将来の展望

受発注システムの共同化から、業界横断のサプライ・チェーンの構築へ

B2Bサービスと日本IBMでは、本番運用開始後にメーカー各社や小売店からの改善要望をヒアリングし、その結果を受けて、2010年4月までアプリケーションの更新を続けていく予定です。 一般に共同システムでは、参加各社のシステムに対するニーズが異なるため、運用開始後のシステムの改良や、アプリケーションの追加に対し、足並みをそろえるのがなかなか難しいという問題があります。MEGANET Proでは、既に開発を完了した共通機能に、メーカーごとのニーズに応じて個別機能を追加していくことで、この問題を解決し、各社のスピード感に応じたシステム運営が可能となっています。 B2Bサービスでは、こうしたシステムのさらなる機能強化に加え、共同物流への取り組みも視野に入れています。物流は戦略であり、競争領域であると考えるレンズ・メーカーがあるものの、コスト削減のみならずエコにもつながる共同物流に向けての取り組みは、プロジェクトの次のステップとして大きなテーマとなっています。 日本IBMは、今後の共同物流についても、物流の仕組みや、在庫センター(デポ)の管理の仕組みなどを積極的に提案していく予定です。

 

お客様情報

B2Bサービス株式会社は、各眼鏡レンズ・メーカーおよびITベンダーから独立し、第三者的な立場で公平にMEGANET Proを企画・運営することを目的に、2008年7月に設立されました。MEGANET Proの運営により、業界全体のサプライ・チェーンの課題解決とともに、参加企業のシステム構築/運用のコストダウンをお手伝いしています。現在は、MEGANET Proの運営だけでなく、EDIサービス事業にもビジネス領域を広げています。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

IBM System p

ソフトウェア

WebSphere Application Server

サービス

Web Application Components

IBM ビジネスコンサルティングサービス

 

Solution Category

  • Systems Hardware