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70万件に及ぶ紙の設計図面情報をデジタル化し、製品寿命の長いポンプの保守メンテナンスの効率化と新製品設計への再利用を実現

株式会社荏原製作所(以下、荏原製作所)の標準ポンプ事業部には、操業当時からの製品や部品を含んだ、70万件もの紙の設計図面が存在しています。同社では、紙の設計図面をデジタル化するOCRエンジン、イメージ・データから必要な情報を取り出すデータ・キャプチャー技術、そして一連の処理プロセスを自動化するRPAの組み合わせによって、紙の図面で行われていたワークフロー作業をデジタル化し、紙の図面情報をデジタル化して管理し、新製品の設計に再利用することが可能になりました。今後、他の業務分野でもデジタル化、自動化が進むことが期待されます。

ビジネス上の課題

産業用ポンプの製品寿命は長く、製品メンテナンスを含めたお客様対応を行うために50年以上前の設計図面情報も必要になります。荏原製作所の標準ポンプ事業部には7万機種、部品を含めると70万件の設計図面が存在し、その大部分が紙で管理されており、必要な図面を探し出すために多くの時間が費やされていました。

類似製品を探し出して再設計し、新製品を開発するという設計図面情報の再利用を進めるため、数年前から設計図面管理のデジタル化を試みてきましたが、作業量が膨大で、作業が途中で停止してしまうことが繰り返されてきました。そこで、一連のデジタル化作業を機械化する可能性を検討することになりました。

概要と経緯

同社は設計図面情報デジタル化作業の機械化の道を模索する過程で、IBM Watsonを知り、2017年夏に画像認識機能を使った設計図面管理のデジタル化についてIBMに相談しました。IBMからはIBM Watsonを使用する前に、まずデジタル化を実現するためのアプローチとして、OCRとIBM RPAの組み合わせが提案されました。

2018年初めに完成したOCRとIBM RPAの仕組みでは図面番号の認識率は50%程度でしたが、読み取り精度を上げるためにIBM Datacapを追加し、より精度の高いOCRを使用して、図面番号の場所を特定、対象領域を絞り込んで読み取ることで8割以上の認識率を実現しました。IBM RPAはPDF化された設計図面ファイルを開き、IBM Datacapを起動してPDFデータを読み込ませ、取得した図面番号の情報を別のフォルダーに保管する一連の作業を自動化しています。

効果と今後の展望

現在、同社では始業時にIBM RPAを起動し、夕方には300枚の設計図面がデータ化されています。そのうち、1割程度の読み取りミスが発生しますが、画面上でIBM Datacapで特定した図面番号の読み取り領域と読み取り結果を比較し、簡単に修正することが可能であるため、人手による修正作業は全体で数分程度です。何年もかかると想定されていた設計図面情報管理のデジタル化を今年中に完了するめどが立ち、設計図面情報の再利用が可能になります。

今後は、IBM Watsonで設計図面情報の内容を判別して、類似した製品情報をグループ化することで、部品設計や製品開発の参考情報として活用したり、製品や部品を集約することで、工場の在庫を削減することなどが検討されています。今回の作業プロセス自動化をモデルとして、他の業務でも自動化を推進し、全社の業務効率向上を図ることが期待されています。

当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。

  • IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhere
  • IBM Datacap
最も大きな成果は、何年もかかると思っていた、設計図面情報のデジタル化が今年中に終わることです。紙の情報がデジタル化されることで、可能性は大きく広がりました 大山 敦氏 風水力機械カンパニー 標準ポンプ事業部 開発設計部 新規技術開発課長 株式会社荏原製作所

次のステップ
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