Business Challenge story

放送、通信に続く新たな事業の柱として、電力事業に注目

ケーブルテレビ業界は、市場の成熟化や事業者間の競争の激化など、厳しい経営環境にあります。中でもTCNをはじめとする独立系ケーブルテレビ会社は、寡占化が進む中でビジネス・モデルの変革が求められています。

TCNのCATV事業部 部長 津滝義仁氏は、事業の状況をこう話します。

「インターネット接続と電話は契約者が増えていますが、テレビは減少し、売上も下降傾向にあります。この状態を打開するために、新たな事業を確立して顧客サービスを高度化し、差別化を図る方法を模索してきました」。 同社のサービスでは戸建て住宅の加入率が高い一方、集合住宅は低迷しています。集合住宅での新規加入者を獲得する方法を検討する中で、注目したのが電力事業でした。

TCNは2011年からLED照明などの省エネ事業に着手し、BEMS(ビル・エネルギー管理システム)の実証実験なども行ってきました。そうした中で、同社は当初、MEMSアグリゲータとして認定されている他社の傘下で、入居者からの合意取り付けや料金徴収を行うビジネスを考えました。しかし、既存のサービスとのセット販売ができなければ競争力向上につながらないことや、収益の向上にも寄与できないことから、 TCNは自身がアグリゲータになることを決断しました。

「2016年に電力の小売が自由化されれば、新たなビジネス・チャンスが生まれます。当社にとって電力は、従来サービスの契約関係や設備なども活かせるため既存事業との親和性が高く、地域社会への貢献を目指す会社のミッションにも合致するビジネスです」と津滝氏は説明します。

Transformation

IBMをパートナーに、MEMSと高圧一括受電サービスを事業化

とはいえ、TCNにとって電力事業は未経験の分野です。パートナーを求めていた同社は、MEMSアグリゲータとしての事業計画立案からシステム構築までを支援するというIBMの提案を採用し、アグリゲータの申請準備に着手しました。CATV事業部次長の磯山秀俊氏はパートナー選定の決め手について次のように話します。

「IBMは国内外を問わず多数の実績があり、責任を持ってサポートいただける安心感がありました。電力事業に関する豊富な知識やノウハウを持ち、的確なアドバイスが得られる、心強いパートナーだと感じました」。

こうして、TCNはMEMSと高圧一括受電サービスを組み合わせた事業を展開することを基本として、2014年4月には経産省のスマートマンション補助事業におけるMEMSアグリゲータとしての採択を受けるとともに、IBMのサポートで、サービスを支えるシステム基盤をわずか3カ月で構築しました。

システムは、各住戸と共有部分に設置されたスマートメーターで自動検針されたデータを「メーター・データ収集システム」に送り集積し、「顧客料金システム」で利用料金を計算し、「お客様ポータル」で電力消費量の見える化を行う仕組みです。特に顧客料金システムでは、IBMのビジネスルール・マネジメント・システムであるOperational Decision Managerを活用することで、従量型に加えて季節別時間帯別料金など多様な電気料金プランに、アプリケーション開発を行うことなく迅速に対応することが可能となっています。

これらはIBMの「SoftLayerクラウド・サービス」上に構築されており、今後の規制緩和による電力料金プランの多様化やビジネスの拡大や変更などにも柔軟に対応できるようになっています。

Benefits

自社のビジネス回復とともに、顧客満足度向上に期待

新規サービスはマンション全戸との契約になるため、TCNにとって他社のサービスを利用中の住民に対してアプローチしやすくなり新規加入者の獲得を期待できるとともに、既存加入者向けにはセット割引することでロイヤリティー向上につながります。一方、利用側のマンションにとっては、電気料金の低減に加え、電力消費量の見える化で節電がしやすくなります。管理組合にとっても経済産業省が推進する「スマートマンション導入加速化推進事業」における認定条件の一つを満たし、マンションの資産価値が高まるといったメリットもあり、顧客満足度向上につながることが期待されます。

各家庭での電力の見える化の先には、住民向けの多様なアプリケーションの展開も可能になります。津滝氏は、「当社にはテレビというメディアと通信回線、地域とのコミュニケーション・ネットワークがあります。そうした強みを生かしてマンション内コミュニケーションのビジネスに発展させるなど、ビジネス・モデルを変革したことで将来に向けて可能性が広がったと感じます」と、期待を語ります。

 

将来の展望

事業を軌道に乗せ、他のケーブルテレビへの横展開を図る

TCNでは、2014年度からサービス提供を開始し、当面の目標として、今後3年間で50棟の導入を目指して事業を展開していく計画です。さらに、電力事業を軌道に乗せた段階で、業務ノウハウやサービス基盤となるシステムを他のケーブルテレビにも提供し、業界横断的にビジネスを育てていきたいと構想しています。この先、電力の小売が完全自由化されることにより、電力会社以外の事業者も自由な料金設定で家庭向けに電力を販売できるようになります。TCNではパートナー企業とも連携しながら、戸建て住宅向けも含めて電力事業を大きく育てていく考えです。

 

用語の説明

  • MEMSアグリゲータ

MEMSアグリゲータは、マンションなどの集合住宅に対してMEMSを導入し、ここから得られる情報を活用し、エネルギー管理支援サービスなどの継続的なサービスを通じて10%以上の節電(総量)を目標に事業を行い、一般社団法人 環境共創イニシアチブ(Sustainable open Innovation Initiative、略称:SII)の認定を受けた者。

 

関連情報

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お客様情報

東京23区初の都市型ケーブルテレビ局として、1988年に文京区で開局。「お客様との絆づくり」「地域社会との絆づくり」「個々の意識づくり」をミッション・ステートメントに掲げ、文京区、荒川区、千代田区を中心に、テレビ放送、インターネット接続、電話などのサービスを提供しています。行政や町会、地元のサークルなど地域との連携を強みに、自主放送を制作、荒川区での地域WiMAXサービス、ホテル・法人向けサービスなど、地域の特性を生かしたビジネスも行っています。

 

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  • IBM SoftLayer
  • 電力事業の事業計画立案
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