Business Challenge story

ポイントカード統合後に蓄積される情報で何を得るのか

2004年のOPカード発行直後から、カードの利用情報は日々、蓄積されていましたが、その情報活用についてはまだ軸が定まっていませんでした。小田急電鉄 経営政策本部 カード戦略部 課長の千葉正博氏は次のように語っています。

「例えば、一つの施設の中にグループA社とB社があるとして、その両方を利用するお客様がどの程度存在するのか知りたい、という問い合わせに対して『そのようなデータは出せません』と答えるしかない状況がしばらく続きました。というのも、各グループ企業でカードが利用されたデータは手に入るようになったものの、それをグループ横断的に、会社を跨って利用状況を分析できるような道具、つまり分析ツールがなかったのです」

OPカードの開始当初は、システム担当に依頼して、各グループ企業のカード利用件数などのデータを集計、抽出してもらい、整理して、関係者に提供するケースが多かったそうです。つまり、カードそのものはグループ内で共通に使えるようになりましたが、会員の利用実態はグループ内の会社単位でしか見ることができず、また、集計・分析に用いる軸なども限定的でした。

「カードの統合をグループ企業各社のメリット創造に導く」、これがカード戦略部に課せられた大命題でした。それをより具体的なアクションに落としていくと、グループ企業同士の連携強化策とそれぞれの顧客に対する理解度の深化の二つのアクションになりました。

「A社だけをご利用いただいたお客様にグループ企業であるB社もご利用いただく方法を考える。これが連携強化策ですね。そしてそうしたお客様への働きかけをダイレクト・メールなどで行うには、よりお客様について知らなければならない。これらに必要な情報を手に入れるためには、やはり専用の道具が必要だ、ということになったわけです」(千葉氏)

Transformation

グループ各企業の多様なニーズに対応するため、集計、分析、抽出の自由度、柔軟性を重視し、SPSS Modeler を選定

膨大なデータ分析を行うツールへの投資に、無駄は許されません。上層部もツールの必要性は認識していましたが、問題はどのような使い方が考えられるか、ということでした。それを想定し、ツールを選定するのがカード戦略部の仕事でした。

「当時、われわれはこの種の分析系システムに関する知識は『ゼロ』に近いものでした。さまざまな人の話を聞き、関連のイベントに出かけ、ツールに関する知識も蓄えていきましたが、それ以上に頭を使ったのが、『われわれは何がしたいのか』ということです。よりお客様を知るためのツール、というところを起点にどんな分析をすればいいのか、そして、いかにアクションに繋げられるのか、ということを徹底的に考え、議論し続けました。そして、業種も業態も幅広いグループ各企業に対応していく立場、あるいは取組みの内容も進化していくことを考えると、分析のニーズや方法を予め全て想定しておくことは不可能であり、型にはめるような仕組みは好ましくない、という結論に至りました」(千葉氏)

そこで、ツール選定の条件として浮上したのが「操作性が柔軟で、さまざまな角度からの分析ニーズに対応できる」というものでした。検討の結果、最終的にSPSS Modelerが選ばれました。SPSS Modelerは、「データ分析における集計、加工の自由度」、「特別な言語を用いて操作する必要がない」、 「標準で搭載されている機能だけでも必要な分析ができる」といった点が評価されました。

「導入に際しては、業務系システムとの連携など色々と課題もありましたが、システム部門の理解、協力を得て、SPSS Modelerを採用することになりました。導入前の教育研修もスムーズに進みましたし、いいスタートが切れたと思います。本格的に活用を開始したのは、2008年4月です」と千葉氏は当時を振り返ります。

Benefits

顧客を探し出す縦横無尽の分析の切り口

活用を開始して2年半が経とうとしている現在、千葉氏は SPSS Modeler導入の効果について「今までできなかったことができるようになった。それが一番大きい」と話します。現在、カード戦略部では各グループ企業と顧客分析を行い、ダイレクト・マーケティング戦略を練り、施策に反映させているといいます。1年間にこうした顧客分析、戦略の検討、施策への反映を行うプロジェクトが50本以上進められており、それに加えて、グループ各企業からさまざまなデータ分析依頼があるそうです。

「もちろんグループ企業同士で重なる利用客はどういった方々なのか、という分析も行います。しかしそうした結果は、意外と漠然としてしまい、どういう施策に生かせるかが判然としないことが多いのです。各グループ企業にとって、『自分達のショップや施設にお客様が来てくれるか』ということが最大のテーマです。従って、そうした狙いに応えるためにも仮説を明確に立てて、より具体的にお客様のイメージを作り上げる、つまりライフスタイルや価値観、そうした部分に踏み込んで想像力を働かせることが重要と考えています。そうなると、お客様を単純に属性情報で分類するのではなく、利用状況にも着目して、消費行動としての特徴を捉えていく必要があるわけです」(千葉氏)

価格帯が高めのレストランに興味を持ってくれる潜在顧客を探したい。例えばそれは、各社が年間で計画している販促計画をよりスムーズに高い効率で進めたいというニーズにつながります。グループの情報連携を強め、潜在顧客を他社での利用の特徴などから推測します。そしてそうした横の連携だけでなく、もっと各社毎に顧客を知ろうという分析がなされています。横のつながりと顧客に関する縦方向の深掘り。これこそ、千葉氏の話す「これまでできなかったこと」なのです。

 

将来の展望

グループ総体としてのマーケティング力向上という目標

小田急グループではSPSS Modelerを活用したカード情報分析を行い、グループ経営のシナジー向上に役立てています。ただ、千葉氏は今後、SPSS Modelerのデータ・マイニング・ツールとしての強みをさらに活かしたいとしています。

「ダイレクト・メールを使ったキャンペーンでは、データ分析も含めてさまざまな検証、改善を重ねた結果、これまで以上の反応が得られるケースも増えています。こうした実績がわれわれカード戦略部に対する信頼にも繋がるわけですが、今後はデータ・マイニングの機能も合わせて活用しながら、過去に得られた結果をさらに分析し、他のデータと掛け合わせるなどして、施策の効果をより高めることを実現したいですね」

これは、データ分析によってマーケティング・プランそのものをがらりと変えていく可能性を持った手法だといえます。年間の販促計画だけにデータを活用するのではなく、各社のマーケティング戦略全体の精度を検証していくことになるでしょう。

千葉氏は小さな実績をこれからも積み重ね、グループ総体としてのマーケティング力向上を目指しています。

カード戦略部はデータ分析だけでなく、ダイレクト・メールの制作面での支援も行っているといいます。こうした現場力の強化がさらに大きな信頼を勝ち取るに違いありません。SPSS Modelerは小田急グループのデータ活用力向上に今後も役に立つツールとして活躍していくことでしょう。

 

お客様情報

1948年設立。小田急電鉄の路線は、新宿を起点に、箱根の玄関口、小田原までを結ぶ「小田原線」、湘南エリアに至る「江ノ島線」、多摩ニュータウンに至る「多摩線」の3路線、計120.5㎞(全70駅)からなる。3路線の通勤・通学、観光客を含めた利用者は1日約195万人。小田急電鉄以外の電鉄、バス などの運輸業、不動産、流通、ホテル・リゾートなどの各事業を運営するグループ企業は103社(2010年7月1日現在)で、「お客さまの『かけがえのない時間』と『ゆたかなくらし』の実現に貢献します」というグループでの経営理念の下、「ValueUp 小田急」という事業ビジョンを掲げ、グループ総体での価値向上に向けて取り組んでいる。

 

テクノロジープラットフォーム

IBM Business Analytics について

IBM Business Analyticsソフトウェアは、意思決定者が信頼できる情報 ― 正確で一貫性のある包括的な情報 ― を提供することで、ビジネスの業績改善をサポートします。ビジネス・インテリジェンス、高度な分析、財務実績と戦略管理、および分析アプリケーションからなる包括的なポートフォリオは、現状の業績に関し、ビジネスアクションにつなげることのできる明確で即時性の高いインサイトをもたらし、将来の結果を予測する能力を提供します。

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