dsm-firmenich Animal Nutrition & Health社では、飼料・農業畜産産業に本格的なワンストップ・サービスを提供しています。これには、健康で持続可能な動物性タンパク質を生み出すエッセンシャル(基本)製品や、パフォーマンス・ソリューション(エッセンシャル製品を上回る付加価値と欲求を生み出す)、データ主導型の高精度サービス(サステナビリティーと動物の健康改善に注力した知見により目に見えないものを可視化)などがあります。
幅広い顧客基盤のある世界的な大手企業として、すべての人に食品の安全性と持続可能な未来を保証するフルラインナップを持っていました。カビ毒リスク管理における革新をリードしてきた長年の実績を持つ同社は、顧客によって動物飼料に使われる農作物などの材料にあるカビ毒汚染を判別し予測管理ができる新しい方法を探していました。
カビ毒汚染は、穀物の品質と安全性に大きな脅威をもたらし人間と動物の健康をも一様に損なうため、軽視すべきではありません。特定の真菌によって作られる有毒化合物は、成長、収穫、保管のサイクルにおいて、トウモロコシ、小麦、ライ麦などの穀物を汚染する可能性があります。これは、人の飲食用の食材を汚染し、家畜の病気、パフォーマンスの低下、さらには家畜の死につながる恐れがあります。カビ毒汚染の経済的影響は甚大になる場合があります。影響を受けた穀物は廃棄しなければならず、農家や農業全体に多大な損失をもたらす恐れがあります。
農作物のカビ毒汚染対策の1つとして、天気予報データの活用があげられます。同社は、気温、湿度、水分のパターンを正確に予測できる信頼性の高い気象データを求めて、IBM Environmental Intelligence Suiteを採用しました。例えば、カビの生育を誘う気象条件を早期に警告することで、農家が防カビ剤の使用、灌漑スケジュールの調整、最適な時期の農作物収穫など時宜に適った積極的な対策をとれるよう支援します。高度な気象予報システムにより、植物を弱らせ、真菌の増殖リスクを高める干ばつや洪水などの異常気象事象も検出できます。IBM Environmental Intelligence Suiteの活用で、dsm-firmenich Animal Nutrition & Health社は天候を予測し、農産物の保護と安全を保証できるようになりました。
dsm-firmenich Animal Nutrition& Health社の研究者は、IBM Environmental Intelligence Suiteを利用して、カビ毒管理の戦略を改善しました。高度な分析、地理空間分析、APIサービスを通じた世界中の気象データを活用し、カビ毒の脅威に対抗するツールセットを開発しました。こうしたツールにより、カビ毒汚染のリアルタイム予測と予防が可能になりました。
カビ毒予測モデルでは、重要な成長段階の気象条件とカビ毒の発生への影響を分析することにより、今後の収穫におけるカビ毒レベルを予測します。高度なアルゴリズムは、カビ毒生成の生化学、真菌の種類とライフサイクル段階、作物の種類と成長段階、世界的なカビ毒発生データ、時間ごとの世界の気象データなど、カビ毒の発生に影響を与える複数の要因を組み合わせています。このアルゴリズムでは、さまざまな生育段階における気象条件と、小麦やトウモロコシ(カビ毒に対する天候の影響が大きく、予測が十分に確立されている作物)におけるそれらのカビ毒発生への影響との関係を考慮に入れています。カビ毒予測モデルでは、IBM Environmental Intelligence Suiteを61,000地点から実際の1時間ごとの気象データと最大8か月間の正確な気象予報を活用しています。
dsm-firmenich Animal Nutrition & Health社では、包括的なカビ毒検出サービスと、dsm-firmenich World Mycotoxin Surveyと呼ばれる定期的なお客様向けレポートも提供しています。このレポートでは、世界中のトウモロコシ、小麦、大豆などの作物に含まれるカビ毒の発生状況を分析し、さまざまな地域や商品におけるカビ毒の有病率とレベルに関する貴重な知見を提供しています。調査結果は、予測モデルに情報を与え改良するために使用されます。また、最善の行動方針に応じて、カビ毒結合剤の使用や酵素による生体内変換など、効果的なカビ毒軽減戦略の開発も支援しています。
dsm-firmenich Animal Nutrition & Health社には、カビ毒研究における長年の研究開発の歴史があり、それが業界標準となるカビ毒の検出および軽減戦略の開発につながってきました。同社によりカビ毒の発生と毒性に関する知見が大幅に進歩し分析方法が改善できました。これにより、飼料生産者はカビ毒のリスク管理について情報に基づいた意思決定を行い、最終的に安全で高品質の飼料が生産できるようになりました。
同社の手法では、トウモロコシと小麦の生産量に重み付けした地域のカビ毒リスク予測を出すだけでなく、天候、農作物の種類、場所、発育時期、土壌耕うん、過去の農作物など、農家の個別の要因も考慮に入れました。これは、実際の調査結果を徹底的に検証した後に行われ、個々の畑に合わせた予測を出せるため、農家や生産者がデータに基づいた意思決定を行えます。例えば、農家は、リスクの高い地域からの収穫量について、早期の検査を実施するか追加の検査を実施するかについて、情報に基づいた決定を下すことができるようになりました。汚染が確認された場合は、関連するリスクを最小限に抑えて法令遵守できるよう、収穫量内の汚染が規制の範囲内に収まるように早期の収穫を検討できます。
IBM Environmental Intelligence Suiteの信頼できる気象データと地理空間分析機能により、dsm-firmenich Animal Nutrition & Health社とそのパートナーは、高リスク地域に正確に狙いを定め、監視と緩和に取り組めるようになりました。また、特定の地域や個々の農家がカビ毒の種類を予測し、その脅威に合わせた緩和戦略を推奨できるようになりました。国連食糧農業機関(FAO)は、カビ毒が世界の作物の25%に毎年影響を与え、 その結果、毎年約10億メトリックトンの食品と食料品が失われると推定しています1。さらに、EUにおけるカビ毒汚染のコストは、年間12億ユーロから30億ユーロと推定されています2。それぞれの場所に特化した正確な予測により、農家や生産者は作物の損失を大幅に削減でき、結果として農産業のコスト削減につながります。さらに、この方法では化学的介入を減らし、環境への影響を最小限に抑え、持続可能で食料の安全な未来を支援することで、持続可能な農業の実践を促進できます。最終的に、dsm-firmenich Animal Nutrition & Health社は、カビ毒予測サービスを活用して、パートナーが正しい決定を下し、動物生産者に安全な飼料を供給できるよう専属で支援できます。
1データソース:
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0041010123002131#cebib00102。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10408398.2019.1658570
2データソース:
https://www.nature.com/articles/s43016-022-00655-z#MOESM3
https://www.dairyglobal.net/specials/professor-rudolf-krska-challenges-need-to-be-faced-with-cutting-edge-research/
栄養、健康、化粧品業界のイノベーターとして、dsm-firmenich Animal Nutrition & Health社(ibm.com外部へのリンク)は、増えつづける世界人口のさらなる繁栄に不可欠な栄養素、フレーバー、フレグランスの考案、製造、混合を行っています。自然で再生可能な原料と定評のある科学技術力を生かした包括的なソリューションで、生活に不可欠で消費者にとって望ましい、地球にとって持続可能な製品やサービスを生み出すことに取り組んでいます。dsm-firmenich社は、ユーロネクスト・アムステルダム上場のスイスとオランダの企業で、約60カ国で事業を展開し、収益は120億ユーロを超えています。dsm-firmenich Animal Nutrition & Health社は、世界中に約3万名の従業員からなる多様なチームを擁し、毎日さまざまな場所の何十億名もの人々の生活に進歩をもたらしています。
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