Business Challenge

第一三共の研究開発の一翼を担うグループ企業の第一三共RDノバーレは2014年に次世代シーケンサーを導入して、ゲノム解析に取り組んできました。新シーケンサーは旧式のものと比較して飛躍的に多くのデータを読み取れるため、データ量増大に対するIT基盤の準備を整えて導入しましたが、想定以上にシーケンサーの稼働率が高くなった結果、毎月2TBのデータが増え、データを格納するストレージが逼迫する状況が生じました。絶対的なディスク容量の不足という事態に、データがたまるとその都度、手動でテープにアーカイブするという方法で対応していました。

Transformation

第一三共のIT企画部は第一三共RDノバーレのゲノム解析におけるデータ格納ストレージの容量不足の課題を優先的に解決することとして、解析基盤リニューアルを検討し、2017年6月にRFP(提案依頼書)を提示しました。数社の提案の中から、階層型ストレージ「IBM Elastic Storage Server (ESS)」とテープ・ライブラリー「TS4500」、そしてGPUを搭載した高速サーバー基盤「IBM Power System S822LC for HPC (Minsky)」から成るIBMのソリューションがトータルの質の高さ、拡張性、豊富な導入実績が決め手となって、選定されました。新解析基盤の構築は急ピッチで進められ、2017年10月上旬にハードウェアを設置、解析データをすべてESSに移行、11月中旬には利用を開始しました。

Benefits

新解析基盤ではデータをESSに格納し、Minsky上で解析することで、解析スピードは一番速いプロセスで10倍、平均しても3倍から4倍になり、今後、創薬のための研究スピードが加速することが期待されます。また、最初から拡張性のあるシステムで解析基盤を構築したことで、データ容量についてのストレスから解放され、試したいことを試せるようになりました。がんの新薬開発のためにはゲノム全体を解析する全ゲノム解析が必要になりますが、新解析基盤によって、全体でも一部でも自由に解析手法を選択することができる環境が整いました。「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を目指す2025年ビジョンの達成に新解析基盤が大きく貢献すると思われます。

当事例に関する図表を含めた詳細な情報は、下記「PDFダウンロード」よりご覧いただけます。

Solution Category

  • Systems Hardware