Business Challenge story

どのPCからも高機能で使いやすい。分析ソフトウェアを利用可能としたい

臨床研究として行われるものにはさまざまなものがありますが、多くの施設では、臨床研究コーディネーター(CRC)やデータマネージャー(DM)と呼ばれるスタッフは、「治験」を支援しています。治験とは、新しく開発された医薬品や医療機器について、治療効果の高さや副作用の有無などの安全性を検証し、薬事法上の承認を得るために行うものです。治験では、実際の治療時に、患者の承認を得た上で対象とする新薬を投与、あるいは医療機器を使用します。そして、患者の性別や年齢などのプロフィール、各種検査結果データや治療経過データなどを収集、分析し、新薬、新医療機器の有効性や安全性を定量的に評価、検証するのです。

臨床研究には、治験以外にも、疾患の原因特定、有用な診断法、有効性が高く副作用の少ない治療法の開発など、さまざまな形で医学、医療の進歩に役立つ研究も含まれます。ただ、多くの患者を抱え、日々の治療に忙しい医師にとって、臨床研究にかけられる時間はあまり多くありません。そこで、小児総合医療センターでは「臨床研究支援センター」と呼ばれる部署を設置しました。臨床研究支援センターに所属する医師、スタッフは、臨床研究に必要な段取りや事務作業、データ収集、管理、分析などの面で現場の医師を支援し、臨床研究を円滑に推進する環境づくりを担当しています。

臨床研究支援センター室長であり、循環器科部長の三浦 大氏は、臨床研究支援センターの存在意義について次のように語っています。

「多くの病院では、主に人手不足が原因で治験以外の多様な臨床研究をなかなか行うことができない状況にあります。しかし、小児総合医療センターでは、臨床研究支援センター所属の医師、スタッフの支援によって、多くの医師が治験以外の臨床研究にも積極的に取り組むことができています」。

臨床研究では、客観的なデータを用いた高度な分析が必要です。そこで、臨床研究支援センターでは、「小児総合医療センターのすべての医師が、高機能、かつ使いやすい分析ソフトウェアを自由に使える環境を提供する」ことを目指しました。従来はある分析ソフトウェアが各診療科の特定の医師が利用しているPC1台にインストールされているのみであり、他の医師が自由に使える環境ではありませんでした。

また、研究予算の制約のために機能的には不十分な分析ソフトウェアを我慢して利用している医師もいました。無料で使える分析ソフトウェアもあるものの、多くはコマンドを用いた操作が必要で、使いこなすために一定のスキルが要求されたり、信頼性を欠くものであったりします。したがって、必ずしも分析の専門家ではない医師にとって身近なものではありませんでした。

Transformation

コンカレント・ライセンス契約によってIBM SPSS製品の導入を決定

臨床研究支援センターでは、小児総合医療センターに所属する300人ほどの医師を含む、全職員約1,100人が自分のPC上で自由に優れた分析ソフトウェアを利用できる方法を探していました。その結果、たどりついた解決策が、IBM SPSS製品を「コンカレント・ライセンス」という契約で導入することです。コンカレント・ライセンスとは、同一ネットワーク上にあるPCにおいて、同時に起動できるユーザー数に応じた利用料金を設定するものです。この契約形態には次のメリットがあります。

 

  1. 全部のPCに個別にインストールする場合よりも、コストが大幅に低減できる
  2. 医師が他の病院に移る際に自分のPCを持っていく場合や、新任の医師が自分のPCを小児総合医療センターに持ち込んだ場合など、PCの入れ替え時にPCごとのライセンス管理を個別に行う必要がない

 

IBM SPSS製品のような分析ソフトウェアは毎日頻繁に利用するものではないため、実際の同時起動ユーザーが契約ユーザー数を超えてしまって利用できない状況になる可能性はそれほど高くありません。したがって、できるだけ多くの医師にIBM SPSS製品のような高機能な分析ソフトウェアを自由に使える環境を提供しつつ、コストを抑える方法としてコンカレント・ライセンス契約が最適だと判断されたのです。

Benefits

IBM SPSS製品ユーザーとなる医師が増え、臨床研究推進に貢献

IBM SPSS製品が小児総合医療センターに導入されたのは2012年4月。現在、基本の分析ソフトウェアであるIBM SPSS Statisticsがコンカレント・ライセンスを通じて利用可能になっており、契約ユーザー数は4人からのスタートです。まだ、すべての医師のPCにIBM SPSS製品のインストールが完了したわけではありませんが、周囲の医師の評判などを聞いて、日々、IBM SPSS製品ユーザーになる医師が増えています。なお、インストールを完了したユーザーの利用状況は「利用ログ」によって把握可能です。今のところ、同時起動ユーザー数の超過という状況は起きていません。

臨床研究支援センターの医員である森川 和彦氏は、「機能が豊富でありながら、直感的に利用できる操作画面を持つIBM SPSS製品は医師の評判もいいです。また、学会や学術誌に提出する研究論文において、フリーのソフトウェアではなく、IBM SPSS製品のようによく知られていて、信頼性の高い分析ソフトウェアを利用していることは、論文の価値を高めることにもつながります」とIBM SPSS製品について高い評価を与えています。

IBM SPSS製品が共用のPCではなく、個人のPCからいつでも利用でき、かつ研究用データセットが自分のPC内にあることで、わずかな空き時間にも、ソフトウェアを立ち上げてデータを回してみるということが気軽にできるようになりました。臨床研究支援センターのスタッフたちも、医師と一緒にディスプレイを見ながらIBM SPSS製品を用いた分析作業を進めることができるようになるなど、臨床研究支援がしやすくなっています。

 

将来の展望

IBM SPSS製品を使いこなせる分析スキルや統計学などの知識拡充にも積極的に取り組む

臨床研究支援センターでは、医師たちに分析ソフトウェアを提供するだけでなく、分析スキルや統計学の知識を身につけてもらうことで、IBM SPSS製品を使いこなして、質の高いデータ分析による優れた研究成果を出してほしいと考えています。そこで、内部研修として、IBM SPSS製品の利用法も学べる「統計講座」を年3回ほど開催しています。また、そもそも臨床研究をどのように立案して進めるべきかといったことを学んでもらうための「臨床研究講座」も開催しています。臨床研究支援センターでは、今後もこうした講座を充実させていく予定です。

さらに、生物を対象とするデータ、すなわち「生体データ」は、他のデータよりも扱いが難しく、その分析や解釈において留意すべきポイントが数多くあるため、生物統計学の専門家を招いて、医師たちの相談に乗ってもらえるような体制づくりにも取り組んでいます。

看護師で、現在は看護研究支援にも取り組んでいる臨床研究支援センターの臨床研究コーディネーター(看護)である友常 雅子氏は、看護研究におけるIBM SPSS製品の活用について次のように語ります。

「看護研究には患者さんの語られた内容や様子をありのままにじっくりと観察して、その中から新たな見方・考え方を見いだしていくものがあります。つまりインタビューなどを通じて収集したデータを定性的に分析して仮説を立案するものです。その後にアンケート調査などを実施して、定量的なデータの収集、分析、仮説の検証へと進んでいきます。こうした一連の研究において、IBM SPSSのテキストマイニング・ソフトウェアや共分散構造分析ソフトウェアなども積極的に活用していきたいと考えています」。

臨床研究支援センターが目指しているのは、「質の高い研究」を生みだす支援をすることです。質の高い研究とは、データそのものの質が高いこと、データの管理がしっかりと行われていて、倫理的な問題もないこと、科学的なアプローチでデータ解析が行われること、そして、最終的には研究成果が学術誌などにも掲載され、医療の進歩に貢献することという条件を満たすものです。こうした質の高い研究の実現のため、IBM SPSS製品も重要な役割を担っています。

 

お客様情報

2010年3月に、3つの都立小児病院および都立府中病院小児科を移転統合して誕生した小児専門の総合病院。病床数561床、病室数229室。内科、外科、精神科(児童・思春期精神科)を含む、37科の診療科を有し、軽度から重度までのさまざまな病気、けがに対応する救急医療を24時間体制で提供。隣接する成人向けの東京都立多摩総合医療センターとの連携により、小児から成人までの一貫した医療が可能になっている。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud
    • HC: Analytics and Reporting
    • SPSS Statistics