Business Challenge story

グループ戦略の見直しの中でITシステムの運用からメンテナンスに業務内容を変更

1967年に設立されたニッセイコンピュータ(当時、日生コンピューターサービス株式会社)は、長年にわたり日本生命のITシステムの運用を担ってきましたが、グループにおける役割を見直し、2010年4月よりシステムの運用のみではなくシステム維持管理にまで業務内容を拡大しています。その経緯についてニッセイコンピュータ システム運用推進部 担当部長 岩城 真司氏は次のように説明します。

「日本生命のIT関連企業としては、ニッセイコンピュータと1999年に設立されたニッセイ情報テクノロジー株式会社(以下、ニッセイ情報テクノロジー)の2社があります。ニッセイコンピュータは機器のオペレーションやデータ入力、ならびに日本生命の事務サポートなどの運用事務関連を、ニッセイ情報テクノロジーはシステム開発を請け負うという形で役割が分かれていたのですが、両社の業務範囲を見直す中で、ニッセイコンピュータが請け負う運用業務を再検討しました。その結果、システムの維持管理業務まで拡大するということになり、すでに昨年度にはメインフレームの開発、維持管理の部門が業務移管されています」。

メーカーのサポート体制、障害発生率、性能面の3つで課題を抱えていた仮想テープ装置

ニッセイコンピュータがメンテナンスを行っている日本生命のITシステムでは、メインフレームで稼働するシステムのデータ保存および災害などに備えたバックアップに、以前より仮想テープ装置が使われてきました。しかし、この仮想テープ装置にはメーカーに関する課題と性能面での課題を抱えていました。

「テープ装置は依然として低コスト、大容量ストレージとして有用性が高いと思いますが、世の中の流れとして、メインフレームで使用する物理テープ装置は減少傾向にあり、日本生命においても省力化を目的として仮想テープ装置を導入していました。しかし、導入当初から使っていたメーカーのメインフレーム関連ビジネスは規模を縮小していく傾向にありました。これでは、将来に向けての製品のロードマップやサポート体制に不安を抱いてしまいます」(岩城氏)。 さらに、性能面の課題について、ニッセイコンピュータ システム運用推進部 ホスト基盤開発G チーフ 山本 勇氏は以下のように説明します。

「メインフレームの仮想テープの仕組みは、RAIDアレイ・キャッシュのフロント・エンドとテープ・ライブラリーのバック・エンドの二重構造になっています。バック・エンドでは二重化したテープ・ライブラリーが稼働し、さらにそのデータを災害などによる障害に備えて、本番センター外で外部保管するためのテープにもエクスポートしていました。このようにバック・エンドのテープに4重コピーが必要となるため、合計48ドライブのテープ・ドライブと、フロント・エンドに6台もの仮想テープ装置が必要になっていました。機器の台数が多くなるとメンテナンスの手間がかかります。実際にテープ・ドライブなどに関連する小規模の障害は頻繁に発生し、異常メッセージ検知により夜中や休日にシステム担当者が緊急連絡を受けるというような事態も頻繁に起こっていました。また、外部保管用テープへのコピー処理が当日のバッチ終了時間まで時間を要することも課題となっていました」。

Transformation

テープレス環境とリモート・コピーを実現し、運用負荷を大幅に軽減

このような課題を抱えていた日本生命の仮想テープ環境ですが、それまでの製品が更改の時期を迎えることから、ニッセイコンピュータでは、新しい仮想テープ環境の要件検討と、日本生命による機器選定のサポートを実施。結果として、現行同様に本番センター仮想テープ環境を二重化するとともに、機器の障害発生しやすい部位を減らす、バックアップ・センターへのスムーズなデータ・バックアップを実現するという従来の要件に加え、将来の製品ロードマップが明確に示されているということも盛り込まれました。

この要件の下、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)と従来メーカーの2社によるコンペが行われ、日本IBMが選択されました。その選定理由について、岩城氏は以下のように語ります。

「日本IBMは、仮想テープ環境の初期導入や以前の更改時にも検討したところ、当時のIBM製品では、本番センター内の完全二重化構造やバックアップ・センターへのデータ・バックアップが難しかったことから採用を見送ってきましたが、現在の製品では問題なく対応できるようになっていました。さらにIBMではサーバー(IBM System zなど)、ストレージなど、メインフレーム関連製品には力を入れていますので、将来のロードマップやサポート体制についても心配がありません。また日本IBMから提案された新たな仕組みも、運用負荷の大幅な軽減につながると思いましたので、この点も評価しました」。

この日本IBMから提案した新たな仕組みには、大きく2つのポイントがありました。1つは本番センター内での機器二重化と同時にテープレスの環境を実現することです。日々の運用で物理テープを使わなくなることにより、システム運用経費の削減を見込むことができます。そしてもう1つがバックアップ・センターへのデータ・バックアップをリモート・コピー機能を活用して、ネットワークを通じて迅速に行うようにすることです。バックアップ・センター側にも仮想テープ装置を導入し、コピーされたデータはここで自動的にテープ・メディアに書き込まれます。製品としては、本番センターには2台のTS7720を、バックアップ・センター側には1台のTS7740を導入することが決定されました。

Benefits

大量のストレス・テストの結果、約2倍の処理速度を期待できることが判明

仮想テープ環境更改のプロジェクトは2010年4月より開始。その後実際の環境構築のフェーズへと進みました。この段階では、2つの大きな検討ポイントがあったと山本氏は言います。

「1つは、本番センター内で仮想テープ装置を二重化しているのですが、この2台間でのコピーを同期させるか非同期で行うかを検討しました。これは障害発生時のリカバリーのしやすさと日々の業務でのレスポンスのどちらかを優先させるのかということなのですが、テストを行った結果、同期でコピーを行ったとしても、以前よりレスポンスが向上するということが分かりましたので、障害時のリカバリーのしやすさを優先して同期コピーを採用しました。もう1つはバックアップ・センターへのリモート・コピーです。その点、IBMの仮想テープ装置は機器として高速な非同期コピーをサポートしており、本番の書き込みを優先した非同期コピーやコピー状況の監視が柔軟にできるなど、多くの利点がありました」。

さらにこの構築フェーズではパフォーマンスのテストを行い、処理速度が格段に向上することが分かりました。その内容について株式会社ニッセイコンピュータ システム運用推進部 ホスト基盤開発G チーフ 波多野 栄氏は次のように説明します。

「パフォーマンスがどのように変わるのかを予測するために、大量のストレス・テストを行いました。このテストは、従来のパフォーマンスに比べて問題がないかということと、将来的な使用量増加を見据えて機器の限界性能を評価するという2つの観点から行ったのですが、結果として従来に比べてトータル・スループットで約2倍の処理速度を実現することが分かりました」。

また日本IBMの体制としては、アカウント・チームとストレージ製品部門、テクニカル・サポートに加え、大和事業所の開発部門のスタッフが提案段階からプロジェクトに参加し、設計レビュー、各種テストや環境構築のノウハウについて多角的にサポートしました。

「外資系のメーカーの場合、開発部門が海外にあるため、開発スタッフからのアドバイスなどをいただく場合、非常に時間がかかってしまうケースもあります。しかし、IBMの仮想テープは、日本にも開発部門がありますので、そのスタッフの方々が迅速に対応していただけたことは、非常にありがたかったと思っています」(岩城氏)。

仮想テープ環境の刷新により、処理速度の向上、運用負荷の削減などが実現

日本生命の新しい仮想テープ環境は、2011年5月より稼働が開始されました。本番環境で表れた効果としては、まずパフォーマンスの向上が挙げられます。

「本番環境では、従来比約1.5倍の処理ピーク時のスループットを確認していますので、マシンの性能からすると、まだ余力を残した状態で稼働しています。その状況でも、ジョブの実行時間については、30~50%程度に短縮されていますので、大きな効果が表れていると思います」(波多野氏)。

このように処理時間が短縮されたこと、またバックアップ・センターに保管するためのテープに書き込む必要がなくなったことにより、運用負荷が大幅に下がったと岩城氏は言います。

「特にバックアップ・センター用に保管するためのデータをテープに書き込む作業がなくなったことで、運用が大幅に効率化されました。これまでは、毎朝前日のデータをテープに書き込まなければなりませんでしたが、新しい環境では自動的にリモート・コピーされ、さらにバックアップ・センター内でのテープへの書き込みも自動化されていますので、この部分についての作業負荷がほとんどなくなりました。この点は、運用スタッフの人件費やこれまで外部委託していたテープ保管のコストなどの削減にもつながっています」。

また、稼働開始以来、これまで大きな障害は発生していないことも運用負荷の削減に貢献しています。

「以前のシステムでは、月に4回程度エラーが発生し、そのたびに時間を問わず緊急連絡を受けなければならなかったのですが、新しい環境では、同レベルのエラーは一切発生していません」(山本氏)。

将来の展望

より安全なITシステム環境を維持するために最善の対策を実施

新しくなったばかりの日本生命の仮想テープ環境ですが、今後の展望について岩城氏は以下のように説明します。

「現在は移行期間のため、新旧の仮想テープ環境が稼働していますが、テープは本来省電力のストレージであり、さらに稼働台数の削減により、節電効果もある程度は見込めるのではないかと思っています」。

また岩城氏は、グループ内での役割変更が実施されているニッセイコンピュータの今後のビジネス展望についても語ります。

「金融機関である日本生命のITシステムを維持・メンテナンスしていくという今後のニッセイコンピュータの役割を考えますと、第一に安全性に配慮しながらシステムを維持していけるのかということが重要だと思っています。そのために日本IBMの方々と協力しながら、どのような対策を取ることができるかということについて、さらに検討していきたいと思っています。特にリスク管理については重要になりますので、運用ルールの徹底なども含め、最大限の対策を講じていきたいと考えています」。

今後もニッセイコンピュータは日本生命のITシステムを支える重要な役割を担いながら、さらなる発展を遂げていくことでしょう。

お客様の声

株式会社ニッセイコンピュータ システム運用推進部 担当部長 岩城 真司 氏

「新しい環境では自動的にリモート・コピーされ、さらにバックアップ・センター内でのテープへの書き込みも自動化されていますので、この部分についての作業負荷がほとんどなくなりました」

株式会社ニッセイコンピュータ システム運用推進部 ホスト基盤開発G チーフ 山本 勇 氏

「以前のシステムでは、月に4回程度エラーが発生し、そのたびに時間を問わず緊急連絡を受けなければならなかったのですが、新しい環境では、同レベルのエラーは一切発生していません」

株式会社ニッセイコンピュータ システム運用推進部 ホスト基盤開発G チーフ 波多野 栄 氏

「本番環境では、従来比約1.5倍の処理ピーク時のスループットを確認しています。その状況でも、ジョブの実行時間については、30~50%程度に短縮されていますので、大きな効果が表れていると思います」

お客様情報

株式会社ニッセイコンピュータは、日本生命グループ会社の中核として保険・金融・介護分野などのソリューション・ビジネスを展開するニッセイ情報テクノロジーとの協業により、日本生命のITシステムの運用を担当。現在ではグループにおける役割が変更され、システム運用の枠をシステム維持管理業務まで拡大しています。

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

  • IBM Virtualization Engine TS7700ファミリー

Solution Category

  • Other