Business Challenge story

約2000の事業単位とビジネスユニットに提供する業績管理システム構築の課題

国分株式会社の経理財務部では、以前から情報システム部門と協力して、独自の業績管理システムを開発していた経緯があります。その取り組みと課題について、経理財務部の酒井宏高課長は、次のように切り出します。

「弊社における業績管理の基本は、お得意先と商品別の売上総利益を日次で把握し、グループ全体で約2000に及ぶ事業所単位のコストと合わせて、事業損益表を月次で作成し、財務会計と管理会計を一致させて、予実管理を行うことです。そのために、以前から経理財務部では情報システム部と協力して、自社で業績を管理するシステムを開発してきました。しかし、当時は部分的な対応のみで、グループ全体での統一的な管理には至っていませんでした」。

同社の約2000に及ぶ事業所は、全社グループ合計とエリア合計、企業合計に支社事業部合計階層化されています。その事業所の内訳として、販売員やお得意先の明細を基幹システムで管理しています。かつては、自社で開発していた業績管理システムも、約2000の事業所すべてに展開するのは困難であると考えて、2009年の6月に情報システム部門と経理財務部門とのコラボレーションでパッケージ型の業績管理対応製品を導入しました。従前に比べ機能面で飛躍的な前進をしました。しかし、そこにも課題がありました。その問題について、納谷憲治課長が説明します。

「全社規模で使うことを前提として、パッケージ型の業績管理対応製品を導入した結果、管理資料の標準化はできました。一方でその製品にはいくつかの課題があり、一番の課題は表のレイアウト等のアレンジが情報システム部門に大きな負担がかかることでした。たとえば、ある表のA列をB列にする、という簡単な修正にも、2~3日の時間がかかってしまったり、データを更新するだけでも70時間ほどかかるなど、処理の遅さに加えて運用や保守の負荷も、大きな問題となっていました」。

結果的に、2009年に構築した業績管理システムでは、各事業所ごとに利用する集計表は、現場の担当者がExcelを使って修正するような運用方法になりました。まず、事業損益表を基幹システム側で構築し、各エリアや各企業で必要とする体制を整えました。一方の経理部署では、事業所別のデータをExcel形式でダウンロードして、営業部署ごとのニーズに合わせて独自の分析資料を作成しなおしていたのです。

こうした煩雑な運用と処理に時間がかかる、という課題を解決するために、同部では処理能力に優れ、エンドユーザーが主体的に運用できる新たなパッケージ製品を探すようになりました。

Transformation

物流部門で採用されていたIBM Cognos TM1の評判を聞いて導入を検討

「新たな業績管理システムの構築に向けて、我々はいくつかのテーマを設定しました。まず第一が、スピードです。スピーディーな意思決定を支援するためには、処理能力に優れたシステムの採用が不可欠でした。次がコストです。パッケージ製品であっても、情報システム部門に運用や改修の負荷がかかるものでは、トータルコストが高くなってしまいます。そして三つ目のテーマが情報共有の容易さでした。KPIに合わせた計数管理全般のシステムの再構築にあたって、経理財務部門が中心となって、経営層や現場の営業担当などと、迅速に情報を共有できるシステム構築が求められたのです」と納谷氏は旧システムの課題を解決するための取り組みについて振り返ります。

同部では、旧システムの運用を開始した一年後あたりから、業績管理システムの標準化を目指した勉強会を立ち上げました。それは、本社だけではなく各エリアから代表者に参加をもとめ、どのようなデータをどのような形式で分析して表にすれば、経営層や現場のスタッフが理解して、経営判断や意思決定を支援する情報になるのかを検討する集まりでした。

「勉強会をスタートさせてからしばらくして、物流部門からIBM Cognos TM1の話を聞きました。そのときには、すでに物流部門で導入していて成果を出していたのです。IBM CognosTM1は、費用対効果が判断しやすく、システム改修におけるコストの課題もクリアできると考えたのです。また画面設計がExcel仕様になっていて、これならば情報システム部門に負担をかけずに、我々の部門で開発を推進できると判断しました。そして高速64-bitインメモリー・エンジンにより、レスポンスを高められる点にも着目しました」と酒井氏は導入の理由について説明します。

具体的な選定にあたっては、情報システム部と経理財務部がCognos TM1ハンズオンセミナーに参加するなどして、自らが操作や開発に携われるかを確かめました。また情報システム部門でも、基幹系システムや外部ファイルとのデータ連携が容易であると評価し、システムを構築してしまえば、運用管理や分析表の作成などを経理財務部で完結できる点などが、導入の決め手になりました。「我々が感動したのは、Cognos TM1がデータを取り込みながら、軸とDBであるキューブを同時に作成できる機能でした。これならば、とにかくやってみて、ダメならば削除して作り直せばいいので、我々の部門で開発できる容易性があると思いました。そしてスクラップ&ビルドという高い開発生産性と保守性の両立にも期待しました」と酒井氏は補足します。

Benefits

迅速性と効率性に保守性や付加価値など、すべての面で高い成果を発揮

IBM Cognos TM1の導入は、2011年の末ごろからスタートし、約7カ月の構築と並行運用の期間を経て、2012年6月に正式にサービスインされました。

移行にあたっては、旧システムで処理していたデータが正しく処理されるか検証し、分析対象となるデータや出力などの整理と共通化に向けた取り組みなどを推進してきました。また業績管理のために利用する表を機能別に7種類に標準化し、業績管理に関係するデータはすべて各基幹システムから日次で取り込むようにしました。そして各ユーザーは、ウェブブラウザーによる入力と表示が可能になり、スピーディーな情報共有を実現しました。正式なサービスイン後は、大きな混乱やトラブルもなく順調に稼動しています。

その導入の成果を納谷氏は、以下のように評価しています。

入力データの即時反映や、集配信や集計作業の自動化、内部取引の消去の自動化によって、全社アナウンスまでの時間を2~3日短縮できました。そして、新たな付加価値としては、販売員別や主要得意先、主要支払先管理、内容分析表が実装できたので、管理資料の標準化を実現しました。その他にも、レスポンスに優れたウェブブラウザーによる閲覧によって、情報の共有性が向上しました。迅速性、効率性、付加価値といった成果に加えて、処理性能や保守性にコスト面でも大きな成果が得られたのではと酒井氏は分析します。

「レスポンスに関しては、100人同時アクセス時に明細参照が10秒以内という結果になりました。以前に比べると劇的に改善されました。また、経理財務部でシステム保守や運用を実現できたので、保守性も向上しています」。

 

将来の展望

シミュレーションの活用も含めてさらなる数字の見える化や共有に取り組んでいく

「今後は、事業損益表を単に数字を網羅した情報としてだけではなく、KPIの見える化につながる取り組みを推進していきます。そのために、閲覧できるユーザー数を増やして、事業損益を含めたKPIをダッシュボードでオープン化する計画です。また、BAツールの特性を生かしたKPIメニューの拡大も予定しています。具体的には、生産性指標管理や業務品質管理などの設計を検討しています。そして、経理財務以外の業務にも、Cognos TM1の適用範囲を拡大していく考えです。そのためには、社内に広くCognos TM1の存在や可能性を広報していく必要があります」と納谷氏は今後に向けた取り組みについて触れます。

IBM Cognos TM1は、現場にある多種多様なニーズをユーザー視点で、分析情報として取り入れ、そこから効率よく迅速に新たな付加価値情報を生み出すツールとして、同社の経理財務部において、有用性の高いBA製品だと判断されました。 「今回のCognos TM1導入という取り組みにおいて、我々の上長は『チャレンジ』という言葉で後押ししてくれました。一連の計画から導入そして運用という経験を経て実感したのは、ユーザー部門主導での構築が可能だということでした。ただ現時点では、日々の数字を集計し現場の求める結果を配信する利用が中心で、プランニング・モデルの構築や展開などは実践していません。しかし、将来的には予算策定などを戦略的な視点で計画立案していくために、シミュレーション機能を活用していきたいと考えています」と酒井氏は抱負を述べました。

 

お客様情報

国分は1712年(正徳2年)の創業以来、300年にわたり食の流通に携わってきました。 現在は、酒類・食品・関連消費財にわたる卸売業及びそれらに関する資材の販売業、貿易業、パン粉の製造業、貸室業を主力事業として、社是の「信用」を大切に、 企業として新たな革新に挑んでいます。

 

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  • IBM Hybrid Cloud
    • Cognos TM1