Business Challenge story

システムの全面刷新を決意させたのは、失敗プロジェクトが招いた数々のトラブル

13年にわたりオフコンによる基幹業務システムを運用してきた同社は、2004年の上場を控え、システム基盤の全面刷新を決断。パッケージ・ソフトウェアの選定を先行させた結果、市場のオープン化の流れもあり、Windowsプラットフォームへの移行が決まりました。しかし、同社企画室企画グループ課長の森田悌史氏が「世間で言う失敗プロジェクトだった」と振り返るとおり、度重なる不具合や想定外のカスタマイズによりプロジェクトは遅延。さらに見切り発車に近い本稼働が追い打ちをかけ、その後も多くの問題を抱え込むことになりました。

「とにかく頻発する障害に悩まされました。しかも、オープン化したことによるマルチ・ベンダー環境では、パッケージ・ソフトウェア、データベース、OS間で問題の切り分けが困難な場合が多く、原因が究明できないまま再起動をかけ、業務の継続に支障をきたしたことも度々ありました。トラブル対応に明け暮れる毎日では、当然モチベーションも上がりません。一方で、セキュリティー面での脆弱性も常に不安視していました」と森田氏。さらに、伝票入力画面の呼び出しに3分、入力作業の完了までに10分かかるなど、データ量の増加に伴いパフォーマンスの低下が顕著となり、ユーザーのストレスも相当なものであったと言えます。また、期待されたコスト・メリットについても森田氏は、「Windowsサーバー単体で見ればハードウェア・コストは安い。ただ、障害対策までを見据えた構築となるとサーバー台数も導入ソフトウェアも増えていき、結局は高額になります。加えて、度重なる障害への対応や原因の究明などにより、運用コストは膨らむ一方です。これは、長きにわたりオフコン・ユーザーであった当社には想定し得なかった部分です」と指摘します。

不満が募る中で改善への足がかりとなったのは、2006年9月に発足した内部統制プロジェクトです。内部統制の評価プロセスを自動化し、IT全般統制を担保する仕組みの構築が急務となり、現状システムでは満足に対応できないことが明らかになりました。そこで、不可能を可能にするための追加開発ではなく、全面刷新による長期的なメリットを優先した同社は、2007年3月、次期システムの検討プロジェクトをスタートさせたのです。

Transformation

IBM Power Systemsが誇る安定性、信頼性に、コストを補って余りあるメリットを確信

同じ失敗を二度と繰り返すまいと、導入製品やベンダーの見極めには約半年間をかけ、慎重に検討が進められました。ハードウェアおよびソフトウェアに求められた要件は、いずれも“使えるシステム”です。これはシステム品質の根底に関わる重要なテーマであり、ユーザーにとってもIT管理者にとっても、あらゆる局面で手間のかからないシステムであることを意味します。

まず、内部統制への対応を重視した結果、パッケージ・ソフトウェアにはSAP ERPの採用が決定。この時点でWindows、UNIX、IBM iと、プラットフォームの選択肢が広がったのは好都合でした。複数ベンダーから提案を受けていた同社は、とりわけIBM iを搭載したIBM Power Systemsに高い可能性を感じていたからです。

「運用面での安定性、信頼性の高さで群を抜いているという印象で、かつ、ハードウェアとOS、データベースが1つのベンダーで提供される安心感があり、少なくとも私の中では何の迷いもありませんでした。あとはコスト面での折り合いさえつけば、会社として異論はないわけです。そこで、10年先までを見据えた長期的な視点でのコスト比較を行い、初期投資を加味してもプラス・アルファのメリットが見込まれたため、導入が決まりました」(森田氏)。

今回移行対象となったのは、アプリケーション・サーバー3台、データベース・サーバー2台、ワークフローおよびBIツール用サーバー2台の計7台です。同社はこれらの既存サーバーを1台のIBM Power Systemsに集約。さらにLPAR(ロジカル・パーティショニング:論理分割)機能を利用して、内部をSAPの3システム・ランドスケープ(開発機、検証機、本番機)およびSAP Solution Managerの4つの仮想的な領域に分割しました。

Benefits

常態化した障害対応との決別を可能にし、SAP ERPの安定稼働を支える実力に納得

「SAP BASISの導入支援を中心としたIBMのインフラ導入プロジェクト・チームには、豊富な実績に基づくスムーズなプロジェクト・マネージメントのおかげで、ずいぶん助けられました。また、運用にあたってのスキル・トランスファーもきちんと実施していただきました」と森田氏。1年にわたるプロジェクトは遅延もなく順調に進み、2008年9月から稼働を開始。運用面で課題の多かった同社にとって、管理対象となるサーバー台数の削減は大きな前進です。同時に、障害発生時の対応が一元化され、複数ベンダー間での問題の切り分けに悩まされることもありません。そもそも、常態化した障害対応と決別するためのシステム刷新でもあり、SAP ERPの安定稼働を支えるプラットフォームとしての実力が試されます。

この点について森田氏は、「当社の設定ミスなどを除けば、開発、検証期間も含め、これまで特に不具合は発生していません。1回だけハードディスクを交換しましたが、RAIDを組んでいるためシステム停止に陥ることもありませんでした。営業担当者の“IBM Power Systemsは止まらない、運用負荷が非常に低い”という言葉が真実だったことを、今改めて実感しています。おかげで、全システムの運用を従来の5人から実質3人で回せるようになり、私自身もようやく本来の企画業務に専念できるようになりました。もちろん、パフォーマンスは飛躍的に改善されましたし、セキュリティー面での安心感も非常に大きいですね」と高く評価します。

 

将来の展望

揺るぎない基盤を味方につけ、新しい未来へのチャレンジをさらに加速

最小限のコストでベストな運用体制を確立したいという願いが叶い、真に“使えるシステム”を手にした同社。IBMとSAPの持つグローバルな実績に裏付けられた抜群の信頼性は、この先もトップメーカーとして走り続けるための重要なファクターです。

森田氏は、「スペックに余裕を持たせたため、長期的にリソース不足を心配する必要はなさそうです。SAP ERP に対するアプリケーションの追加などは発生するでしょうが、当面は余剰リソースを別の用途で使うといった計画もありません。逆に、この点でのご提案は歓迎です。ただ、周辺の業務システムにはASPサービスを利用するなど、これを機に、なるべくサーバー台数を増やさない方針で行こうと決めています。また、企画業務の強化は当社が以前から認識していた課題であり、運用負荷が軽減された分、余った時間を自社の発展のために全部投入していきたいですね」と意気込みを覗かせます。

今後のビジネス展開においては、次世代エネルギーとして期待される燃料電池の材料開発も注目されます。今もなお息づく「誰も手をつけていないからこそやる」という精神は、揺るぎない基盤を味方に付け、同社のチャレンジをさらに加速させようとしています。

 

お客様情報

1956年創業。ジルコニウム化合物をはじめ、セシウム、希土類化合物の研究開発、製造を手がける材料メーカー。顧客の要望に応じたカスタマイズを得意とし、多品種少量生産にも対応しています。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

Solution Category

  • Systems Hardware