Business Challenge story

研究や治験結果、論文などの信頼性を担保するために高度なソフトウェアが必要

手稲渓仁会病院は、1987年12月の開院以来地域の医療需要を受け、各診療科の中に専門外来を設けるなど、内容の充実と専門医療の向上に努めてきました。2005年3月に救命救急センターの指定を受け、翌月にはドクターヘリの正式運航を開始、また2009年には地域がん診療連携拠点病院の指定、2012年10月には地域医療支援病院の承認を受けるなど、道央圏における救急・専門医療体制システムに大きく貢献しています。

手稲渓仁会クリニックは2000年5月に開院し、手稲渓仁会医療センターの外来部門としての役割を果たしています。さらに「かりんぱ」の愛称で親しまれている手稲家庭医療クリニックが2009年10月に開院し、この3つの医療機関から手稲渓仁会医療センターは構成されています。

手稲渓仁会医療センターが所属する渓仁会グループでは、CSR(Corporate Social Responsibility)の取り組みに力を入れています。渓仁会グループのCSR 活動について、手稲渓仁会病院 リハビリテーション部 部長 青山 誠氏は以下のように説明します。

「渓仁会グループでは『ずーっと。』をスローガンに掲げています。『地域の皆さまとの生涯にわたる関わり』『切れ目のない医療・保健・福祉サービスの提供』『より広い地域をつなぎ合わせる医療・保健・福祉のネットワーク』『いつまでも存続し続ける義務』といった使命を果たし、地域住民に安心と満足を届けることを『ずーっと。』という言葉に託しています。このスローガンとともに地域社会に貢献する活動を続けていますが、その内容をCSRレポートとして毎年発表しています。渓仁会グループはCSRを経営の中核に据え、ISOの自主的な内部監査、バランスト・スコアカードによる経営マネジメントなどを実践しています」。

先端の設備をそろえる手稲渓仁会医療センターでは、ITの導入にも早い時期から着手してきました。医療法人渓仁会 法人本部 情報システム部 システム管理課 課長補佐 村岡 義克氏は、その過程について説明します。

「手稲渓仁会医療センターでは2000年に電子カルテ・システムを導入し、それに伴いフィルムレス・システムなどのIT化を進めてきました。2014年に電子カルテ・システムのリプレースおよびフィルムレス・システムの更新などを予定していますので、現在その取り組みを進めています。またこれまで閉ざされた環境で活用していたインフラの見直しを進め、開かれた環境でのシステム活用を実現できる環境整備も進めています。さらに事業継続に関する取り組みにも着手し、外部データセンターを活用した災害対策などについて検討しています」。

このようにIT環境の整備を進める中で、手稲渓仁会医療センターでは研究や治験、論文作成などに必要となるデータ集計についてのニーズが高まっていました。

「治験結果を製薬企業に受け渡すデータをまとめたり、臨床結果を論文にまとめて学会発表したりという場合、集計データの信頼性を確保するためにはしっかりとした統計ソフトウェアを使うことが求められるようになっています。例えば単純に有意差を出したとしても、それに対する効果量や信頼区間を統計ソフトウェアで算出し、セットで提示していなければその発表内容の信頼度は極端に低下してしまいます。医学の世界ではこのような認識が定着しているのです」(青山氏)。

手稲渓仁会医療センターでは、それまで病院として統計ソフトウェアを整備していなかったことから、それぞれの医療スタッフがフリーウェアや比較的低価格のものを導入し、それらを組み合わせて活用していました。しかし、求められる機能によってソフトウェアを使い分けていたため、多くの手間を必要とするばかりか、ソフトウェアによってデータの処理過程を異なることから、信頼性の高い結果を得ることが困難でした。

Transformation

医学界でスタンダード・ツールとして高い信頼性を獲得しているIBM SPSSメディカル・モデルを導入

こうしたニーズに応えるため、手稲渓仁会医療センターでは統計ソフトウェアの導入を決定。製品としてはSPSS が選定されました。

「導入製品としては最初からSPSSしか考えていませんでした。SPSSであれば必要な機能が網羅されているので、信頼性の高い統計データの分析を行うことが可能です。特に共分散構造分析が必須だったことからIBM SPSS Amosなどのオプション製品とメディカル・モデルのパッケージを組み合わせて採用することにしました」(青山氏)。

SPSSメディカル・モデルは基本ツールであるIBM SPSS Statistics Base、回帰分析を行うためのIBM SPSS Regression、一般線型モデルや順序回帰、生命表分析、Cox回帰などを実現するIBM SPSS Advanced Statistics から構成されたパッケージで、手稲渓仁会医療センターではこれに加えて共分散構造分析ソフトウェアのIBM SPSS Amos、少数のサンプルに対応するIBM SPSS Exact Tests、カスタム・テーブル作成ツールのIBM SPSS Custom Tablesを導入しました。

「SPSSは医学界でスタンダードのツールとして認識されています。例えば論文に統計結果を掲載する場合、SPSSを使用している旨さえ記せばそれだけで信頼されるので、統計をどのように処理したのかという内容については説明が不要になります。SPSSはそれだけ高い信頼性が認識されているツールですので、迷うことなく導入を決定しました」(青山氏)。

 

導入されたIBM SPSS製品

IBM SPSS Statistics Base

分析プロセスの開始から終了までに必要な中核機能を提供。

IBM SPSS Regression

カテゴリー型の結果を予測し、さまざまな非線形回帰プロシージャーのデータへの適用を実現。

IBM SPSS Advanced Statistics

1 変量および多変量のモデリング手法を提供して、ユーザーが複雑な関係を表すデータを処理するときに最も精度の高い結論の獲得を実現。

IBM SPSS Amos

モデルを指定、推定、評価、表示し、変数間の関係性を仮説に基づいて示すことを可能にする共分散構造分析ソフトウェア。

IBM SPSS Exact Tests

少数のサンプルを使用しながらも、信頼できる結果の獲得を実現。

IBM SPSS Custom Tables

IBM SPSS Statistics のデータから対象者に合わせたカスタム・テーブルを短時間で作成。

 

SPSSは2012 年にリハビリテーション部で先行導入され、翌年4月に病院全体として導入されました。

「さまざまな部署からSPSSに対するニーズが寄せられていましたが、当初は実際にどこまで使われるものか判断できなかったので、まずはリハビリテーション部で先行導入しました。そこでさまざまな発表論文に活用された実績とともに院内からのニーズも高まってきたことから、全体導入に踏み切りました」(村岡氏)。

Benefits

多数の論文発表に積極的にSPSSを活用

導入後、SPSSは積極的に活用され、リハビリテーション部では、導入から1 年強の期間ですでに20 本以上の論文作成に使われています。このように信頼性の高い情報を発信することは、病院全体の信頼性を高めることにもつながっています。

青山氏はSPSSについて以下のように評価します。

「SPSSの特長は、データを入れて処理を選択するだけで簡単に統計結果が得られることにあります。後は出てきた結果の意味を理解できれば統計は完結します。もしSPSSを使っていなければ、相関係数に加えて有意水準がどうなっているのかといった場合、別途計算しなければならないのですが、SPSSは必要な処理がそろっているので簡単な操作でさまざまな統計手法に対応することが可能です。つまり統計に詳しくないスタッフであっても、データと統計手法の選択および簡単な操作方法を覚え、後は結果の意味を理解する力さえ身に付ければ、複雑な統計処理の過程を理解することなく使いこなすことができるようになるのです」。 こうしたSPSSの長所により、リハビリテーション部以外でも積極的に活用され、2013年秋の学会シーズンにはSPSSを活用した多数の論文が発表される見込みです。

「手稲渓仁会医療センターでは医療の質を高めることをミッションとしています。論文の発表は、個人の取り組みと思われるケースもありますが、病院全体に貢献する活動でもありますので、SPSSの活用は病院全体の医療の質を向上することにもつながると期待しています」(村岡氏)。

手稲渓仁会医療センターでは外部から講師を招いて定期的に統計の講義を開催していますが、その際もSPSS が導入されることでより充実した講義を実現することが可能になります。SPSSの導入により、臨床研修指定病院として学習環境を整備するというメリットも見込まれています。

さらに地域医療連携にもSPSS が活用されていると青山氏は語ります。

「地域医療支援病院に指定されている手稲渓仁会医療センターでは、地域連携パスを通じて地域の医療機関と医療情報を共有しています。千を超える地域連携パスのデータは集計された上で関連医療機関に対して公表しているのですが、この膨大な量に上る情報の分析にもSPSSは役立っています」(青山氏)。

 

将来の展望

今後は教育に力を入れ、スペシャリストを養成

手稲渓仁会医療センターでは、SPSS 導入後の2013 年6月に2 回トレーニングを開催しましたが、今後もさらに統計に関するトレーニング、人材育成に力を入れていくことを計画しています。

「これまで開催したトレーニングは初心者を対象としたもので、ツールの使い方について行ってきました。このようにツールの使い方は非常に簡単なのですぐに覚えることができるのですが、求める結果を得るためにどのデータをどのような手法で統計を取ればよいのかを理解していただくことは非常に困難な作業です。現在統計に詳しいスタッフは限られているので、そうしたスペシャリストを育成していく取り組みに注力していきたいと思っています。その一環として、リハビリテーション部では2013 年12月に基礎編として有意差と相関に関しての講義を、翌年2月には多変量解析に関する講義を開催する予定です」(青山氏)。

「病院全体としても教育の取り組みは進める予定ですが、情報システム部には統計に詳しいメンバーがいないので、外部から講師を招くという形で定例化することを検討していきたいと思っています」(村岡氏)。

また統計情報に限らず、さまざまな情報をいかに活用するかということが今後の課題となっています。

「これまでさまざまなデータを蓄積していますが、それらをいかに活用していくのかということを検討していきたいと考えています。活用方法としては研究に寄与するものや患者様にフィードバックするものも必要でしょう。インターネットを活用した情報発信も含め、有効な情報の活用を実践していきたいと思います」(村岡氏)。

「さまざまな情報を発信していくことは病院として大切な姿勢だと思っています。そのためにも情報のさらなる有効活用を実践し、地域の皆さまと信頼関係を構築しながら地域医療に貢献していきたいと考えています」(青山氏)。

手稲渓仁会医療センターは、最先端の技術を活用しながら地域で信頼される医療機関として使命を果たしていくでしょう。

 

お客様の声

“例えば論文に統計結果を掲載する場合、SPSSを使用している旨さえ記せばそれだけで信頼されるので、統計をどのように処理したのかという内容については説明が不要になります”

手稲渓仁会病院 リハビリテーション部 部長

青山 誠 氏

 

“リハビリテーション部で先行導入した結果さまざまな発表論文に活用されました。その実績とともに院内からのニーズも高まってきたことから、病院全体でのSPSS導入に踏み切りました”

医療法人渓仁会 法人本部 情報システム部 システム管理課 課長補佐

村岡 義克 氏

 

お客様情報

手稲渓仁会病院と手稲渓仁会クリニックおよび手稲家庭医療クリニックから構成される手稲渓仁会医療センターは、救命救急センターの指定、ドクターヘリ基地病院、地域医療支援病院の承認、地域がん診療連携拠点病院の指定など、最先端医療設備や体制を整備し、道央圏における救急・専門医療体制システムに大きく貢献しています。

 

パートナー情報

OA 機器、通信機器および関連機材、消耗品などの販売と実務改善を含めたコンサルティングからシステム設計、アフ ター・サービスまでのオフィスのトータル・ソリューションを提供するリコージャパン株式会社の北海道地区の事業を担当。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

 

製品・サービス・技術 情報

当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。

ソフトウェア

IBM SPSS Advanced Statistics, IBM SPSS Amos, IBM SPSS Regression, IBM SPSS Statistics Base

ソリューション

SPSS Statistics, HC: Analytics and Reporting

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud
    • HC: Analytics and Reporting
    • SPSS Statistics