Business Challenge story

大量のトランザクションの集中で待ち時間の増大が課題に

キヤノンマーケティングジャパンの情報システムでは、すべての基幹システムからデータを一元的に集約した後、それらをデータウェアハウスとして活用できる仕組みを作っています。「IT本部では集約したデータを用途ごとに切り出したデータマートを準備し、システム利用者は自由にクエリーを定義・実行できるツールを用いてデータマートから自分の必要なデータを取り出すことが出来ます。こうして取り出されたデータは、各種の管理業務に加え、日々のオペレーションやマーケティングに活用され、当社の事業活動において、なくてはならない重要なシステム基盤となっています」(菩提寺氏)。

業務におけるシステムの重要性に鑑み、IT本部では、2011年3月の東日本大震災を受けて、事業の継続性を保つための災害対策サイトを沖縄に構築し、システムの二重化を実施しています。システムの更改は定期的に行っており、これまでもバージョンアップや、サーバー、ストレージの増強など、システムの基盤強化に取り組んできました。しかし、年々増え続けるデータとトランザクションにより、これまではレスポンス悪化とシステム増強を何度となく繰り返すという状況が続いていました。

「月末にさまざまなデータの締め処理を行い、それらを元に各種レポートを利用部門で作成するため、特に月初めには処理が集中します。トランザクションの集中で処理が重くなり、処理によっては待ち時間が長くなって業務に支障を来すようなケースも出てきていました」(菩提寺氏)。

抽出するデータの加工にはSQLのクエリーが使われており、複雑な命令になるほど、処理には時間がかかります。そのため、複雑な処理を要するものの中には、処理に数十分から数時間かかるようなケースもありました。

「処理待ちを、業務の工夫で補う状況が常態化していました。出社したらまずデータ処理のクエリーを実行しておき、待ち時間に他の業務を行うといった工夫です。しかしこのような状況をそのままにしておくことはできません」(菩提寺氏)。月初めは処理に長時間かかるものという共通認識がユーザーの中にあったため、ピークを避けて早朝に処理をする。また時間のかかる処理を先に行っておいて待ち時間の間に別の業務を行うなど、運用でカバーする状態が続いていましたが、ユーザーの利便性だけでなく生産性を考慮しても、このままの状態での運用を続けるわけにはいかないというのが、IT本部の認識でした。

データ量とそのレスポンスについて、「月初めのピークに加えて、ほとんどのデータマートは1年分のデータを累積するため、年末に近づくにつれてシステム負荷が段々と高まります。特に年末近くの10~12月はレスポンス悪化が深刻な状況でした。これまでも定期的なシステム更改に合わせて、レスポンス向上への対応は行ってきました。前回のシステム更改では処理性能を2倍に向上する対策を行いましたが、データやトランザクション量の増加が予想をはるかに超えた結果、導入から2年程度でピーク時のレスポンスがまた悪化し始めていました」(菩提寺氏)。

    Transformation

    オンラインでの処理速度10倍を目指し、オールフラッシュ・ストレージを導入

    抜本的な対策が必要と考え、キヤノンマーケティングジャパンでは、システム性能の向上を目標に、新たなシステムの検討を始めました。br / 一日の平均トランザクションは約15,000件、月初めのピーク時には約50,000件を超えるトランザクションを処理するには、多くのデータが蓄積されているストレージへのアクセススピードを向上させることが重要なため、まず初めにストレージのフラッシュ化を検討しました。従来のストレージと比較して、フラッシュは読み書きの速度が飛躍的に速いデバイスです。大容量のオールフラッシュ・ストレージを利用することで、データベースからのデータの読み取り速度を上げ、システム全体のパフォーマンスを向上することができるのです。

    「ピーク時の待ち時間のほとんどはI/O待ちであることは明確だったため、システム全体の処理能力向上には、I/O性能向上は不可欠と考えました」(菩提寺氏)。

    そこで選ばれたのがIBM FlashSystemです。SSDを搭載したストレージではなく、独自設計により高速性を追求したオールフラッシュ・ストレージの選択理由について、菩提寺氏は次のように語ります。「特に応答時間を重視しました。これまでのシステムでは、月初めのピーク時のレスポンスは平均60秒でしたが、その10倍以上の性能を目標にして、機器の選定を進めました」。

    キヤノンマーケティングジャパン IT本部 ITインフラ部 コンピュータインフラ第二課宮崎潤氏は、事前の性能評価での結果もFlashSystemを選択の決め手になったと、言います。「実際に社内で使用しているデータを持ち込んでテストしてもらいました。ピーク時と同程度の負荷をかけた状態で、最も処理の重い15種類のSQLを走らせて評価したところ、処理速度で約16倍高速という結果が出たので、これなら大丈夫だと思いました」。

    またキヤノンマーケティングジャパンでは、2007年からストレージ仮想化の実績が豊富なIBM SANボリューム・コントローラー(以下、SVC)を使ったSoftware Defined Storageへの取り組みを進めていました。すでにSVCで仮想化されているため、そのストレージ・プールにFlashSystemを配置することで、現行の運用に大きな変更なく実装できることも大きな決め手になりました。

    「もともとSVCで仮想化されていたストレージ環境に、今回FlashSystemを追加しました。それぞれ役割は完全に分かれており相互に補完する関係のため、組み合わせとしてはベストに感じました。また無駄な二重投資も避けられ、これによるコスト削減も見逃せないメリットです。FlashSystemはSVCとの相性があらゆる面で優れ、いい選択だったと思います」(菩提寺氏)。

    リプレースにおいては日常的に業務で使用するデータを移行するため、長期間システムを停止できません。移行するデータ40TBは2回に分けて、事前移行に1カ月、本移行に2日間をかけて、最終的にSVC配下にFlash Systemを配置したシステムをメインサイトと災害対策サイトそれぞれに構築しました。

      Benefits

      一日あたり554時間の待ち時間を削減し、設置スペース削減や省電力の効果も

      FlashSystemの導入により、処理待ちの時間が大幅に短縮されたと宮崎氏は語ります。

      「導入前のテストどおりの効果が出ていると実感しています。ユーザー・アンケートを実施したところ、従来1分程度の待ち時間だったものであれば、十数秒で処理できるようになったとの回答がありました。また、営業で使用する帳票データでは、処理が複雑で特に時間がかかるものがあります。中にはデータ処理から出力まで午前中いっぱいかかっていたものもありましたが、今では30分程度で出力できるようになったとの声もありました」。

      処理の待ち時間短縮による効果について、キヤノンマーケティングジャパンで全社の利用実績からその効果を確認したところ、大幅な待ち時間削減が確認されています。

      「システム利用時における全利用者の待ち時間を評価したところ、以前のシステムでは合計で668時間の待ち時間が生じていました。それがシステム刷新後は114時間になりました。1日あたり554時間削減した計算となり、全社の大幅な業務効率化につながっています」(菩提寺氏)。

      FlashSystemの導入には、データセンターの設置スペース削減という効果もありました。従来のストレージと比較して非常に小さなスペースで済む上、発熱量も小さいので通常のラックに設置できるのは、空調を考慮しなくてはならないデータセンターでは、大きなメリットだと菩提寺氏は語ります。

      「設置スペースはストレージ全体で76%の削減を実現できています。なるべく省スペースなものを採用したいというのは、ユーザーとしては当然のことだと思います。発熱に関しても気にしなくていいのは大きなメリットです」。

       

      将来の展望

      ETLツールの導入やクラウド環境を意識しながら、さらなる生産性の向上を目指す

      キヤノンマーケティングジャパンでは、より大量のデータ分析やシステムの効率化などを視野に入れながら、システムの拡張や機能の追加を検討しています。システム基盤については、今後、クラウドが主流となってくることを見越して、その環境に適したものを選択していきたいと考えています。

      また情報系のシステムについては、データ連携について、より生産性が向上するよう、ツールの選定などもより力を入れていきたいと菩提寺氏は話します。

      「情報系システムでは、データ連携の部分をかなり作り込んで運用していますが、開発や保守の工数がかかっているので、ETLツールなどを使ってさらに生産性を上げたいと考えています」。

      キヤノンマーケティングジャパンでは、外部のシステムとのデータ連携や、部門システムとの連携なども含めて、データをより活用できるシステムの構築を目指しています。今後、デジタル・マーケティングの対応が進むにつれ、急激なデータ増加が予想されます。データ量や処理能力に合わせて使用する機器を検討し、さらにより使いやすいシステムを目指しています。

       

      お客様の声

      キヤノンマーケティングジャパン株式会社 IT本部 ITインフラ部 コンピュータインフラ第二課 菩提寺 淳一氏

      「システム利用時における全利用者の待ち時間を評価したところ、以前のシステムでは合計で668時間の待ち時間が生じていました。それがシステ ム刷新後は114時間になりました。全社では1日に554時間の削減で、全社の大幅な業務効率化につながっています」

       

      キヤノンマーケティングジャパン株式会社 IT本部 ITインフラ部 コンピュータインフラ第二課 宮崎 潤氏

      「実際に社内で使用しているデータを持ち込んでテストしてもらいました。繁忙期と同じ負荷をかけた状態で、最も処理の重い15種類のSQLを走らせて評価したところ、処理速度で16倍高速という結果が出たので、これなら大丈夫だと思いました」

       

      お客様情報

      キヤノンマーケティングジャパン株式会社は、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなど、世界の各地域にある販売会社の1つとして、日本国内向けにキヤノンブランド製品の販売やサポートを行うほか、ITやビジネスに貢献するさまざまなソリューションも数多く提供しています。

       

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