ネットワークの変革は本質的に困難であり、世界中に支店やその他の施設を構える大規模なグローバル企業にとってはなおさらです。主な理由の1つは、ネットワークの多様性が増大していることです。
変革の一環として、グローバル企業は最新のWi-Fi、ソフトウェア定義型ワイド・エリア・ネットワーク(SD-WAN)、ソフトウェア定義型ネットワーク(SDN)、マルチクラウド、5Gテクノロジーを採用しています。そのため、より複雑な異種ネットワーク・インフラストラクチャーになって、監視がはるかに困難になり、ひいては問題の特定と解決に時間がかかります。したがって、これらのグローバル組織が変革を支援するためにマネージド・サービス・プロバイダー(MSP)の支援を求める場合、MSPがネットワーク・パフォーマンスの監視の基準を引き上げる措置を講じているかを知る必要があります。それはグローバル組織がより敏捷になって、ビジネスのニーズに適応できるようになるために不可欠なものにほかなりません。
2018年に遡ると、世界有数MSPの一社であるBT Businessは、現行ネットワークと次世代ネットワーク双方のサポートに必要なネットワーク・パフォーマンス監視機能を変革する独自の取り組みに着手しました。
同社のプロダクト・グループの変革リーダーであるHareesh Agaram氏はこの取り組みの中心人物であり、それはゆるぎない社内評価から始まったと彼は言います。「当社の経営陣は、当社のパフォーマンス監視の課題を徹底的に検討し、2 年後に目指すべき方向性を示したホワイト・ペーパーを作成しました。その結論は組織内で非常に共感を呼び、そのときから私たちは将来に適したツールを探し始めました」
現在、数百の顧客にわたる550万のネットワーク・オブジェクトを監視しています
監視システムの数を80%集約することで、統合が簡素化され、ソフトウェア・ライセンス・コストが大幅に削減されます
BT Businessのビジョンの重要なテーマの1つは、世界中の顧客により良いエクスペリエンスを提供する必要性でした。Hareesh氏が説明するように、彼のチームが対処する必要があった最も根本的な問題は、ネットワーク全体で何が起こっているかをリアルタイムで一元的にに把握できないことでした。「当社の世界中の顧客の大半が1つのドメインだけではなく、LAN、WAN、Wi-Fi、SD-WANを管理しています」と同氏は言います。当社は、ネットワークがどのように機能しているかを確認するためにさまざまなツールやポータルにログオンするといった「回転椅子式管理」を行うことを顧客に望んでいません。私たちは、すべてのドメインの一元的なビューを提供したいと考えており、これを「単一画面」と呼んでいます」
次に、説明責任があります。グローバル・ネットワークのパフォーマンスの動的な最適化をMSPに期待している顧客にとって、リアルタイムの可視性とレポートはハード・データでそれを実証する手段になります。Hareesh氏は、キャパシティー・プランニングの問題が特に適切だと考えています。「たとえば、[リアルタイムの可視性]により、主要な回線の使用率が健全なレベル、たとえば85%で実行されていることを顧客に保証できます」と彼は言います。「また、当社のキャパシティー・プランニング・チームはリアルタイムの可視性によって、トラフィック分析を基にその顧客のキャパシティーを拡大するための根拠を示すことができます。いずれの場合でも、顧客のネットワークを適切かつ先見的に管理していることを実証するのに役立ち、それは満足度にとって大きなプラスとなります」
BT Businessは、ソリューションを模索するにあたり、16社のベンダーの製品を検討し、そのうち5社をRFP段階で選定しました。詳細な評価プロセスの一環として、運用、製品、テクノロジー分野の3つの異なるチームが競合ソリューションの集中的なデモンストレーションを実施し、関連する基準に基づいてスコアを付けました。最終的にBT Businessは、将来のプラットフォームとしてIBM® SevOne® Network Performance Management(NPM)を選びました。
選定プロセスを振り返って、Hareesh氏は、SevOne NPMソリューションが、大規模展開のスピードなどの要素とともに、上述の主要な機能と性能で高いスコアを獲得したことを指摘しています。しかし、彼のチームは、IBMとSevOne NPMソリューションの両方を際立たせる、定義が難しい品質にも心を動かされたと、彼はすぐに指摘します。「IBMは、クラウドやSD-WANなどの新しいテクノロジーのロードマップがあることを実証できました。そして、それは当社のテクノロジー・ビジョンとかなり一致していました」とHareesh氏は言います。
SevOne NPM Professional Servicesと連携して、BT Businessは初めて、最大手の顧客2社に対してSevOne NPMをデプロイしました。その後1年半以内に、同社はさらに800社以上の顧客を移行しました。現在、BT BusinessはSevOne NPMを使用して20万台を超えるデバイスを監視しています。そして、今日の物事の仕組みを詳しく見てみると、同社がこの工程の初めに定めたビジョンの達成に向けてどれだけ進んでいるのかがわかります。
まずはスピードから見ていきましょう。「大規模なスピード」を実現する分散型アーキテクチャーを通じてネットワーク・パフォーマンスの一元的なリアルタイム・レポートを提供する機能は、SevOne NPMの中核となる価値となっています。つまり、このソリューションによって監視されるデバイスやデータセンターが増えても、日常的な使用率レポートの作成、あるいは問題の特定と対処においても、速度は高いまま維持されます。導入の規模がどれほど大きくても、監視ソリューション内のボトルネックは減少します。
レポート作成に時間がかかり、手間がかかることに慣れてしまっていた顧客にとって、SevOne NPMによるリアルタイムのポータルベースのレポートはまさに革新的なものであるとHareesh氏は断言します。「お客様からは『これはすごい』と言われます。このレポートのおかげで、お客様のネットワークに対する見方が再定義され、BT Businessの顧客であることの価値が高まっていることがわかります」
SevOne NPMの分散処理アーキテクチャーにより、BT Businessは問題をはるかに速く検知して顧客に警告できるだけでなく、はるかにインテリジェントで自動化された方法で検知と警告を行うことができます。Sevone NPMは、従来のアプローチであるユーザー定義の閾値に頼るのではなく、機械学習計算を使用して顧客のすべてのデバイスの基準値を決定し、大幅な逸脱が検出されたときに自動的にアラートを出します。しかもそれを大規模に行っています。BT Businessは、何百もの顧客ネットワークにわたって、SevOne NPMを使用して550万を超えるオブジェクト、つまりパフォーマンス・パラメーターをリアルタイムで監視しています。
Hareesh氏にとって、この監視アプローチの大きなメリットは、顧客の業務に影響が出る前に問題に対処できることです。「顧客がキャパシティーに問題を抱えていたり、サービス妨害攻撃やその他の問題に遭遇している場合、当社のサービス・アシュアランス・チームは、それを修復するために先見的に動くことができます」とHareesh氏は言います。「お客様にとって、この能力はBT Businessへのアウトソースを決定するうえで強力な確証となります。
SevOne NPMを採用するというBT Businessの決定は、社内に大きな利益ももたらしました。OpEx側では、SevOne NPMがLANやWANからSDNやSD-WANまで、あらゆる種類のネットワークを監視できるため、BT Businessは異種の監視システムを統合することができました。「5つのシステムを1つに減らすということは、すべての統合ポイントを維持する必要がないということであり、ライセンス・コストを大幅に削減できます」とHareesh氏は説明します。こうした複合的な効率化により、当社は年間数百万ドルを節約しています」
BT Businessは、テクノロジーのリーダーシップとイノベーションが真に重要となる、競争が極めて激しい市場空間で事業を展開しています。これらは、グローバル企業がマネージド・ネットワーク・プロバイダーに期待するようになった革新的なパフォーマンスと信頼性を実現するうえで不可欠です。
しかし、それと同じくらい重要なことは、プロバイダーがビジネスの成長と継続をサポートするというコミットメントを顧客に伝えることだとHareesh氏は考えています。「私たちがIBMおよびSevOneとともに始めた取り組みは、お客様に提供する当社の能力をひたすら強化してくれました。それに、お客様からは明らかに注目されています」と彼は言います。
ロンドンを拠点とするBT Business(ibm.com外部のリンク)は、BT Groupの一部門で、世界180か国で事業を展開し、世界中の多国籍企業にグローバルなセキュリティー、クラウド、ネットワーク・サービスを提供しています。
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2022年10月米国で作成。
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