Bestway Cementは、効率を高めて無駄を削減するために原材料から最終的な製品に至るまで、あらゆる詳細に関する正確でタイムリーなデータにアクセスしたいと考えていました。同社は、IBM® Power SystemsサーバーおよびIBM FlashSystem®ストレージにSAP S/4HANA®を導入することで、リアルタイムのインサイト(洞察)を獲得し、ビジネスおよび環境面で優れた成果を上げています。
データ品質の低さと手作業によるレポート作成の遅れにより、Bestway Cementのマネージャー達は業務を効率化する機会を特定できずにおり、さらには収益性と環境面にも影響が出ていました。
Bestway Cementは、IBM Lab Servicesによって実装されたIBM Power Systems H922サーバーとIBM FlashSystem 5000ストレージにSAP S/4HANAを導入しました。
4つの主要拠点でそれぞれ年間数百万トンのセメントを供給しているBestway Cementは、エネルギーを大量に消費する複雑な産業プロセスを行っています。商品の入荷から顧客への配送に至るまで、品質の改善、収益性の向上、環境フットプリントの削減を達成するために企業が絶対的に優先すべきなのは業務効率です。
一部買収によって設立されたBestway Cementは、事業を運営するために複数の個別のソリューションを利用していました。このような状況では、原材料から最終製品に至るまで、分析に必要なタイムリーかつ正確なデータを得られなかったため、管理者が効率改善の機会を特定するための能力に影響を及ぼしていました。
例えば、トラックが各現場に出入りする際、正確な積載量を決定するための計量台を通過しますが、これは重要なデータの一部です。情報の抽出(例:トラックの識別、資材の品目、積荷の重量、時間、日付など)と、それを財務および生産に照合する過程はミスの起こりやすいプロセスであり、1週間以上経過して結果が出る頃に不一致の修正をしようとしてもすでに手遅れです。
情報技術部長であるJunaid Nasir氏は次のように説明します。「情報の抽出はほとんど手作業で行われていたため、人為的なミスが発生していました。マネージャーには印刷されたレポートが送られていましたが、質の悪い入力データを使ったものが多く、記述されているイベントが起こった2~3週間後に数百ページにおよぶレポートが届くような状況でした。同じように、財務面でも、総勘定元帳、給与計算、買掛金システムが個別のシステムで稼働していたため、月末の締めに最大3週間かかることもありました。」
同氏はさらに「セメントなどのコモディティセクターでは、収益性を高める中心的な手段は運営能力です。同時に、エネルギー消費量が非常に多い事業を運営する場合、効率化は環境負荷の低減にも直接良い影響を与えます。こうした2つの責務を踏まえ、当社は経営層にリアルタイムデータを提供することで業績を向上させる方法を模索し、環境に配慮した確かな実績を向上させながら無駄を省いてビジネスを成長させることができました。」
Bestway Cementは、12台の独立したIntelベースの物理的サーバー上にある複数のデータベースを利用して、主に自社製のアプリケーションを稼動させていました。Bestway Cementのチームは、ERPソリューションへの移行が最善の方法であることに気づき、SAP S/4HANAを選択しました。Junaid Nasir氏は次のように述べます。「SAP S/4HANAは、Bestway Cementにとって理想的な成熟したビジネス機能を提供しています。」
ERPおよびアプリケーションアーキテクト担当シニアバイスプレジデントであるSufyan Ehsan氏は、以下のように付け加えます。「SAP S/4HANAは、生産計画やプラント保守など、当社の主要な業務分野において優れた機能を提供しており、すべてが財務と完全に統合されていると感じました。おかげで企業をひとつの組織として管理できるようになったため、現在のデータに基づいてビジネス上の課題に取り組み、解決することができるようになったのです。」
既存のサーバーではSAP S/4HANAの実行が確認できておらず、64ビットアーキテクチャーに対応できなかったため、Bestway Cementはハードウェアの専門家を招いて新しいインフラストラクチャーの提案を依頼しました。この時、このプロジェクトに関するLinkedInの投稿に気付いたIBMチームはBestway Cementに連絡し、サーバーとストレージの両方に対してIBM Power Systemsテクノロジーに基づく新たな戦略を提案しました。 IBMのソリューションは、劇的なコスト削減と大幅なパフォーマンス向上の可能性を秘めていたのです。
IBMは、Intelベースの12台のサーバーを、SAP S/4HANAの認定を受けた2台のIBM Power Systemsサーバーのみに置き換え、既存のストレージをIBM FlashSystem 5000にアップグレードすることを提案しました。IBMのインフラストラクチャーのフットプリントは消費電力および冷却要件が低減されるため管理しやすくなり、より少ないプロセッサーコアでより高いコンピューティング・パフォーマンスを提供します。
IBM Power Systemsプラットフォームの機能を実証するため、IBMは概念実証を作成し、2日間のワークショップを開催しました。IBMサーバーは、新しく導入したSAP S/4HANAソリューションと、Bestway Cementが保有を続ける予定の追加のビジネスシステムの両方に対応しています。
Sufyan Ehsan氏は次のように付け加えます。「完全なパッケージとして考えると、IBM Power Systemsサーバーのおかげで管理コストと運用コストを大幅に削減できました。たとえば、Intelベースの製品では、ハイパーバイザーとオペレーティングシステムを別々に導入してライセンスを取得する必要がありましたが、IBM Power SystemsサーバーにはIBM PowerVMの仮想化ライセンスとSUSE Linux Enterprise Serverのライセンスが統合されていました。」
同氏はさらに続けます。「SAP Application Performance Standard(SAPS)の予測値に基づいてモデル化すると、Intelベースのソリューションでは、56コアのサーバーが少なくとも12台必要でした。しかし、IBM Power Systems H922サーバー(各サーバーに10コアのプロセッサーを2つ搭載)2台だけで、同様のSAPSの結果を達成することができたのです。最終的には、12台の古いマシンを排除してIBM Power Systems H922サーバーに移行することで冷却負荷と電力消費量が削減され、サーバールームの占有面積を縮小することができ、全体的なコスト削減に貢献できました。」
新しいSAP S/4HANAソリューションを完全にサポートするため、Bestway Cementはデータストレージ要件を検討し、IBM FlashSystemストレージへの移行を選択しました。IBM Spectrum Virtualizeで構築され、データ削減機能とIBM Easy Tierテクノロジーが組み込まれたIBM FlashSystem 5000は、エントリー・レベルの料金体系でエンタープライズ機能を提供します。
インフラストラクチャーおよびネットワークセキュリティーアナリスト副マネージャーであるNaveed Shakur氏は次のようにコメントしています。「ネットワーク接続ストレージ(NAS)インフラストラクチャーで接続の問題が発生していました。危惧していたのは、SAP S/4HANAを導入したものの、NASが大きなボトルネックになるということでした。Bestway CementがIBM FlashSystem 5000を選択した理由は、完全に統合された高性能のソリューションを提供するSAP S/4HANAから最大限の利益を得て、ビジネスを前進させることができるからでした。」
同社は、IBMのサーバーとストレージソリューションの導入に IBM Lab Services を、データ移行のサポートにIBMビジネス・パートナーであるTeamsun Technology Pakistanを起用しました。現在、このソリューションは350人の同時ユーザーをサポートし、約800GBのコアデータにアクセスしています。
Naveed Shakur氏は次のように続けます。「Teamsunは、データ、プロセス、人材の新たなソリューション移行を支援し、あらゆる段階で素晴らしいサポートを提供してくれました。Teamsunは、IBMビジネス・パートナーとしてIBMインフラストラクチャーに関する優れた経験と知識を提供してくれ、統合チームは期日どおりに予算内で実装を終えることができました。」
Bestway Cementの最終目標は、注文と生産を密接に一致させて廃棄物を削減し、エネルギーと環境への影響を削減し、会社の効率を向上させることです。
IBM Power Systems H922サーバーとIBM Storageに統合されたSAP S/4HANAソリューションを導入することで、Bestway Cementは初めて4つの製造拠点すべての生産状況を統合的に把握できるようになり、原材料から最終製品に至るまで、コスト、収益性、プロセスをリアルタイムで可視化できるようになります。
Sufiyan Ehsan氏は次のように説明します。「今では、日々の生産およびコストのレポートは推定ではなく実績ベースで提供されるようになりました。人が介入する作業もなくなりましたし、報告ミスもありません。先ほどの計量台の例で言えば、すべての拠点からリアルタイムでトラックの風袋重量と総重量を確認できるため、生産や配送に問題を引き起こす可能性のある潜在的な不一致に注意した対策を講じることができます。」
Teamsunは、合理化された情報フローを提供するために、月末の決算値を1日以内に提供するエグゼクティブ・ダッシュボードを構築しました。このダッシュボードでは、SAP S/4HANAソリューションと高パフォーマンスのIBMサーバーおよびストレージプラットフォームが統合されたことにより、内部の商品原価や生産パフォーマンスなど、関連する運用データのドリルダウンが可能になります。
Junaid Nasir氏は次のように結論付けています。「SAPとIBMのソリューションは、Bestway Cementのあらゆるレベルでの効率の変革に役立っています。たとえば、エグゼクティブ・ダッシュボードにより提供されるリアルタイム情報のおかげでレポートを印刷する必要がなくなったため、毎週何千枚もの紙を節約できています。」
「SAP S/4HANAとIBM Power Systemsを導入することで、Bestway Cementは現在の生産、配送、財務状況を把握し、収益性の改善、顧客へのサービスの向上、運用コストの削減を実現するためのコスト削減に取り組むことができます。IBMとSAPのテクノロジーは、リソースの消費量を減らし、業界、利害関係者、環境に大きなメリットをもたらしつつ、より多くのことが達成できるよう当社をサポートをしてくれています。」
Bestway Cement(ibm.com外部リンク)は、年間1,000万トンを超えるセメントを製造するパキスタン最大のセメント製造業者です。同社は2019年に約790億パキスタンルピー(5億米ドル)の収益を達成しました。2,000人以上の従業員を擁し、優れた環境賞や企業の社会的責任賞を多く受賞しています。
Teamsun Technology Pakistan(ibm.com外部リンク)は、中華圏、東南アジア、北米、東ヨーロッパをカバーするサービスネットワークを持つ多国籍ITサービスグループです。
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