Business Challenge story

アンケートの集計結果を顧客満足度向上に

ゴルフ場経営ではこれまで会員権ビジネスへの依存傾向があり、必ずしも顧客満足度(CS)を重視した運営がなされてきたとはいえません。それに対してPGMでは、「我々はサービス業である」という原点に立ち戻り、将来的な安定経営、競争力強化の観点から、メンバーの維持拡大、ビジターの呼び込み/リピーター化を目指して、顧客満足度向上に向けた従来の取り組みを見直し、CS調査の強化を図っています。今までのゴルフ場ビジネスは会員権販売を中核にしていたのに対してPGMでは、顧客満足度と顧客目線に着目をしてゴルフ場運営ビジネスのパラダイムシフトを目指してきました。その試金石こそがCS調査の実施とCS調査結果の活用でした。

PGMでは、これまでもCS調査は実施されていたものの、アンケート用紙を年2回、お客様に手渡して記入してもらうというレベルのもので、回答率は低く、集計結果も2か月後に出るといった状態でした。これでは、お客様からコースや飲食、サービスなどに対する要望があっても迅速に対応できません。 また、顧客満足度の向上に結びつけるデータとしても弱いため、よりタイムリーなデータの集積と社内の情報共有を行うために2009年6月からWebベースでのCS調査に切り替えました。

「精算書に記載されているアンケート番号を使って、Webサイトからアンケートに回答していただくようにしました。その中のオープンコメントは、ゴルフ場の支配人にメールで自動配信されるようにしたため、今日起きた問題に翌日には対応できるようになりました。また、アンケートの集計結果は月次に各部門に報告するようにしました」。マーケティング本部マーケティングマネージャーの正司真美氏は、このように語ります。

その結果、可視化された顧客満足度データを見て、各現場のサービスに対する意識がしだいに変化してきました。しかし一方では、各エリアや現場でお客様のコメントを独自に仕分けし、本社の各部門でも目検でテキストマイニングをするようになったことから、アクション・プランに食い違いが生じるようになりました。

「PGM全体から見てこれはまずいということになり、部門/エリア/現場ごとの人為的な仕分けを改め、分析結果を一元化して、より客観的なものにするため、SPSSの製品を導入してテキストマイニングを実施することにしました」と正司氏。

テキストマイニングのシステムを導入することでテキストデータの仕分けをより客観的に行い、目検での作業時間を省略することも可能になったため、限られた人的資産を有効利用するという企業の命題を実現しつつ、整合性が高いデータを全社的に共有できることでお客様に対する適切な対応を迅速にできるようになりました。

Transformation

IBM SPSS Modeler IBM SPSS Text Analytics をオープンコメントの分析に導入

PGMは、テキストマイニングのプロジェクトを2010年4月に立ち上げました。初めに手がけたのが、単語帳づくりです。

「テキストマイニングをするときにいちばん大事なのは、どのような言葉でお客様のコメントを抽出するかということです。キーワードの抽出については、現場に近い人、もしくは知識のある人に協力を依頼しました」

各部門が作成したキーとなる単語のリストを分析ツールの中に入れると、データ抽出→データ集積→可視化という一連の処理がなされ、テキストマイニングが行われます。すでに料飲部門、コース管理部門については完了し、サービス部門、施設も順次、テストから運用段階に入っています。

テキストマイニングでは、相関関係にある要因を合成していくつかの成分にし、その特性を求める主成分分析が行われます。これによって、データ群の中に潜む、直接測定できない指標や概念が主成分スコアとして計算されます。それを基に、さまざまな因果関係のある事象を数値的にとらえることができます。

例えば、ゴルフ場の利用者であるメンバーやビジターを、性別、年齢、エリア、西日本・東日本に分け、コメントの重要度ポイント(プラス、中立、マイナス)を与えて主成分分析すると、(1)ゴルフコース要素満足度型、(2)サービス要素満足度型、(3)施設要素満足度型というセグメント化がカテゴリー別になされます。その中身を数値化してKPI(重要業績評価指標)を測定することによって、お客様の満足あるいは不満足の要因を詳細に可視化することができます。

PGMでは、テキストマイニング・プロジェクトを進めるに当たって、次のようなルールを提案してKPIの重み付けを図りました。

  1. 数値の割り振りは変更可能。ただし、一度合意した数値配分については2年間変更しない。
  2. 当初3か月は試行錯誤し、数値設定を各部門で協議のうえ、共通数値を設定する。
  3. オープンコメントの多くは批判や不満であるため、好意的なコメントの点数配分を高くする。

コメントの中で、点数をつけることのできないものについては分析対象から外します。例えば「今回、プロショップは利用しませんでしたが時間がゆっくりあれば楽しみたいと思っています」といったものです。ただし、将来的には“要望”といった弱いカテゴリーのものも扱う方向で検討されています。

「批判や要望に対応することによってお客様に満足を与え、リピーターを増やすことがテキストマイニングの目的です。そのためにはオープンコメントを効率的かつ効果的に測定することが大事なので、せっかく集めたデータはできるだけ効率的に可視化したい」というのが、正司氏の考えです。

テキストマイニングを利用すれば、目検でやる場合の人的コストがカットされるというメリットもあります。「弊社はゴルフ場運営会社として、顧客の満足度を上げると同時に、利益率を追求することも、経営方針の大切な柱の一つです。うまくNOI(純収益)やROI(投資利益率)につなげていくことも考えながら、テキストマイニングから効果を引き出しています」

正司氏は、プロジェクトが始まる前からフリーソフトウェアの「R」を使ってデータマイニングをしていました。しかし、Rはスクリプトを書かなければいけないため、一定のスキルを要します。そこで、テキストマイニングの結果を会社の資産として多くの人と共有することになったとき、ストリームとノードを使って分析結果を容易にモデル化できる、使い勝手の良いIBM SPSS ModelerとIBM SPSS Text Analyticsを導入することにしました。

「自分でスクリプトを記述しなければいけないRと比べると、分析結果をモデル化すれば、後はデータを入れ替えるだけでさまざまなバリエーションが展開できるSPSS製品のほうが圧倒的に生産性が高く、分析もきめ細かく深いレベルまで掘り下げることができます。分析や統計の知識が限られている社内で活用するツールとして最適です。また、社内のユーザー数が増えれば、分析結果を分析者だけが理解するのではなく部門を超えて組織としての共通言語になることが理想です。分析結果を各関係部門が理解をすることで初めて効果的なアクション・プランの実施につながります」と、正司氏はSPSS採用の理由を語ります。

Benefits

プロモーションの強力な武器に

アンケートで集められた顧客のコメントは、専用のデータベースに収納され、テキストマイニングにより分析結果が一元化され、本社の各管理部門や全国を地域別に分けた15のエリアなどに提供されます。これによって、PGMとして統一した報告書と分析結果を共有でき、顧客の対応を一元化して迅速にできるプラットフォームが整備されます。その先は、プラス・マイナスの要因をドリルダウンして、解決策を施策に落としこんでいくことになります。

例えば、客単価2万円以上を高単価として関連を分析すると、高単価の顧客はサービスや施設の整備のよさ、清潔感といったところに紐づいていくことが分かります。他方、低単価の顧客では、料金に対するコメントが多くなります。このような分析結果を踏まえて、サービスのよさを訴求することによって、低単価層を高単価層にシフトさせるといった施策も考えられ、セールス・プロモーションのための強力な武器となることが期待されます。

 

将来の展望

分析結果の実際の施策への落とし込み

今後の課題は、テキストマイニングの分析結果を、いかに実際の施策に落とし込んでいくかにあります。お客様からのコメントに「アンケートは本当に本社に届いているのか。たんなるガス抜きではないのか」と書かれたことがあり、それに対してお客様とコミュニケートするための一つの手段として、「お客様の声にお応えしてブログ」(通称「CSブログ」)を立ち上げました。

「ブログでは、バンカーの砂が少なかったとか整備がよくないという言葉が多かったとき等に、お客様の声にお応えしてバンカーを直しましたとか、砂を入れ替えましたというようなことを書き込みしてアップしています。それに対して感謝の言葉をいただくこともあります。このようにテキストマイニングは、お客様のコメントが実は会社として大事な取り組みの一つとして取り上げられていることを知ってもらうための努力につながり、サービス向上に役立っています」

ブログでは、テキストマイニングで多く抽出された項目を取り上げるようにしています。例えば、食事メニューに不満が出たときは、お客様に楽しんでいただけるメニューをつくろうということで、「鉄人シェフスペシャルメニュー」を打ち出しました。施策をどのような形で取り上げていくかは、コストと効果を各部門と相談をしながら進めています。このような施策に少しずつ落とし込むことによって、ゴルフ場の最前線にいるスタッフに対して分析結果の浸透が図れるというサイクルが、今、立ち上がろうとしています。

「サービスの重要性に着目してもらう方策の一つとしてテキストマイニングに着手しました。この取り組みを成功させる上で大切なのは、各部門の協力です。それがないと、分析者だけではプロジェクトは回りません。逆にいえば、専門知識のあるスタッフの協力が得られればテキストマイニングのプロジェクトは円滑に回ります。運営部門の協力なくしてはせっかくの施策を実践することができません。社内の組織全体の理解を得て初めてこのプロジェクトを推進することが可能になりました 」と正司氏はこれまでの経験を振り返り、成果をまとめました。

 

お客様情報

2001年3月に事業を開始し、北海道から沖縄まで全国130ヵ所のゴルフ場を保有運営する日本を代表するゴルフ場運営会社。運営・マネジメントは、ゴルフ場に付帯する飲食、プロショップ、ホテルなどといった幅広い分野にまで及び、全国で約10,500人の従業員を抱える。PGMグループでは、スケールメリットを活かしたマーケティングやセールス・プロモーションを実施しながら、各ゴルフ場の個性を損なうことなく効率性と収益性の向上を図っており、総務、資産・財産管理、ITといった専門性が求められるバックオフィス業務は本社で統括し、個別ゴルフ場の負担を軽減するサポート・スタイルを確立している。持株会社で東証1部上場企業のPGMホールディングス株式会社の100%子会社。

 

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