Business Challenge

原子力発電施設の保全業務を支える 設備管理システムの実現に向けて

四国電力情報通信本部情報システム部システム化推進グループリーダーの中内伸二氏は、社会の基盤を支える電力会社ならではの情報システムの役割について、次のように語ります。

「電力会社がお客様にサービスを提供する上で、特に原子力発電においては次の三つの事項が大切であると考えています。まず発電設備を安全に、かつ安定して稼働させること。次にお客様に安心していただけること。そして効率的に運営を行っていくことです。四国電力では、積極的な情報公開を行い、原子力発電所をはじめとする各設備の安全と安定運転の継続を至上命題としており、これを一層推し進める上で、ITを積極的に採用しています」

システム化推進グループ副リーダーの近藤騰氏は、高い技術力と競争力を持つ原子力発電所の実現に向けた、保全適正化のためのシステムについて、次のように語ります。「発電設備の保全管理には、作業管理、設備管理、予算管理、工程管理など多種の業務が存在し、各業務を密接に連携させる必要がありますが、これらを一体的に管理するための仕組みが求められていました。従来は個別のシステムを構築してシステム間を連携させていましたが、新しい仕組みを構築することによって、安全確保を大前提としながら、保全作業の合理化や年間作業の平準化を目指しました」

Transformation

保全管理システムのプラットフォームとして IBM System zを採用

四国電力は新システムを構築するにあたり、従来 使用してきたシステムの拡張に加え、パッケージ 製品の採用を検討しました。米国の原子力発電所 の視察やコンサルティングの実施を重ねた結果、 機能面でもコスト面でも最適な方法として、 SAP社のパッケージであるSAP ERPが提供する Enterprise Asset Management(EAM)を選定し ました。システム化推進グループの吉岡直司氏は、 当時を振り返り、こう語ります。

「米国の原子力発電所に おける導入実績を評価 したことに加え、当社で はすでに基幹システムと してSAP R/3をIBM System z上で構築・運 用しており、その経験、 ノウハウを生かせること が、決め手となりました」

発電所の役割を考える と、新しいシステムには 通常の業務システムと 比較しても格段に高い信頼性が求められます。 この点について、吉岡氏は次のように語ります。

「障害による停止時間は年間1時間程度(要求 稼働率99.99%)に抑える必要がありました。 また、今回のEAMシステムを実現させるためには、 複数のアプリケーション・サーバー、データベース・ サーバー、周辺システムが不可欠で、かつそれ ぞれの機器について本番機、検証機、開発機を 用意することになるため、多くのサーバーを運用 する必要がありました。こうした要件を満たすシス テム基盤として、信頼性と連続可用性、サーバーを 統合する仮想化技術を高く評価し、IBM System z9 Business Class(System z9 BC)の採用を 決めました」

Benefits

サーバー群を1台に統合。 専用プロセッサーにより、コストを低減

2007年6月に本番稼働を迎えた新設備管理シス テムは、1台のSystem z9 BC上にLPARやz/VMを使用して複数のSAPデータベース・サーバーと アプリケーション・サーバーを稼働させる構成を 採用しています。設備管理データを保管し、高い 信頼性が要求されるデータベース・サーバーには z/OSおよびDB2が採用され、アプリケーション・ サーバーには、オープンソース・ソフトウェアで あるLinux (Novell SUSE Linux Enterprise Server)が採用されました。System z9 BCに搭 載されるLinux専用プロセッサー(Integrated Facility for Linux:IFL)と仮想化技術を実現するz /VMを組み合わせることによって、現在20を 超える仮想Linuxサーバーが稼働しています。

「四国電力では別のIBM System zのシステム でSAP社の別システムを稼働させていますが、 今回のシステムでは新たにアプリケーション・ サーバー用にLinuxとIFLを、DBサーバー用には DB処理を専用に行うSystem z9 Integrated Information Processor(zIIP)を採用しました。 zIIPは日本国内で初めての採用となりましたが、 EAMシステムで使用するDB2の処理の最大 50%ほどをCentral Processor(CP)から zIIPにオフロードすることができ、従来に比べて コスト・パフォーマンスに優れたEAMシステムを 構築することができました。システムの実現を 通してIFLやzIIPといった専用エンジンは、EAMに 適した設計であることが分かりました」(吉岡氏)

 

将来の展望

仮想化技術による サーバー資源の有効活用

システムの構築を振り返り、吉岡氏はSystem z9 BCの仮想化機能について次のように評価して います。

「従来のシステムでは開発、テスト、本番用に個別の サーバー機器を用意する必要がありましたが、 System z9 BCの仮想化機能を使用して論理 サーバーとして統合することにより、資源を効率 的に活用することが可能になりました。各サー バーで使用されるCPU資源の割当は、システム 構築を行う各フェーズに応じて適切な使用方法を 採ることができています。論理サーバーの増設も 容易で、機器の調達を行うことなくz/VMの操作 だけで、新しいサーバーを追加することができ ました。規模の大きなシステムの構築において この手法は有効であると考えています」

今回のプロジェクトにおける新しい技術の採用を 評価し、中内氏は今後の情報システムへの展望を 次のように語ります。 「サーバー統合の重要性が最近のITのトレンドに なっていますが、オープン・ソースの採用や、機器 の物理台数、OSの種類を減らすことは、管理効率 を向上させる上で当社のIT指針とも合致する ものです。今回のSystem z9 BCを使用したシス テムの構築の経験は、今後、よんでんグループに おける他のシステムの開発にも生かしていく ことができると考えています」

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

  • IBM System z9 Business Class

ソフトウェア

Solution Category

  • Systems Hardware