Business Challenge story

基幹系DBのクラウド化を実現するためにシステムに求められた多岐にわたる要件

株式会社サンモアテック基盤サービス事業部マネージャーの山門亮太氏は「基幹系DBのクラウド化を実現する上で、システムには多岐にわたる要件を満たすことが求められました」と説明します。

第一はスピードです。経営・事業ニーズに迅速に対応するためには、インフラを素早く準備・拡張する必要があります。従来は新規サーバー提供に約3カ月かかっていましたが、これをできる限り短縮しなければなりません。

第二はキャパシティーの確保。基幹系DBを安定稼働させるには、極めて高い処理能力が必要です。また従来のシステムではピーク時に合わせたキャパシティー確保が必要でしたが、新しいシステムでは必要に応じてリソースを割り当てる“オンデマンド型”の運用も求められました。

第三はコストです。リソース割り当て最適化によるハードウェア費用削減はもちろんのこと、ソフトウェア費用も視野に入れた全体的なコスト削減が必要です。

これらに加え、サービス・レベルの向上やBCP(事業継続計画)の実現、多様なシステム環境への柔軟な対応、環境への配慮も、要件として掲げられました。サービス・レベルを向上させるには、ハードウェアそのものの信頼性に加え、仮想マシンのモビリティー機能活用による計画停止削減が重要になります。またBCPの実現では、追加コストの最小化が求められました。多様な環境を集約して効率的に構築・運営するためには、仮想化技術の積極的な活用が必要です。そして環境負荷を軽減するには、サーバー台数や使用コア数を削減することで、消費電力を減らすことが求められます。「これらすべての要件に対応するには、システムを支えるサーバーも、高性能、高信頼性、高度な無停止技術、オンデマンド技術など、多岐にわたる評価項目をクリアしなければなりません」と山門氏。こうした基準をすべて満たすサーバーとして選んだのがPower 770でした。

Transformation

Power 770の処理能力と可用性を高く評価。LPMやCoDの存在も重要な採用理由に

その根拠として山門氏はまず、コアあたりの処理能力の高さと高度な仮想化機能を挙げます。従来よりも少ないコア数で高い処理能力を発揮するだけでなく、複数の区画でコアを共有(プール化)することで、資源の有効活用ができます。IBM Power Systemsの論理区画はハード・パーティショニングとしてオラクル社より認定されており、データベースが稼働する区画に割り当てられたコア数のみが課金対象となります。また他のサーバーと比較して故障率が極めて低かった実績も大きな評価ポイントになったと指摘します。「以前の基幹系データベースではPower 570を4年間使用しましたが、業務に影響を与えたハード障害は1件もありませんでした」。

株式会社サンモアテック基盤サービス事業部主任の西村真一氏は、Live Partition Mobility(LPM)やCapacity on Demand(CoD)の存在も重視したと説明します。「LPMを使用すれば稼働中の論理区画を他のサーバーに移動できるため、ハードウェア・メンテナンスが必要な場合でも業務を停止させることはありません。またCoDなら使用したコア数分だけ料金が発生するため、コストも抑制できます。今回、Oracleのライセンス費用を従来より20%削減しつつ、より大きなキャパシティーにも柔軟に対応できる環境が整いました」。

今回のシステム構成はシステム概要図に示す通りです。2台のPower 770それぞれに本番プールと待機プールを用意し、2台で処理能力と障害リスクを分散しています。本番プールでは、各区画にキャパシティー・プランニングで算出した処理能力が、標準コア数として割り当てられています。負荷が減少した区画は共有プールに未使用の資源を提供し、負荷が増大した区画は標準コア数を上回る資源を上限まで動的かつ自動的に利用することができます。一方、待機プールでは、通常時には各区画が0.1コアで待機しており、本番区画を停止させる場合に、Live Partition Mobility機能でサービスを引き継ぐとともに、動的にコア数を追加して必要な処理能力を確保します。

クラウド化と同時にBCP対応も実現しています。BCP用のサーバーにはこれまで使用していたPower 570を活用。これも通常は各区画0.1コアだけがアクティブになっており、必要に応じてコア数を自動的に増やす設定になっています。なおこれらのDBプールの設計・構築は、IBMビジネス・パートナーの株式会社ライトウェルも参画して進められました。

Benefits

動的なコア割り当てでキャパシティーとコストを両立。新規サーバー提供のリード・タイムも大幅に短縮

Power 770への移行は、クラウド・システムに対する多岐にわたる要件を満たす上で、大きな貢献を果たしています。

まず経営・事業ニーズへのスピーディーな対応が可能になりました。新規サーバーが必要になった場合でも、論理区画を立ち上げるだけで対応できるため、ハードウェア調達などにかかる時間が不要になったのです。これによって新規サーバーの準備に必要なリード・タイムは、3カ月から大幅に短縮されました。

キャパシティーの確保も容易になり、処理速度も向上しました。以前のシステムに比べて使用コア数は40%少なくなっていますが、検索系のオンライン処理時間を約半分に短縮、バッチ処理時間も40%短縮されています。各業務システムの負荷の変動に応じて各区画へのコア割り当てを変化させることで、キャパシティーを動的に確保することも可能になり、リソースの利用効率も高まりました。例えば月末だけ月次バッチのコア数を増大させ、その後は再び元のコア数に戻すといった運用も行われています。CoDの料金体系は使用したコア数分だけを負担すればいいため、最小限のコストで待機系サーバーやBCPサイトを構成できるようになったのです。またコアあたりの能力が高いため、コア数に比例して上昇するOracleのライセンス費も削減されています。ソフトウェアを含む全体コストは、従来に比べて44%削減されています。

その他の要件を満たすことにも成功しています。まずサービス・レベルの確保に関しては、Power 770の信頼性の高さに加え、LPMが重要な役割を果たしています。ハードウェア・メンテナンスが必要な場合でも、他のサーバーに論理区画を移動することで、計画停止を最小限に抑えられるからです。CoDによってBCPサイト構築のハードルも低くなりました。通常は最小限のコア数で運用し、必要に応じてコア数を動的に増やすことで、低コストでのBCPサイト構築・運用が可能になったのです。CoDと仮想化を組み合わせたプール化を実現したことで、サーバー追加やリソース割り当てを動的に行えるようになり、システム設計の柔軟性も高まりました。そして使用コアが大幅に削減されたことで、消費電力も低下しています。このようにサンモアテックでは、IBM POWER/AIXの特徴を最大限に生かして、サントリーグループの全体最適化の視点から、ビジネスに即したシステム構築を進めています。

 

将来の展望

2012年末までに基幹システムの移行を完了。グループ会社のシステムも統合の対象に

サントリーグループの基幹系DB上では、2011年2月に自販機システム、10月に営業システムがクラウド化されたDBへと移行しています。他のシステムも今後順次移行し、2012年末までには全基幹系システムの移行を完了する予定になっています。

またこれと並行して、これまでは各社にまかせていたグループ会社のシステムを、この基幹系DBに統合する取り組みも進められています。すでに数社のシステムが動き始めており、今後さらにサポート対象を拡大していく計画です。

「Power 770によるクラウド化で、これまで以上に柔軟なシステム基盤を実現できました」と松本氏。この基盤によっていかにしてビジネス・フローを変えていくかが、これからの重要課題だと語ります。「システム側からも積極的な提案を行う必要があります。次の中期計画にもぜひ盛り込んでいきたいと考えています」。

 

お客様の声

株式会社サンモアテック 取締役 松本 道典氏

「物理サーバーで構成するシステムでは、今後発生する新たなビジネス・ニーズへの柔軟な対応ができません。高い処理能力が求められるDB層も、リソースのプール化が必要だと判断しました」

株式会社サンモアテック 基盤サービス事業部 マネージャー 山門 亮太氏

「Power 770はコアあたりの処理能力が高い。またこれまで4年間使ってきたPower 570の故障率が他社と比較して極めて低い点も、大きな評価ポイントになりました」

株式会社サンモアテック 基盤サービス事業部 主任 西村 真一氏

「LPMを使用すれば、ハードウェア障害が発生してもサービスが停止しません。またCoDなら使用したコア数分だけ料金を支払えばいいため、コスト抑制にもつながります」

 

お客様情報

お客様名:サントリーグループ

URL:http://www.suntory.co.jp/(外部サイトへリンク)

1899年「鳥井商店」を開業、葡萄酒の製造販売を開始する。これを母体とし1921年に株式会社寿屋を創立、1963年のビール販売を機にサントリー株式会社に社名変更。創業以来「やってみなはれ」精神のもと、今日では総合食品企業として、ビール、洋酒、ワイン、清涼飲料はもとより、健康食品や外食、スポーツ、花など、事業領域は多岐に拡がり、グローバル展開も急速に加速しています。2003年には「人と自然と響きあう」をグループ企業理念として定め、地球環境への保全にも積極的に取り組んでいる。2009年4月、持株会社へと移行し、さらなる飛躍へと歩み出した。

お客様名:株式会社サンモアテック

国内外200社以上に及ぶサントリーグループのITサービス会社として1990年に創業。それ以来一貫して最先端ITの活用に積極的に取り組み、サントリーグループの情報化進展に貢献し続けている。ビジネス現場と直結した、品質本位のシステム運用開発サービスをコア業務として展開する一方、スマートフォンやクラウド・コンピューティングの活用にもいち早く着手。インターネットを活用したマーケティング提案やWebデザインにも積極的に取り組んでいる。

 

テクノロジープラットフォーム

ハードウェア

  • IBM Power 770

ソフトウェア

  • IBM AIX V6.1
  • IBM PowerVM Enterprise Edition

Solution Category

  • Systems Hardware