フィンテックは従来型の銀行に挑戦状を叩きつけています。

消費者からは、デジタル・バンキングの利便性への感謝の声が聞かれます。普及の進むデジタル銀行は、従来型の銀行よりも迅速、便利で、手頃な価格の金融サービスを提供できます。また、パーソナライズされた顧客体験のハードルを引き上げています。従来型の銀行の選択肢は、 顧客を維持する、または失うという単純なものです。

オランダの銀行大手であるABN AMRO Bank N.V.で、会話型AIのプロダクト・オーナーを務めるJeroen Das氏は、業界のシフトについて熟知しており、次のように説明しています。「金融業界には多くの新規参入者が存在します。こうした企業は、真のデジタル銀行になるための移行段階に未だ留まっている、より巨大で古典的な銀行に対する競争優位性を持っています。もし銀行がデジタル化を受け入れなければ、顧客との関係性をあっという間に失うでしょう。」

ABN AMRO銀行のITエンジニアリング・リードであるBob van Groningen氏もこうした意見に同意して、次のように述べています。「銀行のデジタル・トランスフォーメーションは極めて重要です。当行は顧客とのつながりを維持しながら、一層のデジタル化を推進する必要があります。それができなければ、お客様の満足度が急速に低下することになり、その場合、ここ数年間に業界で台頭してきたあらゆる専門的な代替企業に急速に顧客を奪われることになるでしょう。」

現在、ABN AMRO銀行ではデジタル化を進めています。しかし、リテール顧客はつい最近まで、質問への回答を得るためにコール・センターに連絡するか、Eメールを送信する必要がありました。このプロセスは時代遅れで時間がかかるものでした。会話型AIテクノロジーがオランダ市場でまだ比較的新しかった2017年に、同行は顧客の反応を測るためにチャットボット・サービスの実証実験を行いました。このテクノロジーに対する顧客の反応は総じて良好でした。ただし同行はこのテクノロジーについて、特に顧客の質問や要求がスクリプト化されたシナリオから逸脱した場合、その能力に限界があることを認識しました。

問題はパーソナライゼーションの欠如にありました。初期のチャットボット・テクノロジーには、顧客ニーズを予測するのに必要な拡張性とインテリジェンスが不足していたのです。Das氏は次のように述べています。「当行はNLP/NLU(自然言語処理と自然言語理解)ソリューションに関する柔軟性を必要としていたため、ダイアログとインタラクションを変更し、その日の顧客の新たなニーズに対応できるようにしました。」

ABN AMRO銀行にとっての理想的なソリューションは、柔軟性を提供し、業界のコンプライアンスおよびセキュリティー要件を満たすことです。これには、同行のIT投資の活用も含まれます。

van Groningen氏はこれに同意し、次のように述べています。「当行にとっての課題は、優れた顧客経験と、その背後にある迅速、使用可能でスケーラブルな、また既存のあらゆる銀行システムと共に機能する、銀行向けデジタル・ソリューションとを正しく組み合わせることです。」

Annaは1年間に

100 万

回以上の会話を顧客と行います

Annaは顧客の質問の

90%

にオランダ語または英語で回答します

WatsonからAbbyとAnnaが誕生

2018年7月に包括的なRFPプロセスを実施した後、ABN AMRO銀行はIBM® Watson Assistantソフトウェアをベースとする会話型AIプラットフォームを導入するため、IBMコンサルティングを選びました。IBMのコンサルタントは同行の技術チームと緊密に協力しながら、企業ニーズに基づく最適なソリューションを開発および導入するために必要な専門知識、スキル、およびリソースを提供しました。その後、ABN AMRO銀行は2020年にIBM Watson Cloud Creditsに加入し、130以上のサービスを利用できるようになりました。

Das氏によると、IBM Watsonのテクノロジーは、同行が必要とする柔軟性、拡張性、セキュリティーに加え、多くの機能を提供しています。「IBM Watsonのテクノロジーは、Watsonだけにとどまりません。これには利用者に提供される、Watsonを取り巻くサービスも含まれており、これらのサービスは私たちが探し求めるあらゆる基準を満たすものです。当行では基本的に1日以内にチャットボットを新しい目的のために有効にすることができ、非常に安全でコンプライアンスに準拠した観点から実装しています。

チャットボット「Anna」のロゴ

このエンゲージメントには、2つの仮想アシスタントの構築が含まれていました。Abbyと名付けられた第1のアシスタントは、同行のポータルを介して利用できる社内用仮想エージェントで、テクノロジーサービス・チームをサポートします。Annaと名付けられた第2のアシスタントは、外部向けの顧客サービスを提供する仮想エージェントで、同行のリテール顧客と商業銀行顧客の支援を行います。

Annaは同行のコンタクト・センターで収集されたデータを基に、訓練と教育を受けます。同行のチャット・チャネルで24時間365日利用可能なAnnaは、顧客のニーズを評価し、顧客プロファイルを考慮しながら回答を提供します。

van Groningen氏は次のように述べています。「私たちはこれを意図認識と呼んでいます。Annaはこの方法で、お客様が必要とする解決策を素早く提供することができます。より複雑なアドバイスが必要な場合、Annaはお客様を、知識が豊富なライブ・チャット・エージェントに直接転送します。これにより、お客様は常に必要な回答を得られるのです。」

会話型AIプラットフォームを構築するにあたり、ABN AMRO銀行はリトアニアとチェコ共和国のIBMクライアント・イノベーション・センターから派遣されたIBMのコンサルタントと技術専門家による支援を受けました。

van Groningen氏はこう述べています。「Watsonを選択して以来、IBMの担当チームは当行を訪問し、従業員がこれを正しく実装する方法を学べるよう研修を行っています。今では、ABN AMRO銀行の従業員とIBMのスタッフが横並びで協業し、互いに知識を得る真の協力関係を築き上げています。こうした形での提携を実現し、今のところ結果が出ているのを目の当たりにできるのは、非常に喜ばしいことです。」

2021年、ABN AMRO銀行とIBMはAnnaの回答の精度を改善するため、「Linguistic Modeling Approach」と「User Journey Optimization」という、2つのプログラムを共同で立ち上げました。これらのプログラムに基づいて、Annaには週毎に大幅な改良が加えられており、顧客との会話の品質はますます向上しています。

2022年の時点で、IBM Watson Discoveryは稼働中であり、簡単には予測できず最適化できない多様な質問と結果に対応するための、ABN AMRO銀行の「ロングテール」ソリューションに利用されています。この次の段階のロードマップ項目には、言語モデリング・アプローチを使用した意図の明確化、カスタマー・ジャーニーの最適化、戦略的な向上などが含まれていました。今後について、ABN AMRO銀行は会話型AIの利用対象を、商業銀行およびプライベート・バンキングの顧客にも拡大する計画です。

Annaに何なりとお申し付けください

平均すると、Annaは毎年100万人以上のABN AMRO銀行の顧客とチャットを行っています。2021年の第4四半期に、Annaは自身と対話した25万人の顧客の90%に回答を提供しました。

van Groningen氏は、「Annaは特定の回答を求めている顧客から、50以上のNPS(ネット・プロモーター・スコア)を獲得しており、これは非常に良好な結果だと思う」と語っています。ABN AMRO銀行では、Annaは最も生産性が高く、学習が最も早い従業員の1人だとみなされています。

Das氏はこれに同意し、次のように述べています。「このジャーニーで非常に重要なのは、使用する仮想アシスタントと人間によるサポートとを常に組み合わせることで、顧客が決して行き詰まることがないようにすることです。デジタル・ランドスケープにおいて、Annaは顧客が必要とするものと、銀行内で働く顧客を助けることのできる多くの専門家とを結び付ける、一種の仲介役のような存在です。」

ABN AMRO銀行は、Annaがライブ・アドバイザーのより多くの時間を解放して、複雑な疑問を持つ顧客に集中できるようにしていることをすぐに認識しましたが、会話型AIの真の価値はそれに留まりません。大規模なデジタル・トランスフォーメーションに向けた取り組みの第一歩として、Annaは同行によるテクノロジーへの投資を正当化し、顧客のオンボーディングといった、より多くの業務におけるAIの活用を促進します。

同様に魅力的な点として、このテクノロジーはすでに、ABN AMRO銀行が組織の他の分野における顧客体験を改善するために活用している洞察を提供しています。例えば、Annaの会話を分析することで、顧客が情報を検索しやすくなるよう、Webサイトの設定やコンテンツをどのように変更すべきかが明らかになりました。

Das氏は次のように述べています。「これは当行が期待していたことではありませんでしたが、Annaは顧客とのすべての会話を保存し分析するため、チャット・チャネルに加え、デジタル・アプリケーションのより大きな問題を観察することができます。当行はクリックやページ・ビューを単に解釈する代わりに、顧客の行動の背景にある理由を理解することができ、これはデジタル・ランドスケープをいかに革新するかに関する、より多くの洞察をもたらしてくれます。」

ABN AMRO銀行にとって、Annaは単なる仮想エージェントを超えた存在です。Annaはデジタル・ファースト戦略の中心的役割を担っているのです。van Groningen氏はこう結論付けています。「この戦略は旧来のプロセスをデジタル化するだけではありません。新たな体験を以前の体験よりも優れたものとし、日々の体験を改善することが重要です。Annaは、デジタル時代の個人向け銀行(パーソナル・バンク)になるという当行の戦略にぴったりの存在です。」

ABN AMROのロゴ

ABN AMRO Bank N.V.について

アムステルダムに本社を置くABN AMRO銀行(外部リンク)は、共通したビジョンを共有する19,000人の従業員を5大陸で雇用しています。このビジョンとは、デジタル時代の個人向け銀行になることです。同行はデジタル・サービスとデータを活用して、リテール、プライベート、法人顧客についての理解を深め、顧客体験を向上させるよう取り組んでいます。オランダで第3位の銀行であるABN AMRO銀行は、モバイル、インターネット、対面式のバンキング・サービスや、保険、住宅ローン、貯蓄、投資、クレジット・カードなど、様々なサービスを提供しています。

製品・サービス
IBM® Consulting
IBM® Watson Assistant
IBM Watson Discovery

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2022年3月

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