Business Challenge story

7,500棟以上のビル管理業務の実績を基にBEMS事業を強化

イオングループでは、長年にわたってさまざまな環境保全活動に取り組んできました。近年では、2012年度までにCO2排出総量を2006年度比で185万トン(30%)削減することを目標とした「イオン温暖化防止宣言」を発表し、2011年度に1年前倒しで達成。続いて、節電や省エネに対する社会的ニーズの高まりや、今後予想される慢性的な電力供給不足への対応に向け、2020年度までの環境目標として「イオンのecoプロジェクト」を2012年9月1日よりスタートしています。これはエネルギー使用量50%削減、20万kWクラスの再生可能エネルギーの創出、全国100カ所の店舗の防災拠点化の3つを柱に、持続可能な社会を目指す取り組みであり、このプロジェクトの中心的役割を担っているのがイオンディライトです。

流通業を中心に、7,500棟以上の施設管理の受託実績を誇る同社は、40年に及ぶ設備管理の経験を基に「BEMS」(Building Energy Management System:ビル・エネルギー管理システム)事業に進出し、イオンはもとより、グループ外の企業にも広くサービスを提供しています。

イオンディライト環境事業本部環境ソリューション部長を務める小林雅弘氏は、同社のBEMS事業について次のように話します。

「私たちは、BEMS事業をソリューション・ビジネスへのステップに位置付けています。単なる機器販売ではなく、運用まで含めたライフサイクル全般を引き受け、お客さまの省エネや電力費の削減を実現するとともに、BEMSから収集した多様なデータと当社のノウハウを活用し、新しい価値を提供していくこと。さらに、その先には地域の核となるスマート・コミュニティの形成にも貢献していきたいというビジョンを描いています」。

「中でも私たちが現在取り組んでいる主要なターゲットは、中小規模の施設です」と話すのは、イオンディライト設備管理事業本部 BEMSアグリゲータ事業推進部長 兼 小型チェーン店戦略部のマネージャーを務める清水大輔氏です。

「日本国内の省エネの実態を見ると、大型施設では対策が進んでいるのに対して、中小規模の施設は空洞化している状況です。投資負担が大きく、効果も見えにくいことから、導入が進みづらい状況にあるようです。今回、BEMS導入支援事業において、当社がBEMSアグリゲータの1社に採択されたことで、私たちのノウハウをより提供しやすくなりました。より多くの施設にBEMSを導入することでエネルギーの効率化という社会的な課題解決に貢献するとともに、施設運営や環境対策に関するお客さまのノンコア業務を一括してお引き受けするという意気込みを持って導入促進に臨んでいます」。

イオンディライトではBEMS事業の強化にあたり、どのような体制を組み、自社の事業領域をどう定義するか、検討を重ねました。

Transformation

互いの強みを活かすビジネス・モデルを採用

その結果、イオンディライトがBEMS事業を展開するにあたって出した結論は、協業のパートナーにIBMを選び、自身はBEMSの導入、エネルギー管理サービス契約・提供を行い、コンサルティングに専念するという方針でした。イオンディライトは総合FMSに関する高度なノウハウや技術力を持っていますが、現状ではそのかなりの部分を個々の人材に依存しているという課題があります。

「今後、本格的にBEMS事業を展開していく上では、属人化しているノウハウを全社共有化し、システムとして展開していく必要があります」と小林氏は説明します。 

「例えば、施設内の消費電力と空調の稼働状況、各テナントの営業状況などをリアルタイムに“見える化”し、総合的な判断から最適な制御を行うための業務プロセスやナレッジを標準化してシステムに実装しようとしています。しかし、そこで必須となる大量データの処理基盤を自分たちの手で構築し、効率良く運用していけるかというと、かなり難しいのが現実です。そこにIBMとの協業に対する大きな期待があり、IBM Service Delivery Platformによるデータ管理サービスの構築・運用、アプリケーション保守サービスをお願いすることになりました」(小林氏)。

清水氏も、IBMを選んだ理由について次のように続けます。

「お互いのビジネス・モデルが上手く噛み合ったことが、今回の協業に至った最大の要因です。当社としては、BEMSのサービス部分に全力を注ぎたい。逆に言えば、IT基盤の運用といった部分はその分野に長じているパートナーに任せて、安全・安心を確保したいという思いがあります。また、IBMはさまざまな機器メーカーに対して中立的な立場をとっていることに加え、大量データを運用するクラウドの実績、『北九州スマートコミュニティ創造事業』をはじめとする国内外でのスマーター・シティーへの取り組みなど、以前から大きな共感を持っており、パートナーはIBM以外にないと考えました」。

イオンディライトでは、当初、システム基盤もグループ内で内製化することを検討しましたが、事業の導入スピードや、施設に合った最適なBEMS選択に伴う接続やデータ仕様の共通化の問題解決をするためには、現時点では協業がベストな選択だと判断したといいます。

Benefits

使用電力量、ピーク電力の低減など、顧客の省エネとコスト削減に貢献

イオンディライトのBEMS事業は、順調な立ち上がりを見せています。

「補助金を受けられるという追い風もあり、2012年8月末の時点でトータル174棟のBEMS案件を受託することができました。イオングループの施設が10件、外販が164件という内訳です」と清水氏は話します。

このBEMS事業をさらに加速するにあたり、同社が前面に打ち出しているのが、「Ad-BEMS」と呼ばれるエネルギー管理支援サービスです。同サービスは、電力見える化、電力制御、監視サービス、レポート作成といった基本機能を備えるほか、付加価値サービスとして省エネ診断や省エネ設計・施工・効果分析などを提供するもので、施設の電力消費量をリアルタイムにモニタリングし、スマートな節電や省エネ、電力コストの削減を実現します。実質的にはまだ検証段階にありますが、「単月の電力使用量を10%削減できた、ピーク電力を20%抑えることができたといった報告も寄せられています」(清水氏)と、すでに定量的な成果もあらわれ始めています。

「お客さまにとって最善のサービスは、全く手間をかけることなく最大限のメリットを享受できるサービスです。そこで私たちは、煩雑な管理やコントロールのすべてを引き受け、Ad-BEMSの運用を通じてPDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルを回しながら、施設内のエネルギー効率を継続的に高めていきます。もちろん、こまめな室温の調整といったご要望を受けた際には即座に対応します。こうした姿勢を高く評価してくださるお客さまの声も聞かれるようになり、多様な施設の環境管理の現場から得た経験を今後のビジネスにも活かしていきたいと考えています」と小林氏は手応えを語ります。

 

将来の展望

総合スーパーを核としたエネルギー管理体制を構築

今後に向けてイオンディライトは、「2014年2月末までに、1,590棟の施設に対してBEMS導入を達成する」という具体的な目標を掲げています。 「この目標は経済産業省に対してコミットした数字でもあり、何としても達成すべく、全社を挙げて取り組んでいるところです。契約電力ベースで50万kW以上のBEMS導入を目指し、お客さまの節電支援を継続してサポートします。また、より電力消費量の少ない小型施設のお客さまにもご利用いただけるサービスのラインナップを拡充していくことが、BEMSの裾野を広げていく上での課題です」と清水氏は話します。 積極的なビジネス展開に伴い、同社のもとには中小規模のチェーン店舗や商業ビルはもちろん、自治体や学校法人、病院、工場など、業種を問わず、数多くの引き合いが寄せられている状況にあります。 そうした中でイオングループならではの強みを発揮していくことも、大きな目標の一つです。冒頭で紹介した「イオンのecoプロジェクト」とも関連し、同社は現在、イオンの総合スーパーを核としたエネルギー管理体制を構築し、各店舗を連携させたCEMS(コミュニティ・エネルギー管理システム)として発展させていく取り組みを開始しています。このインフラに地域の多様な施設のBEMSを連携させていくことで、これまでにない環境価値を持ったサービスを提供していける可能性が広がります。 「より多くの施設をスマート化し、それらの施設が有機的につながっていくことでスマート・コミュニティは実現すると考えており、“街づくり”のあらゆるプロセスとかかわりながらビジネスの領域を広げていくというのが私たちの目標です。現状で私たちが持っているノウハウや経験だけでは形にできない部分もまだまだたくさんあり、IBMとの協業を通じて多くのことを学ばせていただくとともに、私たちに新たな“気づき”を与えてくれるシステムの提案やサポートに期待しています」と小林氏。 イオンディライトは、スマート・コミュニティの形成という明確なビジョンのもと、その核となるBEMS事業を一歩一歩着実に進めています。

 

お客様の声

イオンディライト株式会社 環境事業本部 環境ソリューション部長 小林 雅弘氏

「大量データの処理基盤を自分たちの手で構築し、効率良く運用していけるかというと、かなり難しいのが現実です。そこにIBMとの協業に対する大きな期待があり、IBM Service Delivery Platformによるデータ管理サービスの構築・運用、アプリケーション保守サービスをお願いすることになりました」

イオンディライト株式会社 設備管理事業本部 BEMSアグリゲータ事業推進部長 兼 小型チェーン店戦略部 マネージャー 清水 大輔氏

「お互いのビジネス・モデルが上手く噛み合ったことが、今回の協業に至った最大の要因です。当社としては、BEMSのサービス部分に全力を注ぎたい。逆に言えば、IT基盤の運用といった部分はその分野に長じているパートナーに任せて、安全・安心を確保したいという思いがあります」

 

お客様情報

イオングループの総合ファシリティマネジメントサービス企業。総合ビルメンテナンスやバックオフィスサポートを中心とした多種多様なサービスメニューにより、顧客のアウトソースニーズに対してワンストップでサービスを提供している。2011年度省エネ大賞において、ビルメンテナンス会社の強みを活かした省エネ効果の最大化が評価され、最高賞の経済産業大臣賞を受賞した。

 

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