Business Challenge story

自社内での構築・運用を前提に運用性・可用性・パフォーマンス・集約率を重視

住友電工におけるIAサーバーの仮想化統合は、自社内で構築・運用することを前提に検討が進められました。ITは住友電工にとっての重要な技術基盤だからです。その上で今回の仮想化統合には、以下の4つの要件が掲げられました。

第一は、仮想化技術を積極的に活用することでシステム全体の運用性をできる限り高めていくことです。「例えば物理サーバーの負荷上昇やサーバー・ダウンが発生した場合には、ライブ・マイグレーションで仮想マシンを他のサーバーに移動する、といった対応が考えられます。これを容易に実現できることは必須条件です」と、住友電工 情報システム部 情報技術部 システム技術グループ グループ長の堀 正尚氏は言います。

第二は十分な可用性を確保することです。データ・バックアップやサーバー障害時のフェイルオーバー、災害発生時のディザスター・リカバリーの仕組みをきちんと作り込むことが求められました。

第三はサーバー統合を行っても十分なパフォーマンスを確保することです。特にデータ・バックアップ時の負荷が業務処理に影響を与えないことは、重要な要件となりました。

そして第四が高い集約率を実現できることです。実は住友電工のデータセンターは、すでにラック設置スペースや電源容量、空調容量などが限界に近づいていました。このため新規システムの追加が困難という問題を抱えていたのです。住友電工におけるIAサーバーの仮想化統合は、この問題を根本から解決する切り札としても、重要な意味を持っていたのです。

Transformation

事前にワークショップと実機検証を実施した上で50台分のIAサーバーを4台のx86サーバーに集約

住友電工がIAサーバーとストレージの仮想化統合に向けた検討を開始したのは2009年秋でした。仮想化技術に関する情報はそれまでも積極的に収集していましたが、この時点からさらに本格的なスタディーが始められたのです。2010年1月にはIBMが参画するワークショップによって、現在のシステムの課題と今後のロードマップを明確化します。そして2010年3~9月には、仮想環境を手軽に構築できるIBMのパッケージ製品を試験的に導入することで、実機検証が行われています。

「事前のワークショップと実機検証を行うことで、仮想環境の適切な構成や運用イメージが明確になりました」と奈良橋氏。住友電工とIBMはすでに20年にわたるお付き合いがありますが、住友電工側の要望に対するIBMの迅速な対応や強力なサポート体制、住友電工の状況への深い理解は、これまでも高く評価されていたと言います。「今回も導入決定前から私どものニーズにきめ細かく応えていただきました」(奈良橋氏)。

2010年9月には導入する機器構成を決定。同年11月~2011年1月にかけて50台分のIAサーバーを対象にした仮想化統合環境が構築されています。

今回構築されたシステムは、業務サービスを提供する部分(サービス・サイト)と、災害対策を行う部分(DRサイト)で構成されています。サービス・サイトにはIBM System x3690 X5×4台とIBM System Storage N3400が導入され、この上で50台分のサーバーの仮想マシンが稼働しています。またデータ・バックアップ用としてIBM System Storage N3300も設置されており、15分間隔のrsyncでデータ・コピーが行われています。DRサイトには、IBM System x3690 X5×1台とIBM System Storage N3300が導入されており、サービス・サイトのバックアップ用ストレージから、15分間隔のSnapMirrorによってデータ同期が行われています。

Benefits

70%以上の省電力効果と運用負荷の軽減に期待。占有スペースの縮小で空間の活用幅も拡大

今回の仮想化統合によって、サーバーの台数は大幅に削減されました。サービス・サイト側では50台のサーバーが4台に集約されているのです。これに伴いラック占有スペースも大幅に削減されています。データセンターのスペースに余裕ができたことで、これまで設置できなかったシステムも、そこに集約可能になると期待されています。また空きスペースを他の用途に活用することも検討されています。消費電力も削減されました。現在の試算では70%以上の省電力効果があると見込まれています。ファシリティー・コストも削減されており、その効果も70%に達すると評価されています。

サーバー台数の削減は、運用負荷の軽減という効果ももたらしています。またサーバーの仮想化によって、サービス配置の自由度も高まりました。サーバー立ち上げに要する時間も短縮されています。「従来であればサーバー発注からサーバー立ち上げ完了まで約1カ月かかっていましたが、現在ではたった3日で完了できます」(堀氏)。

さらに運用手順の標準化にも道を開いています。住友電工ではビジネス継続性確保のため、重要なシステムはこれまでもDRサイトによるバックアップが行われていました。そしてその投資効率を高めるため、DRサイトは以前から仮想マシンによって運用されていました。しかし従来のサービス・サイトは物理サーバーで運用されていたため、サービス・サイトとDRサイトとの運用形態は大きく異なっていました。今回の仮想化統合によって、この2つのサイトの運用を統合することが可能になったのです。

 

将来の展望

今回構築したシステムを基準構成に今後5年間で650~750台を仮想化統合

今回はリース期限が終了したIAサーバーを対象に、50台分の仮想化統合が実施されました。住友電工では今後も段階的に仮想化統合を進め、5年間で650~750台分のサーバーを仮想化統合し、クラウド化を推進する計画です。「今回構築したシステムは、今後進めていく仮想化統合において、ひとつの基準構成となります」と奈良橋氏は言います。「IBMにはこれからもよきパートナーとして、住友電工におけるITへの取り組みに参画してほしいと考えています」。

 

お客様の声

住友電気工業株式会社 情報システム部長 奈良橋 三郎氏

「事前のワークショップと実機検証を行うことで、仮想環境の適切な構成や運用イメージが明確になりました。きめ細やかな対応力も高く評価しています」

住友電気工業株式会社 情報システム部 情報技術部 システム技術グループ グループ長 堀 正尚氏

「従来であれば、サーバーの発注からサーバー立ち上げ完了まで約1カ月かかっていましたが、現在ではたったの3日で完了することができます」

 

お客様情報

1897(明治30)年4月、銅製品の製造企業として創業。裸銅線の製造技術を基に電線分野における幅広い製品を開発する一方、電線の伸縮技術を応用した多様な製品の開発へと事業を拡大。現在では自動車、情報通信、エレクトロニクス、電線・機材、エネルギー、素材産業の5事業を手がけています。2008年度には、2012年度に連結売上高3兆円、ROA10%を数値目標とする中期経営計画「12 VISION」をスタート。400年の歴史をもつ住友の伝統精神を脈々と受け継ぐ「Glorious Excellent Company」として、快適な暮らしと豊かな社会を支え続けています。

 

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