Business Challenge story

より高い付加価値を生み出す行政サービスを推進

草加市は昭和53年に全国に先駆けて行政改革を実施するなど、先進的な取り組みを積極的に推進してきました。現在の市政の方向性について、副市長の中村 卓氏は以下のように説明します。

「草加市は古くから行政改革に着手し、数々の成果を挙げ、市民の方々の意識も変わってきました。しかし、行政改革はあくまでも手段であり、目的は市民生活を豊かにすることにあります。そこで、行政改革はこれまで通り推進しつつ、文化、観光などの分野により注力し、行政サービスに付加価値を生み出すための取り組みを推進しています」。

草加市では、ITについても積極的に活用を推進し、業務の効率化などに役立ててきましたが、より地域の豊かさにつながるようなIT活用方法についての検討が進められてきました。総合政策部 部長 檜垣 昌司氏はその検討内容について語ります。

「例えば2013年度の草加市の予算では社会保障費が41%を占めています。このような財政状況の中で新たに付加価値を生み出すような事業に割り当てられる予算には限度があります。従来は経験と勘を頼りに提案されたさまざまな取り組みの優先順位を決めていましたが、人によってはその優先順位に納得していただけないケースが出てきてしまいます。そこで市が保有するさまざまな情報をIT活用によって分析し、その結果を根拠に優先順位を決めるようにすれば客観的な説明が可能になり、より人々に納得してもらいやすくなるのではないかということになったのです」。

また総合政策部副部長 兼 総合政策課長 小林 勝治氏は行政の説明責任についてさらに詳しく述べます。

「説明責任は市民に対して行うことはもちろん、議会に対しても必要になります。その際、『前例を踏襲する』ということだけを根拠にしていては説得力に欠け、意見が分かれてしまいます。ITを活用した客観的な根拠を示すことができるようになれば高いレベルで説明責任が果たせるようになると思いますので、より充実した市民サービスの実現につながると期待しています」。

草加市ではデータそのものはこれまでも大量に蓄積してきましたが、それらが十分に活用されてはいなかったと地域経営室 室長 小中 一郎 氏は言います。

「税金や社会保障などの管理は以前からIT化されていますので、さまざまなデータが蓄積されていますが、それらのデータは十分に活用されずに、いわば眠っている状態にありました。そこでデータ・マイニングの手法で掘り起こす、あるいは一見関係性の薄いと思われるデータ同士をつなげるなどの手法を駆使することによって草加市が抱えている課題や問題点を浮き彫りにできるのではないかと考えました」。

Transformation

IBM SPSSを導入し、膨大なデータの分析に着手

草加市での分析に基づく情報活用の新しい試みは2011年4月から検討が開始。2012年には分析ツールの選定が行われ、SPSS Statisticsの導入が決定しました。選定の理由について、地域経営室 室長補佐 赤澤 武志氏は次のように説明します。

「当初はExcelを使っていましたが、SPSS Statisticsを試す機会があり実際に使ってみたところ、処理の速さに非常に驚きました。これだけのパフォーマンスがあるのであれば導入する価値は大きいと思い、採用を決定しました。まずは一部の部署で導入し、ほかのさまざまな部署のメンバーにも試してみてもらうことで理解を促しながら広めていきたいと考えました。またさまざまな解説書が入手可能なことも大きなメリットだと思います」。

SPSS Statisticsは統計解析の初心者からプロまでが利用可能なスタンダード・ツールで、アンケート・データをはじめ、顧客購買データ、医療データなど、「人」に関するさまざまなデータを手軽に分析することが可能です。

SPSS Statisticsは2012年10月に導入され、その後実際にスタッフが使ってみることでそのメリットが確認されました。地域経営室 主任 北條 博隆氏はその際の感想を以下のように語ります。

「まずは処理スピードに驚きました。それまではExcelを使っていましたが、それよりも格段に速いということが確認できました。また初心者であっても簡単に使えることも大きなメリットです。しかも多彩なツールが用意されているので、さまざまな角度から手軽に分析することが可能です」。

SPSS Statisticsを使うことでデータ分析・活用の可能性を確認できた草加市では、2013年2月にまとめた草加市地域経営指針の中に「マーケティング手法・統計的分析手法の導入検討」という項目を盛り込み、明確な指針として打ち出しました。

Benefits

SPSS Modelerを活用により高度な分析を手軽に実現

SPSS Statisticsを活用していた草加市では、より高度な分析を実現するため、2013年4月にはSPSS Modelerの導入を決定しました。 「草加市には膨大な行政データがありましたので、これを有効に活用するためには、より高度な分析ツールが必要でした。SPSS Modelerであれば大量のデータにも対応可能で、しかも直感的に操作可能なインターフェースが装備されているので、誰もが手軽に使えることも大きな魅力でした」(赤澤氏)。

SPSS Modelerは国内シェアトップの実績を誇るデータ・マイニング・ツールで、分かりやすいインターフェースを通じて高度な分析機能を駆使することが可能です。大規模なデータセット使用時にモデルの安定性と正確性を高めるため、ブースティングやバギングなどの最適化技術が採用されているので、あらゆるデータからパターンや傾向を素早く発見できます。草加市ではSPSS Modelerを駆使しながら、データ分析の可能性をさまざまな角度から検証しています。例えば、これからの高齢社会を考える場合、要介護の対象になっていない高齢者の方々が健康を維持するための取り組みが必要になってきます。その取り組み方法として、これまでは健康維持のための教室案内などを一律に送付していました。しかし、高齢者の状況は一人一人で異なります。より効果的なケアを実施するためには、そうした個別のニーズに即したサービスを提供する必要があります。

そのため、要介護対象者以外の高齢者のアンケート結果を分析し、介護が必要になりそうな方々、あるいは予防が必要な方々について年齢別、地域別の傾向を把握することにより詳細なターゲティングを行い、より効果的なケアに結び付けることを検討しています。

あるいは消防に関連するデータの分析も検討されています。119番通報を受け、救急車が出動してから救急の現場に到着するまでの時間を分析しています。

また、傷病状況について、高齢者か子どもか、またどういった地域かなど把握すれば、より適切な救急活動に活用できるようになり、それが救命率を高めることにつながります。これらのデータ分析により、草加市が目指している6分以内での到着が実現できるよう比較検討を行うことが可能になります。 こうした分析を試みることで、新たな情報活用の可能性を見いだすこともあると北條氏は言います。

「ツールのトレーニングも含め日本IBMの方々の協力を得ながら分析を試みていますが、ツールを使えば使うほど新しい発見があります。まだすべての機能を把握していませんが、楽しくデータと向き合うことができます。こうした試行錯誤を繰り返すことによって、有効な市民サービスにつながるような結果が得られれば素晴らしいと思っています」。

こうした分析情報の活用方法については、赤澤氏は以下のように説明します。

「分析結果については、可能なものを公開して市民の方々と共有しながら同じ土俵でまちづくりに生かしていきたいと思っています。草加市の中ではさまざまな団体がまちづくりの活動を展開していますが、そうした活動の土台となるような情報提供ができたら有効な情報活用につながるのではないでしょうか。そのための取り組みの1つとして、専用のFacebookを立ち上げ実験的に検証を進めています」。

市が保有する情報には個人情報にかかわるものも多いので、草加市ではそこに対しても入念に配慮しています。草加市情報化指針に基づいた適正な管理すること、あるいは個人情報保護の審議会の制度に沿って可能な範囲での情報活用を行います。

「分析結果を公開する際に個人情報に該当するものを除外することはもちろんですが、処理の段階でも住所や氏名など分析に必要のない情報を削除したデータを使うようにする方針です。その分析結果として個人情報とは関係のない情報を基にした傾向や予測を公開していきます」(小中氏)。

「マイナンバー制度などの関連もあり、個人情報保護に対する要求はこれまで以上に高まると思います。それに応じて職員の意識も高めていく必要もあるので、研修などの取り組みを強化し、人的側面からも個人情報保護の対策を進めていきたいと考えています」(檜垣氏)。

 

将来の展望

より充実した市民サービスの実現を目指して

今後の展望について中村氏は以下のように語ります。

「地域のデータとしては、国勢調査、市民アンケートなどさまざまなものがありますが、市民の意識も含めた地域全体のデータを分析し、市民の世代構成や就労者数、所得状況、税収などの将来像、あるいは市民のニーズや課題がどのように変化していくかを予測し、それを政策と結び付けることが重要だと思っています。地方行政は全国均一ではなく、草加市には固有の特徴があります。例えば草加市は転入転出が多いので、どのような方が出入りしているのかを分析することで人口動態を把握することができます。こうした情報は税収や医療、介護などのニーズにも関連します。既存のデータを組み合わせるだけでも大きな成果が見込まれますのでこれを最大限に生かしていきたいと思います。またさまざまなデータを組み合わせることは、組織をまたがった情報を横串で検証することにつながります。このように全体を見ることでどのような取り組みが必要なのかが分かってきます。そしてより充実した市民サービスの実現に向けて尽力していきたいと思っています」。

草加市の先進的なチャレンジはまだスタートしたばかりですが、今後も有効な情報活用を推進し、豊かなまちづくりを実現していくでしょう。

 

お客様の声

“さまざまな情報を有効に活用し、草加市全体を検証することでどのような取り組みが必要なのかが分かってきます。そしてより充実した市民サービスの実現に向けて尽力していきたいと思っています。”

草加市副市長

中村 卓 氏

 

“個人情報保護に対する要求の高まりに応じて職員の意識も高めていく必要もあるので、研修などの取り組みを強化し、人的側面からも個人情報保護の対策を進めていきたいと考えています”

草加市 総合政策部 部長

檜垣 昌司 氏

 

“どの政策を優先するのかを決める際、ITを活用した客観的な根拠を示すことができるようになれば高いレベルで説明責任が果たせるようになると思います。”

草加市 総合政策部副部長 兼 総合政策課長

小林 勝治 氏

 

“データ・マイニングの手法で眠っていたデータを掘り起こす、あるいは関係性の薄いと思われるデータをつなげることによって草加市が抱えている課題や問題点を浮き彫りにできるでしょう。”

草加市 地域経営室 室長

小中 一郎 氏

 

“IBM SPSS Modelerであれば大量のデータにも対応可能で、しかも直感的に操作可能なインターフェースが装備されているので、誰もが手軽に使えることは大きな魅力です。”

草加市 地域経営室 室長補佐

赤澤 武志 氏

 

“SPSSは使えば使うほど新しい発見があります。こうした試行錯誤を繰り返すことによって、有効な市民サービスにつながるような結果が得られれば素晴らしいと思っています。”

草加市 地域経営室 主任

北篠 博隆 氏

 

お客様情報

埼玉県東南部に位置し、東京近郊という立地条件にある草加市は、南北に流れる綾瀬川や日光街道沿いの松並木、そうか公園など豊かな自然に恵まれています。1606年には日光街道の第二の宿駅として整備が着手され、松尾芭蕉の紀行文「おくのほそ道」にもその名が登場。市内では、全国に知られた草加せんべいをはじめ、皮革、浴衣染めといった特色ある伝統産業が受け継がれ、産業とくらしが調和したまちとなっています。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

 

製品・サービス・技術 情報

当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。

ソフトウェア

IBM SPSS Modeler, IBM SPSS Statistics

ソリューション

SPSS Modeler, SPSS Statistics, Govt: Government, Central/Federal Transformation

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud
    • Govt: Government, Central/Federal Transformation
    • SPSS Modeler
    • SPSS Statistics