IBMにおける、SAPビジネスの価値とは (上)

今回は、日本IBMコンサルティング事業本部 ビジネス・トランスフォーメーション・サービス事業部にて、パートナーとして活躍する後藤 哲二さんのインタビュー記事をお届けします。

まず、後藤さんがリードするSAPプラクティスの事業内容について、教えてください。

私がリードするSAPプラクティス事業は、Enterprise Resources Planning(以下略称: ERP)ソフトウェアの最大手であるSAP社のソフトウェアおよびソリューションを用いて、お客様の「経営、業務の効率化」や「経営の意思決定の迅速化」を支援する事業です。

多岐にわたるSAPソリューションの専門家集団として、深い知識と経験をも保有し、構想策定からシステム構築・導入、運用保守までのEnd to Endでのコンサルティング・サービスおよびテクノロジーソリューションを提供しています。
 

SAPビジネスは活気な状況が続いており、他のERPパッケージと比較しても、SAPのシェアは高いですよね。

SAPビジネスを取り巻く環境をどう捉えていますか。

元々SAP社は、元IBM社員がドイツでスピンアウトして、創業しました。
R/2、R/3時代から、SAP社は監査法人と組んで、このERPの仕組みを作ってきた歴史があります。そのため、SAP社は、監査法人系のコンサルティングファームと組んで、監査に耐える仕組みを作ってきたという歴史が強いように思います。

SAPは、パッケージであるが故に、パートナー企業同士が共創する市場環境を作り上げてきました。

その結果、大手企業を中心に、SAPのシェア率が高い状態になり、それをベースとして、バージョンアップや拡張していくという流れが今、来ているのではないかと思います。
 

そのようなSAPシェア率が高い状況の中で、IBMは、どのようなサービスをお客様へ提案し、ご評価いただいているのでしょうか。

業務改革をする中で、IT技術を使い倒せていないことを課題として抱えているお客様が多いです。
IBMコンサルティングは、サービス軸と業界軸、そして「ストラテジック・パートナーシップ」の3つの軸でお客様へ支援することを明確に打ち出しています。

このパートナーシップとは、SAP、AWS、Salesforce、Microsoftなどのパートナー企業様との連携を指します。

IBMがお客様のSAPソリューション導入を担当させていただく場合でも、ソフトウェアベンダーとして、SAP社からのサポートも必要です。

IBMとSAP社が別々の「点」として動くのではなく、「面」として一体となり、支援することによって、本来の経営課題を解決できる仕組みづくりをご支援できるようになります。

AWSやMicrosoftといったハイパスケーラーである、他パートナー企業様とも同様の考え方で、エコシステムを最大活用して、お客様への支援を取り組んでいます。

また、これからのSAP領域においては、たとえば自動納期回答や複雑な売価計算を始めとする領域にて、AIを活用していき、あらゆる業務範囲を効率化していくことを目指していきます。

前回のブログで、同じ事業部をリードする役員陣が、AI for ITとAI for Businessについても共有させていただきましたが、SAP領域にも、このAI for ITとAI for Businessの両方を導入し始めています。

まず、AI for Businessでは、SAP社が生成AIアシスタントをアプリケーションに組み込み、提供を開始しました。

アプリケーション全体に組み込まれるのは、もう少し先ですが、これによって、お客様がさらに効率良く業務をこなせるだけではなく、より良い意思決定に繋がり、洞察に満ちた適切な回答が得られるようになることを期待しています。
 

先日、IBMは、SAP社からもアワードを受賞しました。

こうした強固なパートナーシップが、ご評価にも繋がったのでしょうか。

先日、SAPジャパン社が開催した、SAP AWARD OF EXCELLENCE 2024にて「プロジェクトアワード」を受賞、またConcur社が開催した、Concur Japan Partner Award 2024では「最優秀パートナーアワード」を表彰いただきました。
これは、IBMの品質高いデリバリー力によって、プロジェクトを成功に導いたことを評価いただいたと感じています。

また、SAP AWARD OF EXCELLENCE 2024では、「ザ・トップ・クラウドリニューアル・パートナー・アワード」も受賞しました。

通常、お客様が新規でSAPライセンスを購入する際には、3~5年の契約を締結され、契約終了後に延長いただけるかどうかの指標をリニューアルと呼びます。

SAP社は、お客様に対して、製品の売り切りではなく、長く製品を使用していただくことをビジネスの軸として重きを置いています。

リニューアルアワードを受賞するということは、IBMがリードする案件で着実にリニューアルを実施していただけており、SAP社とIBMが強固なパートナーシップを築けていることを意味します。

また、IBM社内の実績としても、日本がIBMグローバル全体のビジネスを牽引しています。

最近では、「リージョン・オブ・ザ・イヤー」というグローバル全体のSAP領域におけるビジネスの表彰をIBM社内で受けました。
グローバルからも見ても、日本のSAPチームを評価いただいていますので、今後も日本への投資を増やしていく動きがあります。
 

日本でリードしている、グローバル案件の事例は何かありますか。

現在抱えている案件の一例として、大手グローバル自動車部品メーカー様の海外案件があります。

日本で企画構想し、SAP S/4 HANAを順次海外導入するため、IBMコンサルティングがグローバルプロジェクトとして支援をしています。

その他、調達、経費精算、人事管理システムを入れて、お客様業務の一部をBPOという形でアウトソースして引き取るというビジネスも担当していますね。

IBMが提供するサービスメニューの豊富さやグローバルとの連携があるからこそ、提案できるモデルケースだと思います。
 

こうしたグローバル案件に参画できる機会は、社内でどれくらいあるのでしょうか。

まず、IBMがグローバルカンパニーであることから、グローバル対応を求めてるお客様からのご要望が多くあります。
こうしたご要望の中で、社員がグローバルプロジェクトに参画する機会はたくさんあると思います。

日本のSAPビジネスは、海外のビジネスを牽引しています。

そのため、グローバル案件であっても、日本主導で実施する機会もあり、他国との連携をリードしながら、プロジェクトを進める経験も可能です。
プロジェクトを遂行する上で、英語力は必要になりますが、チャレンジしたいという気持ちと努力があれば、誰でも手を挙げて、参画の意思表示をし、チャンスを掴むことができる環境というのがIBMの良さだと思います。グローバルプロジェクトに参画をしたいという社員にとっては、とても良い環境だと思うので、グローバルプロジェクトにチャレンジしたいという方は、IBMでチャレンジしていただきたいなと思います。
 

グローバル案件の参画機会以外では、他にどのような点がSAPチームの強みとしてお伝えできますか。

まず、コンサルティング事業部内の横の連携が強みとして、お伝えできます。

各領域に、専門知識を持つリーダーがいるので、そのリーダーを中心に、領域別に情報収集の場やチェック機能の仕組みがあります。

これは、大規模組織だとなかなか実現が難しい仕組みですが、IBMには、 デリバリーエクセレンスやリスクマネジメントを高めるために、社内でレビューします。

こうしたチェック機能を始め、プロジェクトの管理手法や推進能力の高さが、お客様からのご評価に繋がっていると感じます。

様々な経験に裏付けされた、品質の高いデリバリー手法を提供できるのは、IBMの強みですね。
 

IBMでのSAPビジネスのやりがいとは何でしょうか。

お客様が目指す未来に向けて、新しい取組みを行い、大きな仕掛けを提案することができるというのは、1つのやりがいだと思います。

IBMは、突発的に対応する便利屋として提案をするのではなく、「中長期的な視野を踏まえ、お客様が目指す未来の実現に向けて、一緒に変革を起こしていく」というために、提案をします。
こうした提案を進めるにあたり、グローバルの事例活用が豊富である点も大きいと思います。

グローバルの最新の成功事例をお客様に紹介し、活用しながらデリバリーできる仕組みがあってこそできるのは、IBMならではだと思います。

略歴:

後藤 哲二
パートナー
コンサルティング事業本部 成長戦略統括事業部
SAP Practiceリーダー

1996年プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社に入社し、基幹業務を中心とした業務改革コンサルティングおよびシステム化構想から導入までを多数支援。
2002年日本アイ・ビー・エム株式会社へ入社。
SCM領域を専門領域として、製造業、流通業を中心に多くのSAPプロジェクトを成功裏に導入。
2019年からSAPプラクティス・リーダーとして、多数のSAP導入プロジェクトを支援。

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