デジタルでサプライ・チェーンを完成させる

製造業には、プロセスや通信の技術的進歩による変更や改革の歴史があります。現在は、業界内で最も成長を遂げている主要企業がAI、ブロックチェーン、モノのインターネット（IoT）を活用する新しいソリューションを利用して、製造業のサプライ・チェーンと関連の輸送と物流を変革しています。バリュー・チェーン全体にわたる紙媒体への依存と各種システム間での不調和をこのような新しい技術で解決して輸送と物流の透明度を高めることで、輸送ミスや遅延を削減し、低減し、最終的にはすべて解消できるようになります。

グローバル経済においては、物流の中断は、それがアップストリームのサプライ・チェーンであるか、ダウンストリームの配送であるかに関わらず、ビジネスに損害を与える可能性があります。部品出荷の遅延は、製造計画に混乱をもたらし、顧客や他の製品ラインに至るまで悪影響を及ぼすことがあります。物流ネットワーク内のエラー、機器の故障、部品の不足、通関港または国境検問所における税関の遅延、悪天候、さらには政治的混乱でさえも工場の生産現場に連鎖反応を引き起こす可能性があります。これは、ビジネスのエコシステム全体にも影響を与えることがあります。

AIに基づいたデータと分析機能を備えた高度な物流管理プログラムのおかげで、前述の製造業者は出荷遅延の可能性について前日に通知を受けており、解決策に着手することで、先手を打って中断を回避できました。とはいえこのより優れたシステムですら、当初はお客様からの厳しい精査を経て確実に信頼を得なければ構築することもできませんでした。

今では、産業分野における大半の企業が、プロセスおよび運用からの情報が障害からの保護と生産効率の向上に役立つということを認識しています。例えば、Frost & Sullivanは、2025年までに世界的な自動車工場のうちの平均で35%が「スマート・ファクトリー」になると予測しています。¹これは、自動車OEMメーカーが、収益の8%から10%をこうした新しい設備や設備のアップグレードに費やさなければならなくなることを意味しています。

85%を超える最高サプライ・チェーン責任者が、もはやこうした中断やリスクを予測して事前対応型の管理を行うことは極めて難しいと述べています。²

「出荷の保留」メッセージが届いたが、その理由がわからない。よくあることですが、多くの企業にとってはまさに悪夢です。

トラブルの背景にある原因を取り除くテクノロジーや、出荷プロセス全体のトレーサビリティーと透明性を提供するテクノロジーを利用できれば、多くの企業にとって理想的です。自動化によって保留の理由に関する疑問への回答を即時に得られ、速やかに解決策が提供されれば、さらに理想的です。サプライ・チェーン・プロセスにおいては、ブロックチェーンがこうした課題に対する答えです。

サプライ・チェーン・プロセスの多くの側面は同じように見えますが、ブロックチェーンを使用すると、結果が大きく変わります。上記のシナリオでは、部品のサプライヤーによる国際発送向けの製品の準備が整ったら、出荷がブロックチェーンに追加されます。コンテナが港まで輸送されるのを待つ間に、職員が承認を電子的に申請します。ブロックチェーンは取引を確認し、スマート・コントラクトを自己締結し、出荷を許可します。コンテナは船舶に積み込まれ、輸送されます。すべての関係者に、コンテナがサプライ・チェーンを進んでいく際のエンドツーエンドの可視性が提供されます。コンテナは目的港に到着し、税関を通過します。予定通りに部品を受け取ったら、電子的に署名します。こうして、出荷保留の危機が回避されるのです。

国際貿易貨物の90%を海上貨物輸送業が占めていますが、輸送はデジタル化されたことのない大量の書類仕事に依然として大きく依存しています。³ サプライ・チェーン内の手作業による非効率的なプロセスは、企業や企業の顧客が大きな損害を被る悲惨な結果を伴う大幅な遅延やミスにつながる可能性があります。業界全体の現状としては、プラットフォーム、システム、作業指示などは、依然として古いサイロにしっかりと固定されたままになっています。例をあげると、運送会社が港や生産業者とは異なるERPシステムを使用しているというケースもあるでしょう。それぞれの参加者が異なるデータベース構造や用語を使用したり、異なる詳細レベルで記録を取得したりしている場合もあります。スプレッドシートや紙ベースの記録管理は、依然として供給と物流の多くの場面で目にします。このため、関係者が取引相手にEメールでスプレッドシートを送信するとすぐに、その情報は既に古いものになり、追跡、確認、保護が難しくなります。

ブロックチェーンはサプライ・チェーンにおける複数関係者の信頼性、透明性、トレーサビリティーを備えた可視性をもたらしますが、それでもなお基幹業務のユーザーはサプライ・チェーンのデータへのアクセスと解釈に苦労しています。このため、新しいテクノロジーがどのようにビジネス・ネットワークをモダナイズし、サプライ・チェーンのデータを活用できるようにして、より良い顧客体験をもたらすのかを理解することが重要です。

物流の問題から生じる可能性のある大規模な中断は、上記のシナリオを最優先事項にします。産業市場の主要な調査によると、84%の最高情報セキュリティー責任者が、サプライ・チェーン全体にわたる「可視性の欠如」が現在直面している「最大の課題」であると述べています。⁴ 長い間、デジタル・ビジネス・ネットワークの使命は、大量のビジネス・データを1つの企業から別の企業に安全に転送することでした。注文書、送り状、出荷明細などは、供給チャネルや物流チャネルを介してサプライヤーから顧客に移動する必要があります。そうしたデータのボリュームは、産業分野においては特に膨大です。情報の電子的な送信は、手動によるビジネス情報の収集、送信、カタログへの取り込み、対応に関連する時間と間違いを大幅に削減します。ビジネス・データの電子的な送信はテクノロジーが普及し始めたころからありましたが、ここ数十年でこの市場に大きな発展は見られませんでした。送信されるデータは通常、未加工の形式のままであり、この情報を使用するユーザーはそれを理解できる技術的な専門家を必要とします。

	基幹業務ユーザーが理解および使用できる形式で、必要なデータに直接アクセスできるようにします。
	技術チームがデータの解釈、レポートの実行、特定のデータに関連する質問への回答をするのに無関係なステップを削減し、最終的にはすべて廃止します。
	支払い、送り状、注文書、部品表、貨物輸送、その他のビジネス情報に関連した顧客または社内の利害関係者への対応のための時間を短縮し、精度を高めます。
	特定の取引のライフサイクル内での関連する送り状または支払いや、取引全体にわたる注文書の表示といった「全体像」レベルでのレポート作成と分析ができるようにします。
	注文書の受信確認、自動化された契約書の記入時刻、配送情報のようなタイムリーなイベントに対する即時の可視性を顧客とサプライヤーに提供することにより、企業の枠を超えたメリットの拡大を実現します。
	予測に基づく洞察や異常検出といった、ビジネス・データの全容の理解によって得られるさらなるメリットのために、分析機能と人工知能を提供します。
	自動化された注文書の受信確認を使用して問題やチャージバックを削減し、事前に配送通知を作成する時間を数時間から数分に短縮することによってビジネス評価指標を改善します。
	マネージド・サービスを使用して、社内でのソリューションの構築にかかる資本コストを削減し、さらにクラウドを活用することで、長期のソフトウェア・コストを削減します。

既存データへのより良いアクセスと洞察が、サプライ・チェーンの複雑さの軽減に役立ちます。

IBMは、既存データに対する理解を深め、サプライ・チェーン全体にわたるより明確な可視性を提供し、取引とプロセスにおける信頼を構築し、卓越した顧客体験を提供し、新規市場と新規収益源における成長をサポートすることによって、お客様のビジネスの変革を支援するダイナミックなソリューションを提供します。サプライ・チェーンのデジタル革命にご参加ください。

サプライ・チェーンの変革を開始する方法について詳しくは、Frost & Sullivanのホワイト・ペーパーをお読みください。