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IBM 100年の軌跡
 

IBM PC

パーソナル・コンピューティングの発展
 

IBM パーソナル・コンピューターの設計チームは、非常にタイトな期限を言い渡されていました。たった1年でまったく新しいマイクロコンピューターを設計し、生産しなければならないのです。この任務を達成するため、チームはこれまでにないアプローチでコンピューターを構築する必要がありました。

パーツの統合

開発チームは、時間を節約するために、主に既存のコンポーネントを使って新しいマシンを構築することにしました。システムのおよそ半分はIBM システム/23 データマスターのコンポーネントで構成しました(IBM システム/23 データマスターはPCリリースのわずか1カ月前にリリースされました)。拡張バス、ディスプレイ、モニター、BIOS、フロッピー・インターフェース、キーボードは、データマスターとPCとで同じものを使用しています。システムの残りのコンポーネントのほとんどは、他社の既製品で構成しました。これには、フロッピー・ドライブ、ソフトウェア、ROM-BASIC、Intelプロセッサーなどが含まれます。

PCは手軽に利用できるコンポーネントを使って設計されているため、複製も容易でした。BIOS(基本入出力システム)だけはPCの専有コンポーネントでしたが、他社はじきにIBM BIOSはリバース・エンジニアリングが可能だと判断し、クリーン・ルーム方式の設計によって独自のBIOSを作成しました。IBM PC用のソフトウェアがますます開発されるようになるにしたがい、他のコンピューター・メーカーは同じプログラムを使用できるマシンの開発を開始し、IBM互換機が大量に増産されるようになりました。現在市場に並んでいるマイクロコンピューターの大半は、これらのマシンの子孫です。

新たな産業の誕生

ドン・エストリッジがIBM パーソナル・コンピューターのリリース時にその仕様を公開したため、他のメーカーは周辺コンポーネントや互換ソフトウェアを生産して販売することができました。これが、ソフトウェア産業の誕生へとつながりました。オペレーティング・システムPC-DOSをIBM PCに提供したマイクロソフト社は、MS-DOSというバージョンをIBM互換機の販売元を始めとする他のコンピューター・メーカーに販売しました。また、マイクロソフト社や他のソフトウェア会社はワード処理、会計処理、プロジェクト管理、CAD、その他さまざまなアプリケーション・ソフトウェアの開発を開始しました。2011年までに、ソフトウェア産業は3千億米ドル規模の産業に成長していました。