QDIO インバウンド・ワークロード・キューイング
OSA-Express®3 またはそれ以降の機構は、インバウンド・パケットを異なるワークロード・タイプごとに別々の処理キューに配置することによって、ある程度のトラフィック・ソートを実行することができます。この機能は、QDIO インバウンド・ワークロード・キューイング (IWQ) と呼ばれます。OSA-Express 機構によって既にソートされたインバウンド・トラフィック・ストリームを使用することにより、z/OS® Communications Server は以下のパフォーマンス最適化を提供します。
- サービス中のさまざまなワークロードの待ち時間要求に一致する、読み取り側の割り込み頻度のより適切なチューニング
- マルチプロセッサー・スケーラビリティーの改善。複数の OSA-Express 入力キューにより効率的な並行処理が行えるようになりました。
QDIO IWQ が有効になっていると、z/OS Communications Server および OSA-Express 機構は、インバウンド・トラフィックに対して、1 次入力キューと 1 つ以上の補助入力キュー (AIQ) (それぞれ固有の読み取りキュー ID (QID) を持つ) を確立します。z/OS Communications Server と OSA-Express 機構は、以下の方法で協調的に複数のキューを使用します。
- OSA-Express 機構が、シスプレックス・ディストリビューターによって転送されるインバウンド・パケット (このインターフェースで受信されたもの) をシスプレックス・ディストリビューター AIQ に送信します。 次に z/OS Communications Server が、特にマルチプロセッサーを使用してシスプレックス・ディストリビューター・トラフィックを他のキュー上のトラフィックと並行して処理することで、シスプレックス・ディストリビューター・キュー用に処理を調整します。
- TCP レイヤーは、バルク・データ形式 (FTP データ接続など) で動作している接続を自動的に検出します。そしてこれらの接続は、バルク・モード接続として受信側の OSA-Express 機構に登録されます。次に OSA-Express 機構が、登録されたすべてのバルク・モード接続のインバウンド・パケット (このインターフェースで受信されたもの) を TCP バルク・データ AIQ に送信します。 z/OS Communications Server が、特にマルチプロセッサーにおいて順次パケット配信を向上させることにより、バルク・キューの処理を調整します。 この結果、CPU 消費やスループットが良くなる可能性があります。 他の AIQ と同様に、バルク・キューにあるデータは、他のキューのトラフィックと並行に処理することができます。
- OSA-Express 機構は、インバウンド Enterprise Extender パケット (このインターフェースで受信された) を Enterprise Extender AIQ に送信します。これにより、z/OS Communications Server が、Enterprise Extender キュー上のインバウンド・トラフィックを、このインターフェースの他のキュー上のインバウンド・トラフィックと並行して処理できるようになります。
- OSA-Express 機構は、このインターフェースで受信されたインバウンド AH パケット、ESP パケット、および UDP カプセル化 ESP パケットを IPSec AIQ に送信します。これにより、z/OS Communications Server が、IPSec キュー上のインバウンド・トラフィックを、このインターフェースの他のキュー上のインバウンド・トラフィックと並行して処理できるようになります。
- パケットが AIQ に送信されない場合、OSA-Express 機構はパケットを 1 次入力キューに送信します。
要件: QDIO IWQ は、IBM® System z10 GA3 以降のサーバーで稼働する、QDIO モードの OSA-Express3 以降のイーサネット機構に制限されます。
詳しくは、2097DEVICE、2098DEVICE、または 2817DEVICE の各予防サービス計画 (PSP) バケットを、必要に応じて参照してください。
要件: IPSec 用 QDIO IWQ は、IBM z14™ 以降のサーバーで動作する QDIO モードの OSA-Express6S 以降のイーサネット機構に制限されます。詳しくは、3906DEVICE または 3907DEVICE Preventive Service
Planning (PSP) バケットを参照してください。
結果: OSA-Express6S の IWQ を既に有効化し、IPSec 対応 IWQ のイネーブルメント PTF (TCP/IP APAR PI77649) をインストールし、IPSec を有効化した場合、z/OS Communications Server は IPSec 入力キューを自動的に定義します。
この新しいキューは、最初の IPSec トンネルがそのスタックで活動化されるまで CSM ストレージによってバックアップされません。したがって、いずれかの IPSec トンネルを活動化した場合、IWQ を有効化するそのスタック上の各 OSA-Express6S インターフェースは追加の 36 K の固定 ECSA と、インターフェースの READSTORAGE 設定に等しい固定の 64 ビットの量の CSM を消費します。
制約事項:
- QDIO IWQ は、DEVICE、LINK、および HOME ステートメントを指定して定義された IPAQENET インターフェースに対してはサポートされません。このサポートを有効化するためには、IPAQENET 定義を、INTERFACE ステートメントを使用するように変換する必要があります。詳しくは、IPv4 IPAQENET DEVICE、LINK、および HOME 定義を IPv4 IPAQENET INTERFACE ステートメントに変換するためのステップを参照してください。
- QDIO IWQ は、仮想スイッチ (VSWITCH) またはゲスト LAN などのシミュレートされた (仮想) デバイスを使用している z/VM® 上の z/OS ゲストに対してはサポートされません。
- バルク・モード TCP 接続の登録は、単一のインバウンド・インターフェースでバルク・モード TCP 接続をサービスしている構成でのみサポートされます。バルク・モード TCP 接続で複数のインターフェースにまたがるデータを受信していることが検出されると、QDIO IWQ は TCP 接続に対して無効化され、その時点からインバウンド・データの転送は 1 次入力キューに配信されます。
- 間接経路 (ネクスト・ホップと宛先 IP アドレスが異なる経路) が使用されている場合、QDIO IWQ は、受信 TCP/IP スタックによって共用される OSA ポートを介して送信されるトラフィックには適用されません。このトラフィックは、1 次入力キューに配置されます。 共用 OSA パス上のトラフィックが直接経路 (ネクスト・ホップと宛先 IP アドレスが同じ経路) を使用する場合は、QDIO IWQ が適用されます。
ガイドライン: WORKLOADQ パラメーターでは、AIQ あたり固定の 4K CSM HVCOMMON ストレージの量の追加が必要です。AIQ あたりで消費されるストレージの量は、このインターフェースの READSTORAGE について定義されたストレージの量に基づきます。バルク AIQ はこの追加の CSM ストレージによって常にバックアップされます。残りの AIQ は、特定の機能 (EE、SD、または IPSec) が使用されるまで追加の CSM ストレージによってバックアップされません。EE AIQ は固定の 4K CSM DSPACE64 ストレージ (HVCOMMON ではない) によってバックアップされます。各入力キューに使用されている CSM ストレージの量を確認するには、インターフェースに関連付けられている VTAM® TRLE 名を表示します。WORKLOADQ パラメーターには、AIQ あたり追加の 36K の ECSA も必要です。
ヒント: WORKLOADQ を使用して各 OSA インターフェースによって消費される追加の CSM ストレージは、固定ストレージ (実ストレージ) を消費します。WORKLOADQ を (OSA インターフェースごとに) 有効にすることによって必要な追加の固定ストレージが以下のいずれの制限にも近づかないことを確認することを推奨します。
- Communications Server によって使用される CSM FIXED MAXIMUM 値 (D NET, CSM コマンドを使用し、IVTPRM00 で定義されている CSM FIXED MAXIMUM 値を参照してください)
- この z/OS システムで使用可能な実際の実ストレージ (D M=STOR または D M=HIGH を参照してください)
ガイドライン: IWQ を使用するときに QDIO アクセラレーターがインストールされていない場合、使用量の多いシスプレックス・ディストリビューターでは CPU の使用量が著しく増加することがあります。