XCF の概念

XCF を活用する複数システム・アプリケーション・プログラムを設計し実現するには、 シスプレックス内に常駐するグループに 1 つ または複数のメンバーを定義します。 図 1 に、シスプレックス、グループ、およびメンバーの相互関係を図解してあります。 なお、これらの用語については、次のように定義されています。
  • シスプレックスとは?

    シスプレックス (sysplex: systems complex) は、 1 つまたは複数の MVS™ システムからなり、 XCF シスプレックス名が付けられている一組の MVS システムのことであり、 それぞれのシステム内の許可プログラムで、XCF サービスが使用できます。 XCF サービスは、 単一システム環境でも多重システム環境でも使用可能です。 多重システム環境とは、 複数の MVS システムが 1 台または複数台のプロセッサーに常駐するものとして 定義されています。 両環境のどちらの場合も、 複数システム・アプリケーションの設計を進める過程で、 必要になるリソースについて、ご使用システムのシステム・プログラマーと 連絡を取る必要があります。 詳細については、システム・プログラマーに情報を提供するを参照してください。システム・プログラマーは、シスプレックス内の MVS システムの初期設定と管理の詳細について、「z/OS MVS シスプレックスのセットアップ」を参照する必要があります。

  • グループとは?

    グループとは、 複数システム・アプリケーションによって XCF に対して定義されている 一組の関連メンバーのことであり、グループ内のメンバーは、 MVS システム間で同じグループの他のメンバーと通信 (データの送受) できます。 グループは、 シスプレックス内の複数のシステムにまたがることができ、 XCF に対して完全な論理エンティティーを表します。

  • 複数システム・アプリケーションとは?
    複数システム・アプリケーションとは、 さまざまな機能が多重システム環境内の MVS システム間に分散されているプログラムとして、 定義されているものです。 複数システム・アプリケーションの例には、次のようなものがあります。
    • ご使用システムのアプリケーション
    • 多重システム環境をサポートする他の製品やサブシステム

    複数システム・アプリケーションは、 複数のグループとしてセットアップできますが、 XCF に対する論理エンティティーは、グループになります。

  • メンバーとは?

    メンバーとは、 複数システム・アプリケーションの具体的な機能 (1 つまたは複数のルーチン) のことであり、 複数システム・アプリケーションによって XCF に対して定義され、 グループに割り当てられています。 メンバーはシスプレックス内の 1 つのシステム上に常駐し、XCF サービスを使用して、 同じグループの他のメンバーと通信 (データの送受) ができます。 ただし、メンバーは、特定のタスクではなく、 特定のルーチンでもありません。 メンバーという概念は、そのメンバーが定義されたアドレス・スペース内で稼働する、 すべての許可ルーチンに適用されます。 アドレス・スペース全体がメンバーとして使用できます。 そのアドレス・スペース内のタスクと SRB はすべて、メンバーに代わってサービスを要求できます。

    メンバーを定義すると、 IXCJOIN マクロが出されたアドレス・スペースと関連付けられます。 アドレス・スペースが終了するか、システムが終了すると、メンバーは必ず終了します。 メンバーの存在期間をさらに限定された作業単位と連動させるには、IXCJOIN マクロが出されたタスクまたはジョブ・ステップ・タスクのどちらかに、メンバーをさらに関連付けます。 この場合は、 関連付けられたタスク (ジョブ・ステップ・タスクが選択された場合はジョブ・ステップ・タスク) が 終了したときに、メンバーも終了します。 これについては、 メンバーの関連付けメンバーの終了 の各 トピックで詳しく説明します。

    XCF グループのメンバーは、シスプレックス内で固有です。 ただし、XCF では、同じタスクやアドレス・スペースから複数のメンバーを定義し、 そのようなメンバーを別々の XCF グループに属するようにすることができます。 したがって、必要なメンバーの数が最大数 (XCF による 1 グループ内許容メン バー数は最大 2047) を超え、別のグループを定義する必要がある場合に、 このオプションが使用できます。 ただし、メンバー数が非常に多い複数システム・アプリケーションを設計すると、 主記憶装置の容量上、システムのコストが増大することを承知しておく必要があります。

図 1. XCF シスプレックス内のシステム、 グループ、メンバー
                                シスプレックス
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  MVS システム 1             MVS システム 2             MVS システム 3
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 │ グループ A    │          │  グループ A   │          │  グループ A   │
 │  メンバー 1   │          │   メンバー 3  │          │   メンバー 5  │
 │  メンバー 2   │          │   メンバー 4  │          │   メンバー 6  │
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以上の用語の定義に基づいて、 XCF によって提供されるサービスをさらに詳しく理解できます。