ネットワーク・ファイル・システム・バージョン 4 とそれ以前のバージョンとの比較

NFSv4 と NFS バージョン 2 および 3 との相違点の要約。

IBM® i 6.1 から、 ネットワーク・ファイル・システム・バージョン 4 (NFSv4) が基本オペレーティング・システムに 組み込まれています。以下に、NFSv4 と NFS バージョン 2 および 3 との相違点の簡単な要約を示します。

  • NFS バージョン 2 および 3 のプロトコルはステートレスですが、 NFSv4 プロトコルではステートが導入されています。 NFSv4 クライアントによるオブジェクトの使用情報は、 サーバーによって保守されます。NFSv4 プロトコルを介した操作 (オープン、ロック、読み取り、書き込みなど) は、 クライアントにオブジェクトを使用する意図があることをサーバーに通知するステート情報を携行します。 サーバーは、同じオブジェクトを使用する意図がある他のクライアントに関する情報を クライアントに返します。NFSv4 プロトコルによってサーバーで永続的なオープンを使用することにより、 NFS バージョン 2 または 3 のクライアントがファイルへの書き込み中にロックアウトされる可能性がある というような状況が回避されます。
  • NFSv4 プロトコルには、基本プロトコルの一部として、バイト範囲ロックのサポート および共有モードのサポートが組み込まれています。NFSv4 でのロックはリース・ベースです。 つまり、NFSv4 クライアントは、クライアントが所有するオープン状態およびロック状態を保持するために、 サーバーとの接触を維持する必要があります。
  • NFSv4 プロトコルでは、複合要求フォーマットが導入されています。NFSv4 クライアント は、いくつかの簡単な操作 (例えば、LOOKUP、OPEN、READ など) を サーバーに対する単一の要求に結合することができます。単一の要求にすることによって、 NFSv4 は、1 つのネットワーク交換で複合操作を実行することができます。
  • NFSv4 プロトコルは、従来のプロトコル・バージョンで要求されていた セキュリティー・メカニズムよりも改善されたセキュリティー・メカニズムを指定します。IBM i は、従来の AUTH_SYS セキュリティーに加えて、 Kerberos 5 による認証およびデータ保護に対するサポートを提供します。NFSv4 が使用する セキュリティー API によって、将来、新しいセキュリティー・メカニズムの追加が容易になります。
  • NFSv4 プロトコルは、ストリング・データの表記を標準化します。 プロトコルで使用されるすべてのストリング・データは、ネットワーク内を移動する際に UTF-8 で 表されます。ユーザー情報およびグループ情報は、従来のバージョンのように数値としてではなく、 ストリング形式で、クライアントとサーバー間でやり取りされます。
  • NFSv4 プロトコルは、従来の NFS バージョンの個々のコンポーネントのプロトコルを 単一のプロトコル仕様に結合します。NFSv4 プロトコルによってコンタクト・ポイントが 1 つに結合 されることにより、ネットワーク・ファイアウォールとの互換性が改善されます。
  • NFS バージョン 4 では、TCP などのストリーミング・ネットワーク・トランスポート・プロトコル での RPC のサポートを必要とします。IBM i により提供される NFSv4 サポートは、 TCP のみを使用します。

NFSv4 プロトコルに関する詳しい情報は、 RFC 3530 http://www.ietf.org/rfc/rfc3530.txt を参照してください。