ioo コマンド
目的
入出力 (I/O) チューナブル・パラメーターを管理します。
構文
ioo [ -p | -r ] [-y]{ -o Tunable [ =NewValue ] }
ioo [ -p | -r ] [-y] {-d Tunable}
ioo -h [ Tunable ]
説明
ioo コマンドは入出力 (I/O) チューニング・パラメーターを構成します。このコマンドは、すべての I/O チューニング・パラメーターの現行値または次のブート値を設定または表示します。このコマンドは、永久的な変更を行うことも、次のリブートまで変更を遅らせることもできます。 このコマンドでパラメーターを設定するか、表示するかは、指定するフラグによって決まります。-o フラグは、パラメーターの値を表示したり、パラメーターに新しい値を設定したりできます。
プロセスがファイルから順次読み取る場合、minpgahead パラメーターで指定された値は、条件が最初に検出されるときに先読みされるページ数を決定します。maxpgahead パラメーターで指定された値は、先行する順次読み取り数に関係なく、先読みされる最大ページ数を設定します。
このオペレーティング・システムでは、ファイルシステム bufstruct の数 (numfsbuf) および後書きアルゴリズムで処理されるデータ量 (numclust) のチューニングが許可されています。
チューナブル・パラメーターの変更の影響について
ioo コマンドの誤用が原因で、 パフォーマンスの低下またはオペレーティング・システムの障害が引き起こされる可能性があります。 ioo コマンドを試してみることを開始する前に、仮想メモリー・マネージャー (VMM) のパフォーマンスの概要を熟知しておく必要があります。
チューナブル・パラメーターを変更する前に、まずチューナブル・パラメーターのセクションでチューナブル・パラメーターのすべての特性についてお読みになり、すべての参照先ポインターを確認し、その目的を十分に理解してください。
その上で、このパラメーターの「診断」と「チューニング」のセクションが本当にご使用の状況に適用されるか、およびこのパラメーターの値の変更がシステムのパフォーマンスを改善するのに役立つ場合があるかを確認する必要があります。
「診断」セクションと「チューニング」セクションの両方に「N/A」とのみ記されている場合、AIX® の開発側から指示がない限り、多くの場合、このパラメーターを変更してはなりません。
フラグ
項目 | 説明 |
---|---|
-h [Tunable] | チューナブル・パラメーターを指定すると、チューナブル・パラメーターに関するヘルプを表示します。チューナブル・パラメーターを指定しない場合は、ioo コマンドの使用法に関するステートメントが表示されます。 |
-a | すべてのチューナブル・パラメーターの現行値、リブート値 (-r と併用した場合) または永続値 (-p と併用した場合) は、tunable = value が組になり、1 行に 1 組ずつ表示されます。
永続オプションでは、
パラメーターのリブート値と現在値が等しい場合、パラメーターに対して 1 つの値が表示されるだけです。
そうでない場合は値として NONE が表示されます。
|
-d Tunable | Tunable をデフォルト値にリセットします。 Tunable を変更する必要があり (すなわち、そのパラメーターがデフォルト値に設定されていない)、そのタイプが Bosboot または Reboot である場合、あるいはタイプが Incremental で、デフォルト値から変更されており、-r が組み合わせて使用されていない場合、パラメーターは変更されずに、警告が表示されます。 |
-D | すべてのチューナブル・パラメーターをそれぞれのデフォルト値にリセットします。変更の必要なチューナブル・パラメーターのタイプが Bosboot または Reboot である場合、あるいはタイプが Incremental で、デフォルト値から変更されており、-r と組み合わせて使用されていない場合、チューナブル・パラメーターは変更されませんが、警告が表示されます。 |
-o Tunable [=NewValue ] | 値を表示するか、Tunable を NewValue に設定します。Tunable を変更する必要があり (指定された値が現行値と異なる)、そのタイプが Bosboot または Reboot である場合、あるいはタイプが Incremental であり、その現行値が指定された値より大きく、-r が組み合わされて使用されていない場合、チューナブルは変更されずに、警告が表示されます。 -r が NewValue なしで使用される場合、チューナブルの nextboot 値が表示されます。
-p が NewValue なしで使用される場合、Tunable の現行値が次のブート値と等しい場合にのみ値が表示されます。そうでない場合は値として |
-p | -o、-d、または -D フラグと併用した場合に、変更が現行値およびリブート値の両方に適用されるように指定します。
現行値の更新に加えて /etc/tunables/nextboot ファイルの更新をオンにします。
これらの組み合わせは、
タイプが Reboot および Bosboot のパラメーター、
すなわち現行値を変更できないパラメーターでは使用できません。
新規の値を指定しないで -a または -o と併用すると、
パラメーターの現行値と次のブート値が等しい場合にのみ値が表示されます。
そうでない場合は値として |
-r | -o、-d、または -D フラグと併用されたときに reboot 値に適用される変更を行います。すなわち、/etc/tunables/nextboot ファイルの更新をオンにします。
タイプが Bosboot のパラメーターを変更する場合には、
Bosboot を実行するようにプロンプトが出されます。
新規の値を指定しないで -a または -o と併用すると、チューナブル・パラメーターの次のブート値が、現行値の代わりに表示されます。 |
-F | コマンド・ラインに -a、-L、または -x フラグを指定する際に、制限付きチューナブル・パラメーターを強制的に表示します。-F フラグを指定しない場合は、制限付きチューナブルは、表示フラグ (-o、-a、-x、または -L フラグ) に関連して指定されない限り、組み込まれません。 |
-L [ Tunable] | 1 つまたはすべてのチューナブル・パラメーターの特性を、次のフォーマットで 1 行に 1 つずつリストします。
|
-x [Tunable] | 1 つまたはすべてのチューナブルの特性を、以下の (スプレッドシート) 形式で、1 行に 1 つずつリストします。
|
-y | bosboot コマンドが実行される前に、確認プロンプトを抑制します。 |
-o、-d、または -D フラグを使用して、制限付きチューナブル・パラメーターを変更すると、限定使用タイプのチューナブル・パラメーターが変更されることをユーザーに警告するための警告メッセージが出されます。また、-r または -p フラグを指定した場合は、変更の確認を求めるプロンプトが出されます。さらに、システムのリブート時に、/etc/tunables/nextboot ファイル内にある制限付きチューナブル・パラメーターの値は、そのデフォルト値とは異なる値に変更されます (-r または -p フラグを指定したコマンド・ラインを使用して)。この変更により、これらの変更済みチューナブル・パラメーターのリストを識別するエラー・ログ・エントリーが生じます。
省略語 | 2 の累乗 |
---|---|
K | 210 |
M | 220 |
G | 230 |
T | 240 |
P | 250 |
E | 260 |
Mount タイプのパラメーターを変更すると (-o、-d、または -D フラグを使用して)、それ以降のマウント操作にのみ変更内容が有効になることを示す警告メッセージが表示されます。
Connect タイプのパラメーターを変更すると (-o、-d または -D フラグを使用して)、inetd が再始動され、その変更が将来のソケット接続にしか有効でないことを示す警告メッセージが表示されます。
-r を指定しないで、Bosboot または Reboot タイプのパラメーターを変更 (-o、-d、 または -D フラグを使用して) しようとすると、エラー・メッセージが表示されます。
Incremental タイプのパラメーターの現行値をそれより小さい新規の値に変更 (-o、 -d、または -D フラグを使用しますが、 -r フラグは使用しません) しようとすると、エラー・メッセージが表示されます。
チューナブル・パラメーターのタイプ
項目 | 説明 |
---|---|
Dynamic | パラメーターをいつでも変更できる場合 |
Static | パラメーターをいかなる時にでも変更できない場合 |
Reboot | パラメーターをリブート時にのみ変更できる場合 |
Bosboot | bosboot を実行してマシンをリブートすることによってのみパラメーターを変更できる場合 |
Mount | パラメーターの変更が将来のファイルシステムまたはディレクトリーのマウントにのみ有効である場合 |
Incremental | ブート時を除き、パラメーターが徐々に増加することが可能な場合 |
Connect | パラメーターの変更が将来のソケット接続にのみ有効である場合 |
Deprecated | このパラメーターの変更が AIX の現行リリースでサポートされなくなっている場合 |
注: ioo コマンドによって管理されるパラメーターの現行セットには、Static、Dynamic、Mount、および Incremental のタイプのみが含まれます。
互換モード
5.2 より前の互換モード (sys0 の pre520tune 属性で制御されます。「パフォーマンス・マネージメント」の『AIX 5.2 パフォーマンス・チューニング機能強化』を参照) で実行する場合、Bosboot タイプ以外のパラメーターのリブート値は、意味がありません。このモードではそれらの値はブート時に適用されないためです。
5.2 より前の互換モードでは、ブート・シーケンス中に呼び出されるスクリプトにチューニング・コマンドの呼び出しを埋め込むことによって、リブート値をチューニング・パラメーターへ設定し続けます。したがって、-r フラグを使用しないで Reboot タイプのパラメーターを設定できるので、既存のスクリプトを続けて使用できます。
このモードは、マシンを AIX 5.2 にマイグレーションすると、自動的にオンになります。完全インストールの場合、このモードはオフになり、パラメーターのリブート値は、リブート・シーケンス中に /etc/tunables/nextboot ファイルの内容を適用して設定されます。 -r および -p フラグが完全に機能するのは、このモードのときだ けです。詳しくは、「Performance Tools Guide and Reference」の『Kernel Tuning』を参照してください。
チューナブル・パラメーター
項目 | 説明 |
---|---|
aio_active |
|
aio_maxreqs |
|
aio_maxservers |
|
aio_minservers |
|
aio_server_inactivity |
|
dk_closed_path_recovery |
|
dk_lbp_enabled |
|
dk_lbp_num_bufs |
|
dk_lbp_buf_size |
|
j2_atimeUpdateSymlink |
|
j2_dynamicBufferPreallocation |
|
j2_inodeCacheSize |
|
j2_maxPageReadAhead |
|
j2_maxRandomWrite |
|
j2_metadataCacheSize |
|
j2_minPageReadAhead |
|
j2_nPagesPerWriteBehindCluster |
|
j2_nRandomCluster |
|
j2_recoveryMode |
|
j2_syncByVFS |
|
j2_syncConcurrency |
|
j2_syncDelayReport |
|
j2_syncPageCount |
|
j2_syncPageLimit |
|
lvm_bufcnt |
|
maxpgahead |
|
maxrandwrt |
|
numclust |
|
numfsbufs |
|
pd_npages |
|
posix_aio_active |
|
posix_aio_maxreqs |
|
posix_aio_maxservers |
|
posix_aio_minservers |
|
posix_aio_server_inactivity |
|
メモリー使用量および統計
cat /proc/sys/fs/jfs2/memory_usage
これにより、メタデータ・キャッシュ、i ノード・キャッシュ、および合計メモリー使用量がバイト単位で返されます。cat /proc/sys/fs/jfs2/statistics
これは、icache ヒット、icache ミス、および icache 活動化の数を返します。cat/proc/sys/disk/lbp/statistics
セキュリティー
例
- ioo コマンドが管理するすべてのチューナブル・パラメーターの、現行値とリブート値、範囲、単位、タイプ、および依存関係をリストするには、次のコマンドを入力します。
ioo -L
- j2_recoveryMode チューナブル・パラメーターの現行値、デフォルト値、リブート値、範囲、単位、およびタイプをリストするには、次のコマンドを入力します。
結果は以下の出力のようになる場合があります。ioo -L j2_recoveryMode
NAME CUR DEF BOOT MIN MAX UNIT TYPE ----------------------------------------------------------------------- recoveryMode 1 1 1 0 1 n/a D -----------------------------------------------------------------------
- j2_nPagesPerWriteBehindCluster チューナブル・パラメーターのヘルプ情報を表示するには、次のコマンドを入力します。
ioo -h j2_nPagesPerWriteBehindCluster
- 次のリブート後に maxrandwrt を 4 に設定するには、次のコマンドを入力します。
ioo -r -o maxrandwrt=4
- すべての ioo チューナブル・パラメーターを永続的にデフォルトにリセットするには、次のコマンドを入力します。
ioo -p -D
- すべての ioo パラメーターのリブート値をリストするには、次のコマンドを入力します。
ioo -r -a
- ioo コマンドで管理されるすべてのチューナブル・パラメーターの現行値、リブート値、範囲、単位、タイプ、および依存関係を (スプレッドシート形式で) リストするには、以下のコマンドを入力します。
ioo -x