tsm コマンド

目的

端末の状態を管理できるようにします。

構文

tsm Port

説明

tsm コマンドは、トラステッド・パス内で使用されるポートを制御する端末状態マネージャーを起動します。 以下の機能があります。

  • 回線通信モードと規律を確立します (getty コマンドが果たす機能です)。
  • ユーザーのアカウントと識別を確認し、初期プロセス認証と環境を設定します (login コマンドが果たす機能です)。
  • セキュア・アテンション・キー (SAK) がポートに対して使用可能で、システム・ログイン・プログラムが使用されていれば、トラステッド・パスの管理を実行します。
    注: tsm コマンドはコマンド・ラインからは入力しません。

トラステッド・パスの管理は以下の 2 つのフェーズで実行されます。

項目 説明
login このフェーズは、ユーザーが正常にログインしていない場合に有効です。 セキュア・アテンション・キー (SAK) シグナルを検出すると、 システムは getty ログイン・タイプの処理を再始動します。 ポートとユーザーがトラステッド・シェルをサポートする場合は、 次にログインするとユーザーはトラステッド状態になります。
shell ユーザー認証が成功するとこのフェーズになります。 コマンドはユーザーの tpath 属性に従って機能します。 以下の値が有効です。
on
標準トラステッド・パス管理を提供します。 セキュア・アテンション・キー (SAK) シグナルが検出された場合は、 次にそのポートにアクセスしようとすると、 tsm プロセスとその兄弟 (トラステッド・シェルを含む) を除き、 ポートにアクセスするすべてのプロセスが終了します。 ポートは初期状態にリセットされ、トラステッドとしてマークされて、 トラステッド・シェル・コマンド (tsh コマンド) が実行されます。
notsh
セキュア・アテンション・キー (SAK) シグナルが検出されるとユーザー・セッションが終了します。
always
ユーザーは、トラステッド・パスから出ることはできません。 ユーザーのシェルは常にトラステッド・シェル (tsh) です。
nosak
セキュア・アテンション・キー (SAK) が端末に対して使用不可になり、 ユーザーの初期プログラムが実行されます。

ホーム・ディレクトリーがまだない場合は、tsm コマンドを構成して、ログイン時にホーム・ディレクトリーを作成することができます。tsm コマンドは mkuser.sys コマンドを呼び出してホーム・ディレクトリーを作成し、アカウントをカスタマイズします。この機能を使用可能にするには、/etc/security/login.cfg ファイルで usw スタンザの mkhomeatlogin 属性を true に設定します。

セキュリティー

アクセス制御: このコマンドはすべてのユーザーに対して実行 (X) アクセス権が与えられている必要があります。 このコマンドは、root ユーザーに対して実効 UID が設定され、トラステッド・コンピューティング・ベース属性を持っている必要があります。

アクセスされるファイルは以下のとおりです。
モード ファイル
r /etc/objrepos/CuAt
r /usr/lib/objrepos/PdAt
r /etc/security/login.cfg
r /etc/security/user
RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー 」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

tty0 について端末状態の管理を行うには、 /etc/inittab ファイルに次の行を追加します。

tty0:2:respawn:/usr/sbin/tsm /dev/tty0

これにより、ポート /dev/tty0 が初期化され、 ポートの特性が設定されます。

ファイル

項目 説明
/usr/sbin/tsm tsm コマンドが入っています。
/etc/security/login.cfg 構成情報が入っています。
/etc/security/user 拡張ユーザー属性が入っています。